69 風習と因縁
69 風習と因縁
ドウが執筆、編纂している『領地法大全』、『村民法解釈』は読むことができるが、『侍女辞書』と『妻と女官の境界』は、読ませてはもらえなかった。
妻たちの秘伝の書である『妻事記』は、当然だが目にすることもできない。
領地法大全は、俺とタルトの契約が最初に書かれていて、そこから発展していった土地と税と権利に詳しい基本の法律である。
男は土地を10石開拓し本農になり、親や妻子を養うことになっている。
村長は本農から選ばれ、選ぶのも村の本農たちである。
10石開発が終わらない者は従農であり、小作を雇って本農を目指す。
本農が開拓を手伝うのを合力と呼び、普通は本農が小作に開拓を手伝ってもらったお礼であるが、未熟な開拓者を指導するために合力になることもある。
小作は自分の畑の開拓の許可が出るまで従農の開拓を手伝う者たちだが、村長が技術を十分に取得したと判断すれば、村長推薦によって代官に新規開発区の開拓を認可される。
その時に開発資金として代官から小麦を10石支給され、自ら開拓を行う従農となり、開拓に成功すれば本農となる。
開拓時に本農の合力には小麦3石、開拓に小作を雇った場合には小麦4石を謝礼とする。
本農になれば、開拓した農地から収穫の1割が領地税として徴収されるが、現在では村民税(村の蓄え)が2年目の収穫から徴収される。
これら本農、従農および小作の者と家族は村民である。
職人もこれに準じるが、所属は村である。
製品の販売は村としてのものになるが、村の産品を仕入れて個人で販売することも村長と代官の認可をもらえれば小売りに限り可能である。
ただ、畑を持たずに本農と同じ扱いの職業ができてきた。
大工、養鶏、養猪、養蜂、それに鍛冶である。
父ジャケは養鶏、養猪もやっているが、身分的には大工であり、その弟子は小作と同じ扱いである。
今の所、独立できた弟子は二人しかいないが、それも父ジャケが推薦した者を代官が認可し、村長が受け入れて、そこで大工になる。
まあ、何処の村でも引っ張りだこの職業だが、徒弟制度であり、一人前になる技術取得期間は人それぞれである。
サンヤは牧場主であり村長と同じ扱いだが、村民は今の所小作にしかならない。
今後はわからないが、サンヤは牧場を分割して独立させる気がなく、芋やトウモロコシなどの畑も入会地(村の共同管理用地)であり個人所有にはしていない。
裏山や村に接する森林、果樹園や貯水池などは村長が管理する入会地である。
開発予定地や河川、石切場、道路などは公共の場であり、領主の許可なく勝手にすることはできない。
鮭の遡上時に、鮭を捕らえるのは自由というよりは領民の義務である。村の食料備蓄を促進するために村人は強制参加である。
但し、収穫後は何処も祭りである。
一方でウナギや鮎、しじみや川海老を捕るのは、領主の許可はいるが村長の権限である。
アサリ、ハマグリ、岩のり、テングサ、キノコ(自生種)の採取には、侍女の資格が必要である。
村々の境界は、一番近いカマウ村とタルト村でも30キロ離れているから土地争いは当分起こらない。
しかも隅田川があるから、自然と区分ができている。
しかし、サンヤは今後どうするのだろうか?
独立させて、仲間同士での価格競争になるのがいやだというのは理解している。
だが、競争しなければ各村に養鶏と養猪にまわす余裕が生まれた時に、牧場経営が危機になるかも知れない。
まあ、後10年は、そんなことは起きそうにないのだが。
村民法解釈には、村民の権利や義務が細かく書かれているが、女にはやはり権利はない。
夫と権利は共有してはいるが、夫に従うのが女であり、娘は当然親に従う。
娘は親が成人と認めれば、村長を介して婚姻を行う。
その時、村長は資産や家柄ではなく、血統を判断する。
例えば、タルトの息子メルト・タルト10歳は、ナナ・タルトの娘ヒサ・コラノとは叔父姪になり結婚できないが、ナナの夫であるトリノ・コラノの第2夫人の娘となら結婚できる。
勿論、コラノの娘たちとは結婚できるが、その場合メルトの息子はコラノ家の誰とも結婚はできない。
こうした判断を村長が行うが、一夫多妻制だから、ややこしくもあるが、いとこ婚を禁止する代わりに第2夫人の血統が違えば叔父姪でも結婚できるのだ。
血統から追いかけると、強力な夫と第1夫人の政略結婚より、第2夫人の自由度が結婚には有利になる。
しかし、困るのはそこではない。
ユウキ領は特別な存在で、上位者となっている。
権利がない女には、俺や息子の祐馬を拒絶する権利がないのだ。
「おい、ドウ。これじゃあ困るぞ」
「どうしてです」
「だってなあ、これじゃあ俺と祐馬は人妻と子作りできるみたいじゃないか」
「できますよ。当たり前じゃないですか」
「それは変だろう。人妻なんだぞ」
「領主様は村人の『祭り』をご存じないのですね」
「フェスタじゃないのか」
「フェスタ、収穫祭、ブドウ祭り、鮭祭り。部族時代から、祭りの時には人妻と森に行く権利はあったのですよ。それを取り上げることは、女たちには大きな悲しみです」
「どうして女たちなんだ?」
「女は夫を選べない代わりに、男を産んだら、祭りの時だけは他の男と子作りしても構わない風習があったのです」
「それは、夫たちも認めているのか」
「勿論です。自分たちだって人妻と子作りできる機会だからです。何人もの人妻に呼ばれる強者もいますよ」
まあ、日本でも江戸時代までは、農村の風習として祭りの時はかなり好き勝手にできた。
道徳教育など、武家や金持ち以外なかったし、町人たちでさえ、妻を借金のかたにしたりした。
旅人に、妻や娘を一晩あてがうことも、身分が高い相手には行われていた。
後家(未亡人)などは、村の男たちに貢いでもらい、生活するものも多かった。
田畑があっても子供が幼い場合、村の男たちに畑の維持をしてもらわなくてはならなかった。
年貢は情け容赦なく取り立てられ、田畑が維持できなければ、子供には継がせられなくなるからだ。
嫌なら、婿を取らなければならないが、大抵は嫌な男で、下手すると前の夫の子供は売られてしまうこともあった。
貞淑さなどと言うのは、教育が施されてから獲得するものだったが、教育自体が裕福なものしか受けられなかった。
「要するに、跡継ぎを産んだ褒美みたいなものか」
「昔は、男の子を産む女が貴重で共有したいからだったと言われていますが、今では女たちの唯一の権利みたいですね。段々男の子でなくとも子供を産めば構わなくなったようです」
「今でも、行われているのか?」
「小部族は好き勝手にしていたのですから、村でも祭りの時ぐらいは好きにやってますよ。領主様狙いは、タルト第1夫人、第3夫人、コラノ第2夫人、第3夫人、子ジャケ第1夫人、トリノ第1夫人、カマウ第2夫人、サンヤ第1から第3夫人あたりが強力です」
「……」
タルト第2夫人はリリの母で、コラノ第1夫人はカズネの母親だから抜けているのか。
それとも個人的なものか。
そう言えば、タバサはサラサにそっくりになって、最近ドキリとするんだよな。
姉だけでも大変なのに、妹と母親まで出てきたら、いや、出てきたら、どうするんだ?
しかし、サンヤの夫人なんて知らないぞ。
ズルイから解放したんだっけ。
「侍女のメンツもありますから、いつも見張らせてます。今回はクラが見張りを解除されて困りましたが、接触してきたのがナナとサラサだけでしたね。助かりました」
そう言えば、ナナとサラサは待っていたと言ってたな。
「助かってないんだが」
「ラーマ様が、ナナとサラサだけは許してあげてと仰いましたので、そのようにしました。私たちにとっても姉みたいなものですし」
ラーマが?
確かに、二人のことも現地の風習にも詳しいのだが。
じゃあ、ラーマがその気になったらどうなるんだ?
「もしかして、ラーマやタキやレンも…… その」
「その、何です?」
ドウは意地悪だったな。
「何でもないからね」
「ふふん、そうですか。じゃあ、教えません」
「気にならないからね」
「ええ、そうでしょうとも」
くそ、いじめっ子め。
「いや、けしからん風習じゃないか」
「風習を掟で取り締まるわけにはいきませんよ」
「だが、なあ」
「娘たちが始めるよりは良いんじゃないですか」
「そりゃ、そうだな」
確かに少女たちが祭りに好き勝手やったら、結婚制度が崩壊しかねない。
地球でも未成年を取り締まったのは、そんなことが背景にあるのだろうか。
不純異性交遊とか、ロリコンとか。
未成年者が恋をするのは不純なのかと疑問だったが、人権を考えると不倫の方が犯罪のような気がする。
全部、大人の事情か。
女子中学生の方は、処女のまま卒業するのはいやみたいだがな。
こんなことを男友達に話したら、中学校に男どもが押しかけるかな?
「その、人妻が認めてるんだよな。無理矢理なんてないよな」
「選ばれた男が、拒むこともあまり認められていませんけど」
しかし、俺の妻たちもそうなのだろうか。
イリスとサラスは、これから子供を産むのだから除外か。
「おほん!」
「何だよ」
「男は拒めないんですよ」
「ああ、聞いている」
「ラーマ様たちなら、祭りの時に一切外に出ようとしませんでしたよ」
「?」
「鈍感」
ああ、そうか。
外に出ないと言うことは、他の男はお断りと言うことなんだな。
「もう、グニャグニャ。気持ち悪い」
うるせえ、妻に愛されなくて誰が愛してくれるんだよ。
「侍女辞書、禁止」
「結局それか!」
「侍女を拒むの、禁止」
「考えておく」
「人妻、禁止」
ドウは事務口調をいつものオフに戻すと、立ち上がった。
女官は俺より忙しいのだ。
侍女辞書は、結局読ませてもらえないらしい。
「ああ、カリモシ村の3人の少女だが」
「お手つき?」
「いいえ!」
「じゃあ、合格」
ドウはそこで去っていったが、合格というのは俺のことか、3人の少女のことかわからなかった。
先日、赤城山を引き払い、4段目までの飛行に成功すると、何故かカオルコが息子祐馬を抱いて出迎えた。
「ヨリママ!」
何故か父親を無視して、祐馬はヨリを出迎えて、ヨリは祐馬を抱いてグシャグシャになっていた。
まあ、俺でもそうするだろう。
普段からラーマと心が通じ合っているので、ヨリは仕方がない。
「サクラママ」
「カオルママ」
「リンママ」
「カナママ」
「ルミママ」
「チカコ」
何故か、チカコ以外はママになっている。
留守番組の陰謀だ。
ミヤビとミサコはショックを受けている。
何故かアキもショックのようだ。
更にひどい陰謀も組まれていた。
サンヤの娘が二人、祐馬の遊び相手というか許嫁だろうが、送られてきていたのだ。
祐馬よりも半年ぐらいお姉さんだが、祐馬は妹たちよりも遊び甲斐があるのか、喜んでいた。
まあ、俺でもそうするだろう。
ラーマは追い返すわけにも行かず、苦笑して受け入れていた。
タルトの長男のメルトにも3歳ぐらいの幼女が許婚として送り込まれたらしい。
第2夫人にはなるかも知れないと、タルトもやはり苦笑していた。
だが、タルトもコラノも新たに息子ができているので、あんまり真剣には考えていなかった。
サンヤの悩みはわかる。
人材不足である。
少年兵が強くなり、牧場は大丈夫だろう。
畑も、女たちが望んだほどではないが、牧場経営に十分なほどには収獲がある。
小麦も米も、家畜で十分に交換できる。
それが人を育てない環境になっている。
一度は消え去ろうとしていた衰退する部族の人員構成が原因で、これから10年以上かけて人を育てていかなければならないのに、現状に満足している者が多すぎた。
合議制にまで落ちた老人たち幹部。
ズルイから引き継いだ女たち。
若くして妻を迎え、平和に満足している少年たち。
生まれてくる子供の多さ。
そこそこの裕福さ。
老人と若い少年しか残ってなかったところに、ズルイから嫁が来て子供を産み始めた。
部族としては万々歳だが、侍女や女官や俺の妻を送り込めなかったし、農業の専門家も少ない。
タルトもカリモシもニタもカマウも、部族のしがらみを背負わずに、使える人材を選んで新規に村を開発して村長をやっているが、サンヤは人材の再編が起こらなかった。
特に若い女がいない。
妻ばかり迎えてしまった。
ススが奇跡的に手元にあった、たったひとつの手駒である。
クラやロマは、傘下からひねり出したに過ぎない。
サンヤから見れば、後宮の勢力図は、
ラーマ。(スルトかカリモシ族)
タキ。(スルト族)
レン。(カリモシ族)
サラス。(ズルイ族)
イリス。(ズルイ族かニタ村)
キン。(タルト村)
ギン。(タルト村)
ドウ。(タルト村)
スス。(サンヤ牧場)
クラ。(ナルメ村)
ロマ。(ロン族)
と、なっている事だろう。
どう考えても、タルト村かカリモシ村が有利である。
ススやクラが出世しても、子供を産んでないから心配なのだし、産んでも出遅れていると思うことだろう。
そこで、次の世代をかためることにしたのだ。
サンヤの次の手はこれだった。
中枢の俺のところと、タルト村に嫁を送り込み、次世代をサンヤの色にしておく。
どうも政治は苦手だ。
農民は不安か、サンヤ?
俺は久しぶりに、迎賓館で男たちを呼んで宴会をした。
タルト、コラノ、父ジャケ、スルト、タマウである。
「サンヤは10年後が心配らしい」
「心配ない。サンヤが肉を売る先が更に増えたんだ。北の村の農機具の成功で、あそこもすぐに肉を買うようになる。イタモシとパルタも畑が広がっているから、サンヤの肉を仕入れるようになるぞ。うちの芋が売れない方が心配だ」
「しかし、農業技術が低いままだろう」(コラノ)
「最初から牧場を選んだのだから仕方ないぞ」(タルト)
「ギルポンやナルメが傘下で伸びているから、焦りはないでしょう」(父ジャケ)
「しかし、ニタが農機具で伸び始め、傘下に3つの村ができはじめている」(コラノ)
「ロン族が農民になる方がビックリじゃが」(スルト)
「そうそう、以前は言葉も通じなかった」(タマウ)
「そのロンは米が気に入って、水田を作り出したんだ」
「ニタが大変じゃな」(スルト)
「今年の収穫予想が出たんだ」
「教えてくれ」
「一位はタルト村だな。1家族17石は他では考えられない」
「頑張ったからだな」
「真面目にやっている」
タルトとコラノはもう50石も畑を持っている。家族も多いが金持ちだ。
ナナ&サラサは、一応儲けを出さない公益法人のようなものだが、資産は凄い。
「2位はカリモシ村、僅差でニタ村が3位だ。一家族8石。ただ、両方とも難民を世話しているから、実際には少し下がるのだが」
「ニタは例の砂金をユウキ様に売っているのだろう」
「ああ、それも3つの新しい村に投資している」
「ニタは良い奴だな」
「村を育てれば自分の村も豊かになる」
「4位がサンヤだ。1家族6石。5位がラシ村で5石半。6位がナルメで4石。ギルポン、イタモシ、パルタも一人1石を割ったが、産物があるだけギルポンが少し良い」
「ナルメは陶磁器収入だろう。土鍋も売れている」
「カマウは儲けているだろう」
「カマウは村民が小作ばかりで、本農は少ないんだ。収入はあっても収穫が少なく、人口も多いから一人当たりは3000リナと見ている。難民が多いしな」
「それでも、我々の時代よりは恵まれている。餓えがないからな」(タマウ)
「そうじゃな」(スルト)
タマウもスルトも優雅な隠退生活をしている。
家族がみんなバラバラで、手伝えないからだ。
だが、囲碁や将棋を教えたりして、侍女たちに面倒をみてもらい、羨ましい老後かも知れない。
やがて酒が回り始め、昔話に花が咲く。
みんなオヤジだから仕方がない。
しかし、侍女のお尻に触ったりしないのが文化的に異なるのだが。
酔って女に手を出すのは、ズルイしか見たことがない。
「ところで、七湖というのはそんなに良いのか」
「俺は見たこと無いが、サンヤは綺麗だと言っている」
「ロンの領域なんだろ、安全なのか」
「ギンが安全だと報告してきた。カリモシの第8夫人だった例の侍女がロンの第2夫人になった。ロンの第1夫人が初めて受け入れたそうだ。仲良くやっているらしい」
その後、コラノが伝え聞いた話を聞かせてくれた。
「昔、北方の3美人と呼ばれる姉妹がいた。ラーマ様はその長女の家系だ。アンも同じだろう。レン様は3女の家系だと言われている」
へえ、ラーマとタキとレンは先祖が姉妹か。
「タルトの第3夫人も、うちの2番目の妻も次女の家系らしい。カリモシの第8夫人も同じ家系なんだ。部族では男の家系になるから、女の家系で語られるのは、この3美人の家系だけだ」
「詳しいじゃないか」
「カリモシが3美人の家系に夢中になった時代があって、北方を荒らし回ったんだ」
「しかし、サラサとカズネとタバサはよく似ているぞ。第1夫人は3美人じゃないんだろう」
「ああ、そうだ。だが、俺の母は長女の家系だった」
ビックリ仰天だ。
確かにコラノはイケメンだが、ラーマたちの親戚なのか。
「だが、3美人の家系よりうちの家系の方がおっぱいはでかいぞ」
「そうだな」
タルトが混ぜっ返すと、そこからは酔っぱらいの卑猥なジョークが飛び交い、暫くは男ばかりの話で盛り上がった。
侍女たちが姿を消していた。
入れ替わるようにナナ、サラサ、カズネ、リリ、タバサまで現れた。
「タルトもコラノも飲み過ぎです。ユウキ様を巻き込まないで下さい」
父親を呼び捨てにする文化はなじめないが、現地ではそれが敬語なのだ。
「ユウキ様、私たちも七湖を見てみたいです」
「ナナはお腹が大きいから無理できないだろう」
「子供は森があれば何処でも産めます。私たちはずっとそうして来たのですから」
「もう狩猟民族じゃないぞ」
「それでも、元々は狩猟民です。野宿だって平気ですよ」
そう言えばサンヤ橋には宿泊施設ができていたっけ、ギンが春の指導で行ったときに完成していたと言ってたな。
「タルト、大名旅行をしてサンヤに接待させるか」
「大名?」
「贅沢すると言うことだ」
「それが良い、サンヤの悩みは血に縛られているとかいう部族時代の因縁だから、俺たちが行ってからかってやろう」
部族時代の因縁?
「サンヤは、サンヤの血だけしか牧場にないのが怖いのだろう。他の村は、どの部族の者も混ざって同じように村民になっているからな。部族は部族しか入れないが、村には誰でもが頑張れば入れる」(コラノ)
「それこそ、元ズルイの3美人の家系が一杯入っただろう。何故怖がるんだ」
「女の家系は、あんまり考慮されない。3美人は特別なんだ。裏話とでも言うのか」
自由な村と閉鎖された部族か。
それで、次の世代を中枢部に送り込みたいのだろうか。
そうか、それで俺狙いにサンヤの夫人が入っていたのか。
風習と血の因縁。
サンヤが考えたのか、夫人たちが思い付いたのか。
しかし、とりあえずは旅行だ。
どうせなら一杯連れて行こう。
中枢部がサンヤを信用して押しかければ、少しは安心するかも知れない。
父ジャケに頼んで、またしても先行して貰う。
八さんと熊さんにアンドロイドを10体任せる。
宿泊施設を昇格させるのだ。
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