四章第5話 小さな世界と巨人入国
川を跨ぎ、山を崩し歩いたリック。 ようやく小人の国が見えてきた。
「あそこがランドマーク王国です」
「やっと着いたか」
「本当は何日もかかる道のりなんだけどね」
ズーン……
ようやく右足が森から抜けた。 王国との間の広場を右足で埋め尽くし、陥没させた。 15㎝程の壁が王国を囲む。 数百メートル先には城のようなものが見える。
「右足の足元に門があって、門番がいるはずなんだけど……」
なるほど。 確かに門のようだ。 しかし、そこには人間の姿が見当たらない。
リックは小人達を騒がせないよう小声で話した。
「入って国王に会いに行く」
「え!? それは……」
「ニールが国王呼んできてくれても良いんだけど」
「僕なんかじゃ国王様には会えないし……」
「じゃあやっぱ俺が行くしかないな」
「う……うん。 みんなを驚かせないようにね」
「分かってるって」
そう話している時。 リックの右の足元では門番が2人集まっていた。
実はこの2人、リックが引き起こしていた地震に耐える為に、門の奥で壁にしがみついていたのである。
するとどうだろう。 門の外の広場に突如巨大な物が降ってきたではないか。 門番は勇敢にもそれが何物かを調べに出てきて居たのだ。
しかし、リックは気付く由も無い。
「ここの道は中央へと向いています。 途中でなくなっちゃうけど、ここから行くしかないよ」
「そっか。 この道が一番広いのか?」
「うん」
確かにこの国一番の大きさの道だろう。 しかし、道幅は両足は愚か、リックの片足の足幅で一杯になるくらいしかなかった。 その道には小人がたくさん歩いている。 馬車を引く者。 袋を持つ者。 リックの足場を探すのも大変だ。
「よし。 じゃあ行くぞ」
「気を付けてね」
その間も門番はこの巨大な物体の捜索を続ける。 近くで見るとあまりにも大きい。 これが人間だなんて誰が思うだろうか。 門番は果敢にもリックのブーツに槍を突き刺した。 だが、突き刺すには小人には力がなさすぎた。 刺さることなく弾かれてしまっていた。
そうこうしているうちに、リックは足場を見つけた。 丁度小人が途切れている。 30㎝もある足を置けるところはそうそうない。 そこに足を置こう。
リックは森を踏み潰していた左足を持ち上げた。 右足がズブズブと地面に沈む。 壁を跨ぎ、小人の道に左足を置いた。 そして、リックが左足に体重をかけた瞬間。
ズドーンという音と共に衝撃で道は砕け、地面は陥没し、周りの家の瓦は崩れ落ち、近くにいた小人は浮き上がり転げ落ちた。
「やべえ」
小人の道にはリックは重すぎた。 リックにとってこの道は雪の上に1ミリの薄い氷が張っているようなものだった。 道はリックになんの抵抗も示さずに負けていた。
小人達は何が起きたのか理解出来ない。 とてつもなく巨大な物が降ってきた。 もう数センチズレていたら…… 皆腰を抜かし、顔は血の気を引いていた。
「あぁ……僕の街が…… 引き返そう!」
「もう無理だよ。 このまま行く」
「そんなぁ……」
こうしている間も門番は勇ましく、リックのブーツの上に登っていた。 なんか臭いニオイがする。 しかしこれはなんなんだ?
しかし不幸にもリックには気づかれなかった。 リックは次の足場を見つけて、ブーツの上にいた門番を吹き飛ばしながら右足を持ち上げた。
再び悲劇が繰り返される。 道路は陥没。 地面はひび割れ、瓦が崩れ、人が飛ぶ。
1歩、2歩、3歩。 リックは巨大な穴を開け続けた。
雪の乗った平均台の上を歩いている様だ。 そんな風に思っていたその時。 新たなる悲劇が起こった。
「うおっと」グラッ
リックが左足を上げた途端、右足下の地面が崩れ、よろけてしまったのだ。
ズドーン!!
リックは誤って足場にしようとしていた先を勢いよく踏みつけてしまったのだ。
道にあった野菜売りの屋台は足の裏で粉砕し、道路は飛び散り、家は浮き上がったと思ったら、大破してしまった。 ゴマ粒のような野菜はリックの足の裏にへばりついた。 幸いだったのは、屋台の後ろで商売していた人をギリギリで踏み潰さずに済んだ事だ。 リックはなんとか直接人間を殺す事なく済んだのであった。
しかし、まだ続くこの道のり。 ニールはもう目を覆うことしか出来なかったのであった。
来週も2話くらい投稿出来たら良いな〜




