09 助手くんの真実
09 助手くんの真実
さて、パンが2本残り、餡は一壺近く残っている。
昨日のパターンなら全部持って行かれるのだが、リヤカーみたいに所有権までは渡せない。
目を輝かせている少年たちを集めて、ジャンケンを教える。
グーと言いながら、グーを見せてまねさせる。
パーと言いながら、パーを見せてまねさせる。
最後にチョキを教える。
次が難しい。
俺がまず、ひとりずつと仮ジャンケンをする。
ひとりを選び、右手を後ろにし、『ジャンケン、ポン』と右手を出す。
相手が応じてくれないときは、もう一度繰り返す。
ちゃんと応じたら、どっちの勝ちかを宣言する。
勝った方の手をみんなに見せるのだ。
皆がそれを覚えてきたら、子供同士でやらせる。
俺が審判をして勝った方に手を挙げる。
一通りわかってきたみたいで、仲間同士でもやり始める。
興味ある女の子たちもまねし始める。
いい傾向だ。
あいこは教えずやり直しにしておく。
多人数ジャンケンも、今はお預けである。
そのうち頭のいい奴が聞きに来るだろう。
さて、勝負だ。
最初の二人を選び、準備させ『ジャンケン、ポン』と俺がかけ声をかけてやる。
あいこだった。
もう一度準備させ、再び『ジャンケン、ポン』、今度はパーの勝ちだった。
実はチョキは出しづらい。
最初はグーかパーになりやすいのだ。
だから最初にグーを教えた。
頭のいい奴は直ぐにパーが有利だとわかるだろう。
するとチョキを出さなければ勝てないことに気づく。
しかし、何も考えない奴はグーで勝つから、パーが有利チョキが有利というのは段々怪しくなってくるのだ。
しかし、小さい子はなかなかチョキは出さない。
難しいチョキをきっと今日一日中練習するだろう。
きっと母親たちも、嫌になるぐらい付き合わされる筈だ。
勝った方をテーブルに呼び、16に切ったパンを選ばせる。
すると迷うことなく端っこを選んだ。
耳が多い部分だった。
確かに良く噛んで食べると耳の方が美味しい。
フランスパンと同じだ。
うーん。
助手はそいつにひとさじしか餡をのせない。
男の子だからだ。
良くわかっていらっしゃる。
だが、感心してばかりもいられない。
次の対戦が待っているのだ。
しかし、俺は負けた方を呼ぶ。
惚けていたそいつに更に半分に切ったパンを渡す。
助手は嬉しそうに餡をのせている。
木の枝で地面に線を引き、勝者と敗者を線の外に出して未対戦者と混ざらないようにした。
みんな理解したようだ。
勝ったら大きい。負ければ小さい。
勝負は勝負だ。ジャンケンに体力は関係ない。
2戦、3戦と勝負は続いていく。
勝ったものは意気揚々。負けたほうは、まあ半分もらえるから、泣くまで悔しがらない。
しかし、負け組と勝ち組に分かれるのはやめて欲しい。
しかも、勝った方は父親や母親に自慢している。
何と、最初の勝者はカカの息子だ。
ちょっと安心って、贔屓は駄目でしょ、駄目よ。
6戦を終えると、男の子はひとりだ。
奇数だから仕方がない。
助手を見ると彼は一歩下がった。
嫌だと言ってるのだ。
すると、こいつは嫌われ者なのか? ボ○チか。
しかし、ジャンケンに差別はない。
こいつの運命次第なのだ。
女の子たちを呼ぶ。
女の子だってパンは欲しいのだ。
負けても半分もらえるが、戦わねば何ももらえない。
最初に出てきた女の子はどう見てもカカの息子よりも年長に見える。
女同士を年下に譲ったのだろう。
きっといい子だ。
胸も…… いや、今のなし。
さて、運命のジャンケン、ポン。
勝った。
ボ○チ野郎の勝利。
これで女以下扱いされずに済むだろう。
子供は残酷なところがあるからな。
だが、こいつの運命が変わった瞬間である。
さあ、勝利のパンを助手くん頼む。
最年長の女の子に悪感情が残っていないのにホッとし、恭しく半分のパンを渡した。
助手は半分のパンに上手く2さじの餡をのせている。
俺より器用じゃねえか。
さて、美しい女の戦いは続くのである。
中には負けて泣き出す子もいたが、まあ勝負は勝負である。
大人たちもきちんと見ているし、これは仕方がない。
あの最年長の子が、何とかなだめてくれた場面もあった。
しかし、またしてもボ○チの女の子が。
どうする俺。
おばさんを呼ぶのか。
いや、戦化粧はまずいぞ、ルールも景品もぐだぐだになる。
最年長を男の子戦に使わなければ良かったのだ。
そこへ、ひらりと助手くん登場。
って、上半身は男の子で下半身は女の子なんてあり得るのか。
俺が暫くフリーズしていると、助手くんが『えへへ』という感じで笑った。
こいつ確信犯だったな。
すっぽんぽんで性別を偽るとは、これは盲点だった。
ずっとテーブルに隠すようにしていたんだな。
壺も、目隠しに利用したんだ。
きみ、男の子の集団と一緒に来てたよね。
畜生、動き回っていたから、見える時だってあった、かもしれないのに。
そう言えば、カカが笑った時に気づくべきだったのだ。
いや、一回でも確認しておけば……
って、確認なんかするかー! 変態か俺は。
みんなの視線が痛くなる前に、最後のジャンケンだ。
でも、見ていただけの助手くんは勝てるのか。
ちゃんとできるのか?
うん、こいつならできそうだ。
見事に負けた助手くんに半分のパンを渡し、自分で餡をのせさせる。
男の子13人、女の子11人、計24人のうち勝者は12人で12枚。
敗者が12人で6枚。
4斤で32枚だから、残りは14。
助手くんは何も言わないが、じっと俺を見ている。
この子、俺より頭がいいかもしれない。
しかし、さすがに計算まではできないだろう。
俺がどうするのか見たいのだ。
ふん、きみにどれだけいいアイデアがあっても、俺にかなえる義務はない。
俺の目的は、女性に気に入られることなんだからな。
意地悪く、苦手なカカの所に使いパシリさせてやろうか。
いや、カカは洒落にならないな。戦士長だし。
でも、助手くんも女性か。
こいつにも気に入られないとまずいのか?
まな板にしていたスギ板をもう一枚テーブルにのせた。
パンを3つに切り、21切れのせ、助手くんに回した。
一口サイズになったパンに、餡をきれいにのせてくれる。
片方を最年長の女の子を呼んで、女性のギャラリーに持って行かせ、もう片方をカカの息子に渡して男性のギャラリーに持って行かせた。
それで店じまいだ。
ログハウスは明日にしよう。
リヤカー2号に道具類を全部載せると、領地目指して歩き始めた。
何故か助手くんが付いてくるが、気にしないようにした。
まだ陽が高いし、領地内まで入れないのだから。
やがて領地に着いた。
短すぎる道のりだった。
橋を渡ると熊さんに迎えられた。
助手くんは、橋の半ばまで来る。
「帰れ」
言葉は通じなくとも、意味は理解できただろう。
助手くんは涙ぐむ。
これじゃあ、俺が悪人みたいじゃないか!
そう言えば、女の信頼を得るのが悪事だとリーナさんが言ってたなあ。
これは気に入られたのか、信頼されたのか、それとも、何かの悪だくみか。
「鷲づかみね」
「リーナさん、人聞きが悪いですよ」
「まさか、初日につり上げるなんて、誰も予想しなかったわ」
「リーナさん!」
俺が独り言を言っているようにしか見えないだろうな。
変な奴と思われるのは、ちょっと嫌かも。
「彼女を採用するわ。きっとこれ以上はない人材よ」
「でも、禁断の地にするって」
「彼女は巫女なのよ。いいから連れてきなさい」
巫女って、神社で働く女性だよな。
いや、本当は神様の言葉を聞く人だったか。
いいのか、そんな宗教みたいなことを始めて。
そう言えば、熊さんは最初から拒否してない。
助手くんが、ここに来る前にリーナさんは彼女の採用を決めていたのだ。
きっと、オペレッタと一部始終監視していたのだろう。
俺の間抜けな部分に笑い転げてなければいいのだが、カカに笑われたぐらいだから無理だろうな。
助手くんの前に立つ。
自分に手を向け、『ユウキ』と言った。
そして、その手を助手くんに向ける。
「タァキィ」
俺の耳にはそう聞こえる。
実際には、タの次の小さい『ァ』が、小さい『ラ』のようにも聞こえる。
「タァーキ」
俺が上手く発音できないでいると、彼女はクスクス笑った。
恥ずかしいので、『タキ』とした。
「タキ」
「ユウキ」
彼女は答えた。
「タキ」
再び呼ぶと手を差し伸べた。
「ユウキ」
彼女は俺の手を取り、再び名前を呼んだ。
「バカップルみたいなことしてないで、早く来なさい」
怒られてしまった。
そのままタキの手を取り、領地内を歩く。
タキはまず耐火煉瓦1号、炭焼き2号、パン焼き1号、陶磁器1号の窯を見ていた。
特に炭焼き2号には八さんがいるので、興味があるみたいだった。
八さんは、『らっしゃい』とひと言挨拶したが、もちろんタキに意味はわからない。
次は大きな建設中の食糧倉庫だった。
50畳の2階建てだから100畳になる。
隣が俺の家で、その先はただの木造平屋だが大きいのが3つ立っている。
資材船、工作船、着陸船を隠しているのだ。
家の前まで来ると、
「先にお風呂よ。磨いて来てあげなさい。髪も切って揃えてあげるといいわね」
と、リーナさんの命令が入った。
一瞬迷ったが、タキは子供だし、俺以外に風呂を教えられる人がいない。
人間は、俺とタキの二人きりである。
四六時中すっぽんぽんの奴に、遠慮する必要ないだろう。
神田用水を越えると露天風呂である。
冬場に入ったから湯気が結構揚がっている。
タキをまずシャワーに入れた。
2mの高さに竹筒が横に通してあり、彼方此方穴が開いていて、穴から温泉のお湯が適度にふっている。
この適度に、が難しくて苦労したのだが、ってそんな場合じゃないな。
タキの腕を引っ張りシャワーの中に入れる。
全身に温かいお湯がかかる。
頭だけワシャワシャしてやる。
全身の汚れが軽く流れたら湯船に入れる。
俺はスーツなので入らない。
初めてのお風呂だろう。
最初は緊張していたが、熱さに慣れるとゆっくりとつかり、リラックスしているようだ。
シャンプー、リンス、ボディソープ、洗顔石けん(男用だがいいだろう)、スポンジを確認すると、10分ほど待った。
タキは景色を見ないでずっと俺を見ている。
心配なのだろうか。
10分後、タキをあがらせて風呂の椅子に座らせると、両目を閉じるように教える。
きちんと閉じているのを確認してシャンプーする。
全然泡立たない髪が彼方此方で絡まっている。
一度流しもう一回シャンプーする。
頭皮から毛先まで今度は優しく洗っていく。
かなりサラサラになり、最初のレゲエ頭みたいな癖毛が、軽いウェーブと肩に掛かる長さになり、くすんだ赤がきれいな赤に変わる。
再び洗い流して丁寧にリンスする。
固い感じがするところを重点的に、リンスを付けゆっくりなでる。
良く馴染んだら、洗い流す。
きれいな赤毛である。
丁寧にブラッシングし、まっすぐにそろったら、ハサミを入れる。
前髪は眉が隠れるくらいで揃える。
後ろは長さを揃えるだけで良いだろう。
もう一度シャワーを浴びさせ、次は洗顔だが、これは難しい。
洗顔クリームを顔の何カ所かに付けていく。
タキのアゴを引っ張り、上に向けさせ、髪をオールバックにになでつけてから、洗顔クリームを円を描くように伸ばしていく。
終わると抱き上げてシャワーに連れて行く。
目を閉じたまま、歩かせられないからだ。
ざっと洗い流すと、後は自分で顔をこするように教える。
違和感まではわからないし、自分で洗い残しを落とさせた方がさっぱりするはずだ。
しかし、こいつは為すがままだな。
信頼なのか、赤ん坊みたいなものなのか。
今度はボディ洗いである。
スポンジにボディソープを付け首から洗っていく。
脇や腕、胸もないから変な気分にならない。
ならない。ならない。
背中は念入りに洗う。
少し痛いぐらいに、こする。
腰からお尻まで同じように洗っていき、前に回ってお腹から両足も全部洗う。
足の甲と裏を洗い指も一本ずつ洗う。
一度スポンジをゆすいでから、再びボディソープを軽く塗り良く泡立てて優しく股を洗ってやる。
大事なところは見ないようにしながらスポンジを当てると、タキは洗いやすいように足を少し開いた。
性差はわかっているが羞恥心はないのだろう。
足の付け根を丁寧に洗い、おしまいだ。
石けんを流してやり、もう一度湯船に入れる。
さすがにのぼせ気味なのか、顔がリンゴのように真っ赤になっている。
湯船からあげると、バスタオルで髪の水分を十分にとる。
ざっと身体を拭いてやり完了だ。
バスタオルを肩に掛けたまま、木のサンダルをつっかけさせて、家に連れて行く。
タキは自分の匂いを確かめている。
待っていたリーナさんが、タキを見て驚く。
タキもリーナさんを見て驚く。
『リーナさん』、『タキ』と、それぞれ紹介して後は二人に任せる。
リーナさんがブロウしている間に紅茶を淹れる。
角砂糖とクッキーを用意しておく。
俺がソファでくつろいでいると、リーナさんが『できたわよ』と教えてくれた。
身体を起こしタキを見る。
身体は小さいが肌に艶があり、赤い髪は美しく、小汚い猿みたいな部分は何処にも見あたらなかった。
髪は後ろ2箇所を青いシュシュでまとめ、ポイントが高い。
そして、下だけ白い綿の巻きスカートを着ている。
腰に上下二段の、青いひもの結び目があった。
上は裸だが、気にならない。
元が全裸だったから、上品に感じる程である。
「可愛いでしょ」
「うん、別人だね」
肌なんかも全然白い。
目元もはっきりして知性を感じさせる。
赤い髪って、部族には珍しいよね。
紅茶に角砂糖を一つ入れ、かき回してからタキに勧めた。
クッキーも小皿に3枚のせ、食べるように勧める。
「で、どうして彼女なの」
リーナさんに質問した。
「まずは頭がいいこと。好奇心が旺盛なこと。それから知識を吸収しやすく、順応しやすい年齢なこと。それにユウキを信頼し、反抗的なとこがなかったこと」
「俺は騙されたんだけど」
「あれはユウキに近づく戦術よ。おもしろかったわ。ユウキが、いつ気づくかオペレッタちゃんと賭けていたのよ」
「どっちが勝ったのか聞いても?」
タキは美味しそうに紅茶を飲んでいた。
本当はこの部屋にあるあらゆるものを知りたいだろうが、今は空気を読んで大人しくしている。
「わたし。ユウキが最後まで気づかないに賭けた」
タキは驚いて天井を見回しているが、もちろんオペレッタの姿は見つからない。
天井を指さして、『オペレッタ』と教える。
タキは、小声でオペレッタ、オペレッタとつぶやく。
「タァーキゥー」
「オペレッタ」
「タァーキーゥ」
「オペレッタ」
今度はオペレッタとバカップル状態かと思っていたら、タキは自分を指さして、
「タキ」
と訂正する。
自分の名は『タキ』だと言うのだ。
どゆこと、とリーナさんを見る。
「自分はタキとして生まれ変わった。タキはユウキの女になった。どちらかだと思うわ」
「ええっ、別に女とかじゃないよね」
「お風呂で全部見せて、全部触らせたら、女になるのよ」
「そんな!」
「嘘よ」
「リ、リーナさん!」
「でも、今日のタキとユウキの行動の中に、何かしら周囲へのアピールがあったことは確かよ。タキが領地にいるのに、誰も咎めに来ないでしょ?」
「確かに抗議もないし、他の子供たちが押し寄せてくるわけでもないな」
「タキが特別な立場を獲得しているのは間違いないわ。でも、好都合よ。今日から彼女を巫女にするわ」
リーナさんは、少し待っててというと部屋から出て行った。
タキに紅茶のおかわりを淹れてやり、クッキーも追加してやる。
角砂糖を溶かすのは自分でやらせてみる。
瞳がキラキラなので、もう一個追加してやるとそれも直ぐに溶かして美味しそうに飲む。
焼き芋の時に感じたが、猫舌は少ないのだろう。
多少熱くても平気なようだ。
タキが3杯目を飲み終える頃、リーナさんが戻ってきた。
タキを自分の前に立たせる。
「タキ、あなたをユウキの巫女とします」
「ミコ?」
リーナさんは銅製のチョーカーのようなネックレスをタキの首に回した。
つなぎ目はなく、後ろでベルトのように重なるようだ。
多少柔らかいから、いざというときには広げれば外せる。
ただ正面にビー玉くらいのガラスが付いている。
「領地関係者としての個別登録、位置センサーが入ってます」
リーナさんは、情報端末をタキに見せる。
オペレッタが簡単なアニメーションを流した。
ネックレスをつけたタキっぽい少女が橋を渡ると熊さんが通してくれる。
次は、ネックレスを外したタキが橋を渡ると熊さんが入れてくれないという簡単なやつだ。
タキは理解したようだ。
それより、なくしたらどうしようという不安の方が強いみたいだった。
「もう一つささやかな機能があります。タキ、首輪に手を当てて『光を』と唱えなさい」
そう言ってもタキには通じないよな。
リーナさんは俺を見る。
てか、首輪でいいのか。
タキの右手を首輪に持って行き『ひかりを』いう。
手を離して自分でやらせる。
「ひかりを」
ビー玉が輝いた。柔らかい光だった。
夜に部屋で、捜し物くらいはできそうだ。
「もう一度触れて、やめと言えば止まるわ」
俺がタキにそのように伝えると、タキはちゃんと止められた。
その後、何度か点灯・消灯を繰り返す。
「さて、明日からタキには言葉を覚えてもらいましょう」
「俺は食料庫建設を続けるんだよね」
「当然でしょ。たらしなんだから」
「違うよ」
「たらし」
これはオペレッタ。
「たらし」
これはタキ。
「違うからね」
タキを連れて外に出た。
もう、夕方だからだ。
タキは暫く歩くと手を引っ張りイヤイヤをする。
帰りたくないのか。
空を示して夕暮れを認識させる。
しかしタキは両手をスカートに当ててモジモジする。林の方に行きたいようだ。
そうかトイレか。
紅茶を3杯も飲むからだ。
風呂場の方に連れて行き、ちょっと奥にある簡易トイレに案内する。
一応3方向に板塀があり、目隠しになっている。
真ん中に風呂のお湯が流れていて、足場が左右にある。
しゃがんで見せると理解できたようだ。
タキは巻きスカートを外すと、俺に持っているように渡してきた。
俺がそのまま立っていると、赤い顔をして押される。
なにやら、あっちの方に行ってくれと言っているようだ。
裸は恥ずかしくないのに、排泄は見られたくないらしい。
確かに、1段高い羞恥プレイのような気がする。
風呂の方に戻ってぼんやりと待つことにした。
途中、明かりが点いたり消えたりが何回かあった。
トイレを汚していないかと、身嗜みを『あかりを』で確認しているんだろう。
全裸で、身嗜みはないのか。
あれは神の御業ではないのか。
長いな。
小だけではなかったのか。
やがて風呂サンダルのカラコロが聞こえ、タキが戻ってきた。
手がぬれていない。
手で水をかけるような仕草をし『ジャバジャバ』と言ってみる。
タキは驚いた顔をする。
水洗は理解できても、ウォシュレットまでは無理か。
自分のお尻を見ようとするので、俺も近づいてスンスンと鼻を鳴らしてみる。
真っ赤な顔でドンと押されるが、小さいから全然衝撃がこない。
山賊が女を攫って行くかのようにタキを脇で抱え(お尻が前、頭は後ろ)、風呂場に行くと、タキの丸出しのお尻を石けんとスポンジで丸洗いした。
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