鬼のパンツ
「よぉし!綺麗に干せたぞ!」
蓮はベランダに鬼のパンツを干し終え
ベランダにはシマシマの黄色いパンツがズラーと並んでいた
「おにおにぃ!」
「は?雨璃の所に行きたい?」
「おにぃ!」
「残念、今日は仕事だ」
「おに……」
帰ってきたら皆でメシでもするか
「おにぃ!」
鬼丸はピョンピョンと跳ねる
するとベランダに
女性の幽霊が現れ
蓮の鬼のパンツを一枚盗んでいった
「あ!まてコラぁぁぁぁぁぁ!」
「!?」
女性はフッと姿を消した
「くっ!盗まれるなんて」
ベランダに出て女性を探すも
既に居なかった
蓮は少しブルーになりながら
会社へと出勤した
「おはようございます鬼灯さん」
「あ、おはよう」
あー何て日だ
一枚減ったって事は
一枚購入しとかないといけない
蓮はネットで黄泉ノ国が運営しているサイトにアクセスし
鬼のパンツを一枚購入した
「よし、これでよし」
パソコンから離れ
窓を見ると
さっきの女性の幽霊が
鬼のパンツを被って蓮を見ていた
「あ!てめぇ!」
「鬼灯君、急にどうした?」
「あ、いえ」
そうだった
霊感ないやつは見えないんだったな
「それ、返せ」と蓮は小さい声で言うと
「やだ、これは私のよ」と呟いた
「あなたのものは私のもの」
「お前……変態か?」
「えぇ、そうよ」
こいつ認めやがった
「貴方、私のものになりなさい」
「断る」
なら、このパンツ燃やすわよ
「や、やめろ!」
「鬼灯君、今日は変だぞ?熱でもあるんじゃないか?」
「……」
「会議なら心配するな?」
「……すいません、俺早退します」
はぁ……最悪だ
「なにもかも変態のせいだ!」
「あら、私のせいなの?」
「あれ?蓮さん?」
「お、吏杜」
「え、それ……」
吏杜は女性を指さした
「気にしないでくれ」
「あ、でも栞さんがコイツの事探してましたよ」
「まじかよ」
「いや!成仏だけは!」
そう、泣きながら吏杜に抱きついた
「きもい」
「!?」
はい、捕まえたわよ
「栞!」
「手間をかけたわね吏杜」
「いえ」
栞は霊を成仏させると
「おい!俺のパンツ返せ!」
「パンツ一枚ぐらいでうるさいわね」
「……」
「あんなの履いてなんの意味があるのよ!勝負パンツな訳?」
蓮は何もいえなかった
それは、勝負パンツだからこそだ
その日蓮は家で泣きべそをかいた……