82 夏休みの宿題4
82 夏休みの宿題4
夏期施設後半に入ると、各教科に補習の名前が残っているのは俺ぐらいになっていた。
ポリーナ先生は、最終日まで補習を入れていたが、それは俺がサボり続けていたからだ。
日本語のカオルコの補習は嫌がらせだろう。
何故かパドマも急に補習を入れてきている。
俺だけなのは、目的があるのが見え見えになっている。
あれ、他の先生も全員俺を補習に入れやがった。
全員、情報収集に焦り始めたな。
カオルコとヨリの情報ブロックが効いてきているのだろう。
インド、チベット、中国、ホエールにエリダヌス問題だからなあ。
経済もゲートの運用も、みんな秘密だから恨まれるかも。
数学のイリナ先生はホエール情報部所属だ。
味方だが、チカコの件があるから見張っているのだろう。
化学のベッキー先生は、アメリカのDIAである。
やはり味方だろうが、情報は欲しいのだろう。
イギリスのマリー先生はMI6辺りに外部依託されたんだろうな。
アリエ先生はスパイじゃないのに、何故だろう。
まあ、いいや。今日は海で泳ごう。
インドの発表があればまた忙しくなるんだから、一日ぐらい休んで良いだろう。
それに、侍女たちが裸で泳ぐ姿なんか、きっと今年で最後だ。
来年は、みんな水着を着てしまうに決まっている。
ホエール娘の妹たちも、初めてだから楽しみである。
12歳ぐらいと言うのは、10人委員会が遭難して初めて出会った頃と一緒なのだ。
比較するのはきっと楽しいだろう。
中学生は教室で一緒にならないからな。
日焼け止めとか塗らせてくれるかな。
俺がスキップしながら出て行くと、出口でカナとリンに左右を押さえられた。
何故かチカコもいて、3人とも凄いビキニ姿である。
「やあ、これから泳ぎに行くんだ。一緒に行こうか」
「その前に、つきあって貰います」
「何だ、何なんだ」
俺は文句を言いながらも、前を歩くチカコの金髪が左右に揺れ、お尻が左右に揺れるのを堪能しながら、左右に押しつけられるカナとリンの17歳のおっぱいを堪能していた。
もうそろそろ、複数というのも経験した方が良いのだろうか。
しまった。俺には複数でするための知識が無い。
ひとりずつ相手するのとは、きっと違うやり方があるはずだ。
先に上だけ3人を相手してからとか、誰かをじらすとか、きっと何か複数だけの特別なやり方があるに違いない。
ああ、地球に行ったのだから、そっち方面の知識を仕入れてくるべきだった。
トウマに頼むべきだったか。
いや、クラとロマで実験してしまいそうだから拙いだろう。
トウマが混ぜろって言ってくるかもしれないし、絶対に拙い。
だが、俺にはこういうことを相談できる男友達がいないぞ。
みんな、どうしているのだろう?
そういえば豊作氏はキヌの妹たちを連れて行ったが、3人をどうするのだろうか。
やはり同時なのか!
うわー、ロリ過ぎて想像できない!
6段目の森と言うより防砂林を奥に向かいながら、チカコのお尻を眺めて、しょうも無いことを考えていた。
しかし、この先でパンツを脱がされたら、抵抗できる自信が無い。
勿論、パンツを脱いできても、抵抗する自信は無い。
防砂林を抜けると、サクラコが赤い顔をして待っていた。
何だろう、この展開。
友達思いの3人がサクラコのために協力しているのか。
サクラコは真っ赤なビキニの上に透けるパレオというのか、そんな感じのものを着けていたが、色っぽさは増すばかりだった。
「あの、母がこの辺にクリニックを建てたいというのですが、よろしいでしょうか」
17歳のビキニに囲まれて、あっち方面しか想像しなかった俺は、きっと男として正常だと思いたい。
よく見ると、周囲は建設用アンドロイドたちが働いている。
先日、リゾート計画の一環としてチカコとカナに許可を出していたのだ。
美容院、エステサロン、カジノ、化粧品店、アート、ダンス教室、ブティック、靴、甘味処、お土産や民芸品、酒場など、女性専用リゾートのオプションとして楽しめる施設を満載するつもりである。
勿論、ナナ&サラサリゾートという、限定ブランドショップも作るのだが、やはり目玉になるのが、カエデクリニックである。
処女再生というのは、外科手術でも可能である。
だが、ラーマ遺伝子での回復は、次元が違っていた。
女性機能の若返りを含んでいて、かなりの高確率で子供を産む機能が完全回復する。
しかも、神経細胞が生まれ変わり、まだ予想だが、快感が一から開発し直されるという。
つまり、今までの性体験は頭の中だけのことであり、身体の感覚はチャラになる。
別の男性と別の経験を積むと、別人のように開発されるらしい。
肉体的には殆ど未経験と同じことだ。
「経産婦でも、自分が処女であることを体験するだろう」
「感覚としては、15歳未経験を想定して欲しい」
「処女喪失の時に痛みがひどいほど、後の快感が大きい。神経再生の影響と思われる」
カエデさんの報告にはそうあって、特に不感症や性生活に苦痛を感じる人が、もう一度やり直すチャンスだという。
今度は豊かな性生活が送れるという。
もう、5人も実験希望者をモニターしたらしい。
全員が男ってとても良いものだと知り、今までの経験が上書きされてしまったそうだ。
最初は、未経験の耳年増ぐらいの感覚だそうだ。
お陰で、母さんがはしゃいでいて大変なのだ。
「ユウキに一杯開発されちゃう」
いや、それは別の話だからね。
ホエールでは、逆説的に処女たちが初体験を考えるようになっているらしい。
処女たちが経験豊富な小父さんたちをマークするようになって、カエデさんは早いとこ逃げ出すことにした。
勝手な思い込みによる初体験に責任は持てない、とのことである。
しばらくはホエールには住めないだろう。
サクラコが、そのカエデさんの代わりに許可を貰おうとしているのである。
律儀なやつだった。
「エリダヌスリゾートの目玉になると母さんが予想しているよ。気にせずに使ってくれ」
「はい、それで、あの、お礼に」
「はいはい、おしまい。ユウキ、泳ぎに行くわよ」
「あら、たまには私に譲ってよ、カナ」
「譲れるほど、私に余裕はないの」
何故かカナとリンが水着を脱ぎだした。
「何で、水着を脱ぐんだよ」
「あら、ユウキと泳ぐからじゃないの」
「なんか、間違ってるぞ」
「いいのよ、行くわよ」
サクラコは自分が先に脱ぐ予定だったのだろうが、透明なパレオを開いたままフリーズしていた。
サクラコ、ちゃんと誠意だけは受け取ったから安心しろ。強く生きるんだぞ。
全裸のカナとリンに引きずられるところを、涙目のサクラコと、おいて行かれて涙目のチカコが見ていた。
浜辺は全裸の侍女と、トップレスの上級生と、きちんと水着を着けている下級生に別れていた。
天国である。
それにしても、以前は事前に食料などを運び込み、テントを設えて、食事の用意までしなければならなかったのだが、殆ど侍女や見習い、アンドロイドがやってくれるので、更に天国である。
カナは見習いから従業員を選ぶつもりで、今日は浜辺でのサービスをよく見ている。
「もう一つ、インパクトが欲しいわね」
カナは真っ黒に日焼けした肌に、サンオイルを塗らせながらそんなことを言った。
全裸に平気で塗らせるカナもカナだが、平気で塗れる俺も俺だと思う。
リンは隣で、既に全身に日焼け止めクリームを塗り終えていて、満足そうだ。
どうも付き合いが長くなりすぎて、お互いの羞恥心が擦り切れ始めているのではないだろうか。
俺はカナのおっぱいの先端をつまんだ。
「ああん、インパクトの意味が違う。けどいい」
おお、ちっちゃい先端がこりこりする。
「うああああーーん」
どばかん。
「あなたね、昨日までさんざん協力させた私が先じゃないの!」
「カオルコ。最近手が早いぞ」
砂浜を転がってから、文句を言った。
「あんたが順番を考えないからでしょ。何よ、カナの方が先だというの」
カオルコはそう言うと、ビキニを脱いだ。
うーん、確かに自慢できるだけの身体をしていると思う。
「くすくす」
「ひひひ」
ヨリとミヤビのコンビが来てビキニを脱ぐと、流石のカオルコも不利だった。
ヨリはデカい上に引き締まっていて、出るところは出ている。
ミヤビは背は低いが、ロリ巨乳だから有利にすらなっている。
カオルコがひるんでいると、珍しくカナとリンが挑んだ。
どういうわけか、2対2の全裸ビーチバレーが始まり、次々に参加者が増えていった。
カレンがチームを受け付けては、対戦カードを作っている。
優勝したチームには、先端コリコリをしてもらえるという、変な賞品が掲げられていた。
1、ヨリ・ミヤビ対カナ・リン
2、カオルコ・チカコ対サクラコ・アキ
3、パドマ・ルミコ対タチアナ・エミリア
4、ベッキー・マリー対マナイ・メナイ
5、セリーヌ・イリナ対侍女2人
6、ホエール娘姉高校生コンビ対ホエール娘妹中学生コンビ
7、アカリ・ジュンコ対豪華・彩子
8、見習い2人プラスポリーナ対ダライラマ、ガンデン・ティパチーム
審判は、アリエが主審でカレンが副審である。
第一試合は迫力のブルンブルンとブルブルで、ヨリが圧倒的に強く、ミヤビが頭脳プレーでフォローするから、完勝だった。
第2試合は、学園アイドルコンビが温和しい系を圧倒した。
だが、サクラコとアキの全裸は珍しく、どちらを応援すべきか、いや、見るか悩んでいる間に試合は終わってしまった。
4兎追うものは、全部中途半端である。
第3試合は、意外と凄い好勝負だった。
パドマは素晴らしい運動神経をしていて、ルミコが意地の悪い戦術を組み立てるとすぐに呼応していた。
だが、タチアナ・エミリアはまるでセミプロ級で、迫力ある裸、いやプレーを見せてくれた。
小さい胸が、スポーツには有利だという見本のような試合だった。
第4試合は、ベッキー・マリーコンビがセミプロを超えオリンピック級で、身体もオリンピック級だから、マナイとメナイは手も足も出なかった。
足が長い種族はいいものである。
第5試合は、セリーヌ・イリナのコンビがバレーボールと言うよりはお嬢様の羽根突きみたいだったが、侍女二人を下した。
第6試合は、女子高生対女子中学生のお手本のような試合になり、ギャラリーの応援が凄かったが、俺には成長の記録みたいで見ていて楽しかった。
ある意味、一番の非日常かもしれなかった。
普通の女子中高生が全裸でビーチバレーなど、どんな企画だよって感じである。
第7試合は、全員が日本人的で、豪華さんだけが日本人にも大きい人はいるという見本のような試合だった。
勝負は若さからか、アカリ・ジュンコ組が勝った。
第8試合は、バレーではなく、どちらが全裸になれるかの競争だった。
見習二人は既に全裸だったが、ポリーナ先生はバスタオル、Tシャツ、パレオ、ビキニ上まで脱いでフリーズし、その後泣き崩れた。
ガンデン・ティパ氏は凄く恥ずかしそうに僧服を脱いでいき、下から見事なビキニをあらわにした。
いや、ビキニが見事なのではなく、身体が見事なのだ。
そして、そこからビキニ上、ビキニ下と何とか脱ぎきった。
ダライラマ氏は、以前は平気だったくせに、今回は凄く抵抗があるようだった。
理由はつるつるぺたぺたのつるつるだったのが、少しぷっくり、少しぼんやりになってきたからだった。
試合は裸で動けないチベット組に対して、ポリーナ先生を除いた見習いの勝ちだった。
ポリーナ先生は、既に逃走していた。
2回戦第1試合は、セミプロ級対オリンピック級の試合から始まり、全裸を忘れさせるような素晴らしい試合で、ロシア対アメリカの決勝みたいだった。
いや、全裸を忘れはしないけど。
だが、試合は最後まで見ることができなかった。
ヨリが立ち上がると同時にサードが来て、棒を渡してきた。
海岸にカヌーらしきものが20艘近く現れていた。
カヌーが次々に上陸すると、槍を持った少女たちが現れ、最後には妊婦が上陸してきた。
族長だろう。
親父の妻だろうか。
産物を満載してきたのは良くわかった。
だが、ちっとも友好的に見えない。
族長が『ユウキ』と言ったような気がした。
「あなた」
「ヨリは、サードと一緒に生徒と先生を守ってくれ」
「はい、あなた」
ヨリが下がっていき、俺は前に出る。
族長の周りにいた若い戦士たちが、槍を構えて攻めてきた。
せいぜい、14歳ぐらいにしか見えないが、筋肉質でも見事なおっぱいは揺れるものだった。
しかも、全員が全裸にポニーテールである。
萌える展開というやつだった。
一人を退けると、今度は二人、そして3人、4人と増えていき、最後は20人の女戦士と乱戦になった。
砂浜は戦いづらいが、地面に投げてもケガをしないところが良かった。
相手は屈強な戦士とは言え、少女である。
棒で突いたり叩いたりできない。
特におっぱいは貴重品である。
突き込んでくる槍を棒で絡め取り、おっぱいを揉むと『きゃ』と可愛い声で転がっていくことがわかった。
敵が減って行くにつれて、俺はひとりひとりのおっぱいの感触を楽しむようになった。
やがて戦士たちは、浜辺で座り込んで赤くなる少女に変わっていった。
「あああーんん」
最後のひとりを両手で揉んでいると、妊婦の族長が近づいてきて、両手を広げた。
笑顔で何かを言っているが、言葉がわからない。
「マナイ!」
「はい、領主様」
マナイはまだ全裸だったが、相手も全裸だから良いだろう。
先生も生徒も呆れてみているが、年少組ほど興味津々みたいだった。
そういえば、部族など見たことないもんなあ。
「ユウキ、お母さんよ。と言っています」
「お母さん?」
「はい、第2夫人という感じの言葉ですね」
「じゃあ、やっぱり親父の?」
「そう思います」
「母さんで良いのか?」
「ここでは第1夫人の妹と同じですが、お母様には違いありません」
はあ、親父め。
第2夫人などといい加減な嘘を混ぜたな。
実際にはもう第5夫人まで埋まっているだろう。
俺は新しい母さんの腕に抱かれて、なでられて、キスされて、最後はディープキスになり驚いていると、最後の少女が割り込んできて引き離され、キスされた。
「私の夫です」
「私の息子よ」
「キスは妻だけなの」
「良いじゃない、ケチ」
マナイはつまらなそうに同時通訳を続けてくれていた。
そういえば、マナイは妻ではなかったな。
やっぱり不満なのかもしれない。
俺はマナイを抱き寄せてキスした。
マナイは驚いて暴れかけたが、すぐに大人しくなった。
ついでに、おっぱいも揉んでおいた。
少女たちの歓声や感嘆やため息が聞こえた。
「マナイは俺の妻だ」
「は、はい」
「では、彼女たちと一緒に、アンドロイドたちに荷物を運ばせてくれ。カヌーを流さないように」
「はい」
「第1夫人らしく振る舞えよ」
「第1は無理です」
「まあ、先輩だな」
「はい」
まだ純粋な戦闘部族の少女戦士たちは、マナイを第1夫人と認めて、その指示に従っていた。
俺は新しい母さんを案内していったが、お腹がかなり大きくトテトテと歩きづらそうなので、途中から抱き上げて砂浜を横切っていった。
新しい母さんは満足そうにしがみついて、別の母さんを思い出させた。
どちらも、良い匂いがするところが共通していた。
ボルネオ島のアマゾネスは、3グループあって、男はいないらしい。
親父が接触したのは、この母さんのグループで、別に他のグループと仲が悪いわけではないので、一緒に新たな農作物作りに励んでいる。
少女戦士たちは、何人かは他のグループも混ざっているらしい。
ポリネシア系だと思っていたが、侍女たちが風呂に入れると普通にチベット系もロシア系も混ざっていた。
母さんは妊婦なので、慎重にお風呂に入れた。
ヨリが手伝ってくれたので、すべて上手くいった。
母さんは、ヨリの巨大さに驚いているようだった。
髪をカットして洗ってやると、精悍な顔がとても美しかったが、どう見ても年下だった。
『娘は残しておいた』
親父はそう言っていたが、十分に娘じゃないだろうか。
ヨリはため息をついた。
「せいぜい18です。下手をすれば年下かも」
母さんは何故か嬉しそうにヨリを撫でていた。
歓迎会は戦闘部族なので、大食堂で一緒という訳にはいかなかった。
安心しているようだが、槍は手放さないし。
食べ物は、何でも美味いようだった。
肉を出すと肉ばかり食べ、パンを出すとパンばかり食べ、鮭ビンを出すと鮭ビンばかり食べてしまい、ご飯を出しても味気ないようだった。
酒はやめて、運んできて貰ったレモンで、アイスレモンティーを作るともの凄く喜んだ。
「全員、もうこれ以上は食べられない」
母さんが笑顔でそう言うので、俺は悪魔になった気分でイチゴのショートケーキを持ってきて、切り分けた。
ひとり3つは食べて、みんな動けなくなった。
その夜は、訪問者が多かった。
ひとりめはカナで、アマゾネスをリゾートの従業員にしたいと言うことだった。
女だが、精悍な顔をしていて筋肉質で頼りがいがあるイケメン風なので、執事服なら受けるという。
俺にはよくわからない感覚なので、メナイと見習い3人に何人かと交渉して貰うことにした。
二人目はパドマで、ボルネオ島に新しい国を作りたいそうだ。
「ポリネシア人を移民させて、ドラヴィダ人を教育させる。男が入れば、豊かな国ができる」
「インド人でも良いんじゃないのか」
「駄目、まずポリネシアでバラモン探す」
「仏教徒はいないんじゃないのか」
「宗派はポリネシアのものが良い。呪術師とか祈祷師とかヒーラーとかは見つかるはず。ドラヴィダ人に殺されなければ合格」
何だか物騒な話だな。
焼き芋でも持たせるか。
バラモンとは宗派ではなく、階級を指すようだった。
国民は、みんなドラヴィダ人になるようだった。
まあ、ご機嫌なのでしばらくは好きにさせよう。
平和が一番である。
三人目はポリーナ先生で、少しだけでもロシア語の勉強をと言うので、少しだけならと勉強することにしたが、すぐに今日のビーチバレーの件を謝り始めた。
「別に気にしてませんから」
「気にして欲しいの」
「いや、羞恥心を持つ方が正常ですからね」
「でも、私だけ裸になれないなんて、先生失格のような気がするの」
「普通は、裸になる方が失格ですよね」
「祐貴君の前で練習していい?」
「えっ。いいや、ロシア語は」
「それどころじゃありません」
何だかわからないがワンピースを脱ぐとショーツ1枚の姿だった。ひもパンである。
勉強中なので、マナイは休憩していて誰もいない。
俺はゴクリとつばを飲み込んだ。
ポリーナ先生が、ひもパンの片方のひもを引っ張った。
「ユウキ」
入ってきたのは、新しい方の母さんだった。
ノックするとかのマナーはないから仕方が無い。
後ろからメナイが追いかけて来たようだ。
「うわーん」
ポリーナ先生はワンピースで前を隠しながら走って出て行った。
少し大きめのお尻が片方だけ少し見えていて、色っぽかった。
四人目は新しい母さんだったのだ。
「お腹が痛いから、一緒に寝たい」
メナイがそう通訳すると、少し面白そうにしていた。
「食べ過ぎだろうか。冷たいものを飲み過ぎたか」
「ユウキ」
涙目で懇願されると駄目とは言えない。
顔色は悪くないし、メディカルアンドロイドを呼ぶほどのことも無いだろう。
だが、言葉が通じないので、メナイに残って貰って、3人で川の字で寝ることにした。
母さんは俺にしがみついて幸せそうで、そういえば一人目の母さんもいつもこうして寝ていたなあと思った。
しかし、そうだとすると、二人目の母さんはアンで、3人目がカズネか。
アンはともかく、カズネとこんな風には寝られないよなあ、とか考えながら眠ってしまった。
「ユウキ、ユウキ、ユウキ」
母さんは、俺の上に乗ってしがみついて叫んでいた。
「メナイ、何事なんだ?」
メナイは何故か裸で出て行こうとしていた。
「どうやら、出産が始まるようです」
何だって!
ボルネオ島の出産方法なんか知らないぞ。
「とりあえず、出産経験のある方を呼んできます」
「ああ、豪華さんは2度経験しているはずだ。メディカルアンドロイドも頼む」
朝から大騒ぎになったが、母さんは俺にしがみついたまま、無事に男の子を産んだ。
「ユウキの赤ちゃん」
何故か母さんはそう呼んだ。
誰かが間違った言葉を教えたのだろう。
だが、アマゾネスの掟では、男の子を産むと島から出ていくことになっていた。
これは男の子を生む女が貴重で、何処に行っても重要に扱われることから来た習慣らしい。
族長でも例外ではないのである。
母さんは、ボルネオ島には帰れなくなってしまった。
まさか異母兄弟を産んだ母さんを追い出すわけにも行かない。
結局、母さんは慣れるまで暫く俺と暮らすことになった。
赤ん坊が泣いて、寝不足の日々が続いたが、母さんは侍女の世話を受けられるので快適そうだった。
「ユウキはマザコンだから、子供を産んだ女の方がいいのよ」
豪華さんが得意げに変な噂を流し、誰もが信じてしまうようだった。
「レモン、胡椒、パインは有望です。サトウキビはもう少し改良が必要でしょう。オリーブは絶品ですね。コーヒーはまだ収穫できないようです」
サクラコ、アキ、サラスの意見は一致していた。
バナナは輸送の途中で、みんな駄目になっていた。
ボルネオ島の産物の話である。
「こちらからの交易品は、米、麦、塩、味噌、醤油は絶対に欠かせません。ですが、彼女たちの要求は一つです」
「何だ」
「祐貴さんの子供だって」
アキが笑い転げた。
ボルネオ島の生活は厳しいが、部族同士の争いが無いから、女たちの避難所になっているのだ。
男が暮らすのは、殺されなかった強いやつか、何か役に立つことで女たちに認められた者で、すべてを妻にしていくらしい。
今回のような貿易は初めてだったが、俺は強いのと役に立つの両方で認められてしまい、向こうは向こうで子供を作らないと帰れないらしい。
そのために、あの年齢の娘たちを連れてきたのだ。
今更、タルト村に紹介するわけにも行かず、悩みどころである。
1番いいのは、ボルネオ島の掟を変えてしまうことだろう。
クラとロマの夏休みもあるしな。
夏期施設はあと3日である。
別立てよりは一緒の方が寂しくないだろう。
「パドマ、3日でバラモンを見つけられるか?」
「見つかるときは一瞬。探し出すと長くなるけど、帰りはひとりでも帰れる」
そうか。
帰りは、ホエール経由なら誰でも帰ってこれるんだよな。
「デリーの宮殿に連絡する。タイミングが合ったら迎えに来て」
「どの辺で探す予定なんだ?」
「ニューカレドニア、ボラボラ、ニューギニアかな」
「結構遠いぞ」
「エリダヌスの方が近い?」
いつか、迎人氏が地表から地表に行けるゲートを開発してくれるだろう。
そうなれば、一瞬で行き帰りできるようになる。
だが、まだ無理だ。
小型機で、クラとロマを迎えに行くか。
ニューヨーク国際空港でパドマと別れた。
イースター島辺りで、インド海軍の軽空母が支援してくれるという話が出てきたからだ。
アメリカの企業に改装を頼んでいたらしいのだが、例の金塊で支払いができて、試験航海に出られたらしい。
まあ、今はレーザー艦の時代だから軽空母は支援艦である。
輸送や救助の役には立つが戦闘には向かない。
200トンの航空機は、3万トンのレーザー艦に絶対に勝てないからだ。
射程も照準も同じなら出力が強い方が勝つのだから、射程が下がる航空機は100%落とされる。
だが、オペレッタは防御の兵器で、その常識を覆そうとしているから恐ろしい。
軌道上のレーザー艦の方が強くなったら、地上と海上の兵器はみんな型落ちになってしまう。
まあ、今後は惑星の防衛は軌道上に移らざるを得ない。
そうなると、国家は連合するようになるだろう。
敵味方が、軌道上でひしめいても仕方が無いのだ。
戦わない方が有利だと、いつかは気づいてくれるだろうけど。
パドマはアメリカ空軍のプラズマジェット機で、連れて行ってもらえることになっている。
俺の方はロシア大使館から迎えが来ている。
エリダヌス大使館は動けないらしい。
今朝から、中国の大豆農民が押しかけてきているのだ。
クラ大使ではなく、俺が現れるのを待っているらしい。
中国の政府関係者じゃあないところが、大豆農家が少数民族であることを表していると思う。
迎えにはイリエンコワ大統領ではなく、ポリーナ先生の母親のカテレヤが待っていた。
2等武官だというが、腕力ではない情報部だった。
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