二章第三話 大きな人間と大捜査線
島の朝も早い。 太陽が早く起きろと言わんばかりに眩しい光を与えてくれる。 今日からはこの島の捜索だ。 缶詰めを食べ終えたリックは早速火を起こした。
火は煙となって拠点の場所を教えてくれる。 遠征するには必須の事だ。
ついでに鍋に泉の水を入れて火にかけた。 自然の水をそのまま飲むのは少し怖い。 5分ほど沸騰させさえすれば大抵の菌は死滅するのだ。
お湯を火から退かし、火に追加の薪をくべた。
今日はこの泉の周りとその付近の捜索だな。 小人は当然小さいのだから、見落とさないようにしないと。 こうしてリックの小人の大捜査が開始されたのである。
リックはズンズンと歩いて行く。 しかし結局、見つけたのはヤスデや昆虫ばかり。 太陽の就寝と共に拠点へと戻った。
昔に大量の人間を登用して捜しても見つからなかった小人。 本当は居ないかもしれないし、いたとしても見つかるものなのか。 そうした不安もリックにはあった。 しかし、そんな事は島に来る前から分かっていたはず。 覚悟だって決めていた。 まだ1日目で何を弱気な事を言ってるんだ。 そう自分に言い聞かせ、明日に向けて体を休めた。
こうした日が2週間ほど続いた。
島は真ん中に泉があり、そこに接するようにオーストラリアのウルルのような大きな一枚岩が突き出ている。 リックはその一枚岩の上も余さず島全体を捜索したが、小人の姿を見ることはなかった。
食料も底を尽き、ヤスデやミミズ、昆虫ばかりの生活。 人一倍大きなリック。 腹ペコになるのも当然だ。 空腹は精神をも脅かす。 リックはとうとう小人の捜索をやめてしまった。