協力者、再び 1
「……で、話って何?」
そして、昼休み。
それからさらに吟味に吟味を重ねた結果として、廊下で長澤と対面していた。
「ああ。お前に頼みがある」
「頼み……ああ。何? やっと私の出番ってわけ?」
なぜだか少し嬉しそうな顔をする長澤。
どうやら、コイツはコイツでずっと自分の出番を待っていたようである。
なんとも殊勝なヤツというか奇特なヤツである。
「そうだな。簡単なことなんだが、頼まれてくれるか?」
「ええ。いいわよ。で、私は何をすればいいの?」
俺は一旦周りを見回す。犬井の姿は見えない。話すとしたら今は絶好の機会である。
そして、俺は意を決して長澤に話すことにした。
「犬井を、いじめてほしいんだ」
俺の言葉は無駄に大きく廊下に響いた気がした。
無論、俺は特別大きな声で叫んだわけではないのだから、そんなことはありえないのだが、自然とそんな風に思えてしまったのである。
俺の言葉を聞いた長澤はポカーンとした顔で俺を見ていた。
そして、しばらくすると「はぁ!?」と大きな声で頭の上に疑問符を浮ばせていた。
「あ、アンタねぇ……ど、どういうこと?」
「どういうって、そのままの意味だ」
「そのままって……ちょ、ちょっと待って。アンタ、確か駄犬に対するイジメをやめてくれって、私に言ったわよね?」
「ああ。言ったな」
「え……で、でも、アンタは今私に、また駄犬を苛めてくれって頼んできた……そういうことよね?」
「そうなるな」
淡々として応える俺に、長澤は益々混乱しているようだった。
俺としては、別に長澤を混乱させようと思っているわけではなく、あくまで自分の考えていることをそのまま長澤に言っているだけなのだけれど。




