↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
101/167

彼女を振り切って

 その後も授業中、何度か犬井の視線を感じた。


 どうやら俺のことを睨んでいるらしい。


 おそらく「自分は怒っているんだぞ」ということを犬井は俺に伝えたいんだろう。


 そのことがさらに俺を落胆させる。


 なんだ、それ。


 まさかとは思うが、犬井は、嫉妬、しているんだろうか。


 俺が長澤と屋上に行ったから? 俺と屋上に行くのは自分だけ、とでも言いたいのだろうか。


 冗談ではない。俺は犬井にそんなことを想ってほしくない。


 そもそも俺は犬井には、いつでも絶望していてほしいのだ。


 それなのに、そんな普通の女の子みたいな感情、持ってほしくない。


 そう考えると自然とシャープペンを握る手が強くなった。


 俺は怒っているのだな、と明確に感じることができた。


 相変わらず授業に関しては何も聞かないままで、そのまま放課後となった。


「う~ん……授業、終わったね」


 伸びをしてそれとなく話しかけてくる犬井。


 ここからが計画の実行である。


 以下に犬井をさえぎって、計画を実行するか、である。


 俺はそのまま席を立った。


「あ……あ、逢沢君!」


 そこへ犬井が声をかけてくる。


 次の言葉は予想できている。


「え、えっと……い、一緒に帰ろう! ね?」


 やはりそうだった。犬井は慌てた様子でそう切り出してきた。


 俺は犬井の方に顔を向ける。そして、なるべく冷酷な目線で犬井を見た。


「ああ、今日は、ダメだ」


「……え?」


 犬井は呆然としていた。


 そりゃあ、ダメ、と言わればわけがわからないだろう。犬井はただ俺のことを見ていた。


 犬井の思考がストップしている。この時がチャンスである。


 そのまま俺は長澤の席に急いだ。


「おい、長澤」


「え? な、何?」


 いきなりのことで長澤は驚いているようだったが、俺は構わずに先を続ける。


「帰るぞ」


「え……あ、ああ。うん」


 そのまま俺は振り返らずに教室を出た。


 どうせ、犬井は呆然としたまま俺と長澤を見送ったのだろう。


 とりあえず、まずは計画の実行は成功だろう。


 俺と長澤は何も喋らずに、そのまま校門を出るまで、足早に歩いたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。