二章第二話 大きな人間と島の居住
チュンチュン
眩しい光と鳥のさえずりで目を覚ました。
もう朝なのか? 住処作りも出来なかった……
ぐぅ〜
そういえば昨日の昼間から何も食べていない。 リックは自分のカバンから缶詰めをいくつか取り出して開けた。 水は1日に2リットルは必要だ。 だから、たくさん持ってきたつもりだった。 しかし、いつの間にか半分まで減っている。
本当にこれで良かったのか…… そんな後悔がリックの心を攻撃する。
しかし、もう後戻りは出来なかった。
リックはブーツに不快感を感じて脱いで見た。 右足は一日中濡れたブーツを履いていたことでふやけている。
リックはふぅと深くため息を吐いた。 そしてブーツを脱いだまま、もう一度足を伸ばして横になった。 足を伸ばす。 これは王国に住んでいた頃には出来なかった事である。どんなに伸ばしても何もぶつからない。 なんて気持ち良いのだろう。 リックにとって天国にでもいるような時間だった。
「よし。 行こう」
太陽が真上に上がってきたところで、リックは自分自身にムチをうち立ち上がった。
昨日は運良くサソリなどにも出会わなかったが、いつ出会うかも分からない。 安心していられる拠点が必要だった。
リックは近くの木や大きな葉を見つけてはナイフで切り取った。 それから棒を使って落ち葉を退かし、取ってきた木や葉とロープで小さな屋根を完成させた。 そしてそのついでに木の皮を使ってテーブルも組み立てた。 雑用係をやっていたリックにはこの程度はお手の物である。
我ながら良い物が出来た。 一旦休憩だ。 リックは缶詰めを開けて作ったテーブルを早速使う。 そろそろ泉の水を使わなければなぁ。 空のビンを眺めてそんな事を思った。
そうこうしているうちに、もう日が傾いてきた。 灯りのない島の夜は早い。 あっという間に光が消えた。 こうなってしまうともう何も出来ない。 仕方が無い、捜索は明日からやろう。 そんな呑気な事を言って、今日も眠りについたのだった。