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夢の処女惑星  作者: 菊茶
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67 試験段階

 67 試験段階




 エンジン部分は今のところ何も問題はなかったが、制御系統の方は難しく問題ばかりだった。

 トレイン1両につき4基のプラズマエンジンを設置し、2両で8基である。

 これの出力を安定させ、バランス良く飛行させるのは至難の業だった。


「宇宙に出るまでの事だから、翼でもつけて飛ばすか」

「重くなるし、離陸は良いけど着陸ができなくなるわよ」

「元々、着陸は考えてなかっただろ。普通の惑星なら軌道上にプラットホームがあるからな」

「墜落も考えてなかったでしょうね」


 確かに、トレインの墜落事故は初めてだった。

 できれば、二度目も避けたい。


「ならば、2両にわけてしまうのはどうだ。4基のエンジンなら制御も楽になるだろう」

「制御室、いいえ、操縦室をもう一つ作らなきゃならないわよ。積載量も減るし」

「それはちょっと無駄か」

「操縦装置で動かすことが、こんなに大変だとは思わなかった。専用のAIを積んでいれば、音声入力だけで済むのにね」


 ミヤビも大分疲れている。

 エンジンの出力試験の時には、無理矢理パワースーツを着けさせて、随分と文句を言われた。

 それでも、ケガされるよりは良い。

 最悪プラズマが暴走すれば、俺のスキンスーツじゃケガは免れないし、パワースーツでも10秒以内に逃げ出さなければ、ロースト状態になってしまうからだ。

 その一番危ない部分は乗り越えたのだが、一番難しい部分で止まってしまったのだ。


 プラズマエンジンは、ホバーの例でもわかるようにじゃじゃ馬である。

 何もない宇宙では、反動がでかい方が加速に繋がりやすいから重宝だが、地上ではドンと来るのはあまり好ましくない。

 まして、8台が同時にドンとなれば、1箇所弱いだけでひっくり返る。

 ミヤビが言うには、100分の1秒単位の制御が必要だろうとのことだが、人間じゃ3分の1秒程度しか反応できないし、その上で8台のバランスをとるなんてとても無理である。


「ホバーみたいにプロペラで安定させるしかないんじゃないか」

「それは翼と同じよ。宇宙では邪魔になるし、大気圏突入時には焼けてしまうわよ」

「ロケット燃料で飛ばすのは?」

「固形燃料ロケットブースターが最低6基必要ね。30m級の奴ねえ。それも同時制御しないと」

「トレインを立てて飛べば2基ぐらいで済むかも」

「切り離しまで6Gとかいやかも」

「高度3万ぐらいまで飛べば何とかなるんじゃないのか」

「そこで、ひっくり返ったら?」


 うーん、想像したくない。


「シップ型なら、エンジン2基で飛べるのよ。ホバーも資材船も、安定して飛べるでしょう?」

「それでも、オペレッタの制御なんだけどな」

「ここではタイムラグがあるから、手動で動かせるぐらいの安定性がなければ遠隔操作も無理よね」

「やはり、AIか」

「この際、汎用AIでも仕方がないわね」

「ミサコは、いやがるだろうな」

「あなたの交渉術が優れていることを祈るわ。正確には婚前交渉術と呼ぶのかなあ」


 とてもいかがわしい術名だな。


「あんまり期待されても困るぞ」

「私には有効よ。自信を持って良いわね」

「はいはい」


 やるべき時には、やらなくてはならない。

 俺は、ため息をついた。


「ミサコ」

「はい」

「農業用アンドロイドの改造なんだが」

「3台も犠牲にするんですか。可哀想です」

「終われば、元に戻すチャンスもあるはずだよ」

「いいえ、記憶は消去されます。元通りにはなりません」


 その夜、ミサコを説得しきれずに、ミヤビの予想通り、婚前交渉術まで使わなければならなかった。


 部屋の隅で見ないことにしてくれている侍女たちに、その行為そのものよりも、説得している所を聞かれる方が、とても苦痛だった。


「スケコマシって、妻にも使うものなんでしょうか?」

「違うからね」

「それとも、ジゴロ?」

「違うからね」

「じゃあ、ちゃんと妻として、もう一回ですね」

「はい」


 汎用AIを操縦室と、トレインの車両の1両ずつに設置することになり、ミサコとミヤビは一部の設計を見直した。

 その後、3台のアンドロイドを領地から運んで解体し、設置して、プログラミングし直すまで、俺はミサコを励まし続けなければならなかった。


「きゃははは、ジゴロ? スケコマシ?」

「うるさいぞ、ミヤビ」

「チカコには野蛮人と呼ばれてたわね」


「ロリコンとも」

「ヨリ!」


「色情狂って、カオルコが言ってた」

「アキまで!」


 ギンには結婚詐欺師と呼ばれたが、黙っておこう。


「でも、その顔でジゴロなんて、ミサコはどれだけ美化してんのかなあ」

「ほっとけ!」

「男は顔じゃありません」

「ヨリ、それ褒めてないぞ」

「一発で決められないようじゃ、ジゴロとは言えないわよ」

「うるさいぞ、ミヤビ」

「でも、顔じゃないし、頭も悪いし、一体何処に惚れたのかなあ」

「分析するな!」

「きゃははは!」


 人格だか個性だかを取得したアンドロイドは、確かにモノ扱いしづらい。

 ミサコはずっとアンドロイドの世話になって育ったから、余計につらいのだろう。

 俺だって、あり得ないがリーナさんを一度消去するなんて事になったら、命がけで阻止するだろう。


 そして今日は、この3ヶ月ほど気分が優れなかったミサコの慰労会である。


 下級生は下級生だけで勝手にやってもらうことにして、リーダーたちだけ招待し、料理と給仕は侍女とカリモシ村の手伝いに頼んだ。

 場所も夏フェスの宿泊施設を貸して貰っている。


 次の夏フェスまで1ヶ月もなく、会場一帯ではカリモシと参謀のニタが幹部と一緒に準備を始めていた。

 お陰で警備の心配はまったくない。


 慰労会は波乱なく進んだ。

 ゲストのミサコはとっくに酔いつぶれている。

 ロマが毛布を掛けてくれていた。

 クラが、梅モドキのパイを焼いて持って来た。


「はあ、ミサコ様は寝てしまわれましたか」

「クラさん、とても美味しそうにできましたね」

「アキ様、ありがとうございます。ご試食頂けますか」

「勿論です」

「私にもね」

「はい、ミヤビ様」

「自分は大きめに」

「はい、ヨリ様」


 クラは一瞬、俺を見るが、すぐに目を伏せる。

 仕事中、女神様とか村長とかキンたち官僚とか偉い人が側にいるときは、絶対にベタベタしない。

 専従侍女は、そう言うことになっている。

 キンたちもそうだったから、そう躾けられているのだろう。

 オフの時は別だが。


 だが、酔っぱらいの女たちはお構いなしである。


「クラさん、ユウキさんに先に食べて欲しいの?」

「い、いえ、そんなことは」

「へえ、流石にジゴロねえ」

「ジゴロ? ですか」

「食べきれないほど、女を持っている男のことよ」

「食べきれない?」

「そうよ、クラさんもパイと一緒に食べられちゃうわよ」

「そうそう、クラのパイも最近大きくなってきたし」

「おい、ミヤビ。下品な話にするな」

「いいのよ、今日は私たちの慰労会なんでしょ」

「うっ、確かにそうだな」


 本当はミサコの慰労会なのだが、それじゃあミサコが萎縮するので、リーダー全員の慰労会ということになっている。

 ミサコが潰れるのが早すぎたのだ。


「しかし、酔って絡むのはカオルコの役目だったよな」

「あら、私だって絡むわよ」

「アキも今日は絡みますよー」

「自分は、明日まで我慢します」

「さあさあ、クラさん」


 アキがクラに何かを教えている。

 クラは嬉しそうに俺の前に来ると、腕を後ろに組んだ。


「クラのパイ、食べて頂けますか」

「ぶほっ」

「ああ、領主様、大丈夫ですか」


 クラが背中をさすってくれた。

 ミヤビとアキが大笑いしている。

 いつもは思いやりに溢れているアキも、酔っぱらうと性格が悪くなるようだ。


 俺はきまりが悪いので、潰れたミサコを抱っこして部屋に運んだ。

 毛布を掛け直してやる。


 この宿泊施設は父ジャケの設計で、北側に玄関と縁側がついた大部屋があり、廊下を隔てた南側には6畳間の個室が並んでいる。

 玄関の奥が今日の宴会場である食堂で、キッチンと風呂に繋がっている。

 大部屋の雨戸は念のため閉まっていて、廊下も壁と引き戸ばかりで真っ暗だった。

 部屋の跳ね上げ式の明かり取りから、夕暮れの明かりが少しだけ入ってきている。


 充電式ランタンを持って来てあり、それをヨリとアキの一部屋、ミヤビとミサコの一部屋用意してある。


 俺はいつもどおり侍女たちと一部屋だからランプである。


 宴会場は広いので、そのランプを沢山使っている。

 これは、獣脂やコーン油やアルコールを燃料とし、ヘチマたわしの使い古しやワラを叩いて加工して灯心にし、円筒状の樹脂ガラスの片面に金箔を貼って、反射鏡にしたものをかぶせた構造である。

 火をつけると蝋燭より明るく、琥珀色と金色が混ざり、少しムードが出る。

 酸素が多いこの星では火事が怖いので、かなり安全設計してある。厨房キッチン食堂ダイニングが分けられているのも、火を使う場所では安全のためにレンガや石を積むので、防火、消火及び換気などを配慮して建築しやすいように設計してあるからである。

 ランプを使うのも侍女や見習い資格者がいて、防火を確認できる場所だけである。

 更に樹脂で防火対策してない部屋での使用は禁止されている。

 まだ、超高級品なので、今の所は囲炉裏の方が復旧しているが、その囲炉裏もまだまだ贅沢品である。

 暗くなったら寝るのが生活の基本だ。


 ミサコを寝かせると、きちんとお休みのキスをする。

 それから、ランタンを薄明かりにしておく。

 これで夜明けまでバッテリーがつ。

 夜中に起きても、小用ぐらいは何とかなるだろう。


 宴会場に戻ると、ミヤビとアキが侍女たちに酒を飲ませていた。

 オフのヨリまで楽しんでいる。


 俺は2杯しか飲まされていないので大丈夫だが、今夜は誰も彼もが酔っぱらいになりそうだった。


 ああ、凄い笑顔でヨリがパイを持って来てくれた。

 俺の膝に座り込み、パイを口に押し込んでくる。


「美味しい?」


 可愛いモードのヨリだ。

 二人きりの時以外は見せたことないのに。


「ヨリとどっちが美味しい?」


 もはや質問の意味すら不明だが、何となく答えはわかる気がする。


「ヨリの方が甘くて美味しいよ」

「良かった」


 そのままヨリは俺の肩に頭をのせて寝てしまった。

 ヨリが酔い潰れるって、どれだけ飲んだのだろう。

 それでも潰れない彼奴らって?


 考えるのも恐ろしいので、ヨリを抱っこして部屋に寝かし、キスしてから、ランタンを薄明かりにしておいた。

 ヨリの部屋には俺が作った革のマントが掛けられ、八角棒が置いてあるので寝床までが直ぐにわかる。


 思春期の少女の一途な想いとは、心に痛いほどである。


 男とは馬鹿なもので、格好つけるばかりで少女の想いに応えられない。

 応えられてないと気付いた頃には、男は思春期ではないのである。


 親孝行と同じようなものだろう。

 生活全般の面倒をみてもらいながら、母親にありがとうとお礼も言わない。

 自分で掃除、洗濯、食事などをする生活を経験して、如何に大変なことだとわかっても、まだ何処か母親はしてくれて当然とか思っている。

 母親にいくばかりか恩返しをしようと思う頃には、もう母は老いてしまっていて、自分はもう子供に戻れない。


 妻がいても、当然子供もいて、妻は夫の世話まではしてくれないのである。

 稼ぎが悪いと、ワイシャツのアイロンかけは自分でしなければならない。

 クリーニング代が馬鹿にならないからである。

 うちは、妻たちが毎朝パンツまで出してくれるのだが、こんなことは奇跡である。

 食卓に座って妻に『醤油』とか言うと、醤油差しを投げつけられるのが普通である。いや、ビンごと(ボトルごと)投げつけられるかもしれない。

 実験する前に、自分の年収を考えた方がいいだろう。


 まあ、でも、少女の想いは、どんなことも可能である。

 実は、口喧しいミヤビも、俺の役に立ちたいという想いで一杯である。

 自分が誰よりも役に立つことを証明したいのだ。


 それに甘えて、大役を任せっきりである。

 利用するばかりで心苦しいと思うのは、彼女にとっては哀しいことだから甘えきっている。


 ミサコも同じである。

 何故か自分自身を役立たずだと思い込んでいるが、いつだって俺の言うことを理解して協力しようと努力してくれている。

 ミサコは自分を甘えん坊だと言うが、甘えているのは俺の方である。


 それでも、気付いたらお返しをしたいと思うのが人情だろう。


 だが、人が人にしてあげられることなど殆どない。


 一緒に歩く事はできても、代わりに歩く事はできないのだ。

 だからこそ、出来る事をやらなければならない。

 ヨリの幼い寝顔を見ながら、そう思った。


「領主様」

「どうした、クラ」

「クラを置いていってはいやです」


 これはかなり酔っていそうだ。

 まったく、侍女は仕事中なんだぞ。

 勝手に飲ませやがって。

 ヨリにちゃんと毛布を掛けると、よろけているクラを抱き留めた。


「ちゃんと、ここにいるだろう。しっかりしろ」

「いいえ、遠くを見ていました。クラにはわかるんです。きっとついて行けないほど、とても届かないほど遠くに行ってしまうのです」

「連れて行くよ」

「本当ですか」

「ああ、一緒に来てくれって言っただろう」

「嬉しいです」


 そのままクラも潰れてしまった。

 クラも部屋に寝かせてから戻ると、大体予想どおりだった。

 テーブルに突っ伏してブツブツ言っているのはミヤビだけだった。

 そのミヤビも目は開いていない。

 後は全員が酔い潰れている。


 火が怖いので、キッチンから先に片付ける。

 マナイとメナイはお互いに寄り添うように寝ていた。

 マナイを抱き上げると、メナイが床に倒れたが、起きる気配はないので、先にマナイを部屋に連れて行く。


 うん、おっぱいがサナイに近づいているぞ。


 つい、抱き上げるときに掴んでしまっただけである。

 次はメナイだ。

 こっちもなかなかどうしてである。

 つい、寝かした後、両手で掴んでしまった。


 次はキヌだが、こちらはつかみ所がない。

 まあ、仕方がないか。

 手を動かすと、僅かに軟らかい部分があったが、薄暗い中なので視認はできなかった。

 いつでも見られるので、あんまり意味はないのだが。


 さて、アキとミヤビだ。

 流石に奥さんは抵抗なく抱き上げられる。


 同じ奥さんでも、人妻だと持ち上げられないのは何故だろう。

 心が邪だとかそれっぽい説明をする人がいるけど、抵抗なく人妻を抱き上げられる人の方が問題ではないだろうか。


 しかしだ、ここまで酔っぱらえるのも、夫しか男がいない環境だからだろうか。

 危機意識が全くないような気がする。

 本当にそうなら良いのだけれど、証明不可能な命題に取り組んでもしょうがないし、とと、少しよろけるぞ。

 まだ、2杯しか飲んでないんだが。

 愛する奥様を寝かせてチューをする。

 んん、酒臭いよ、奥さん。


 さて、アキである。

 『お兄ちゃん』とか呼んでくれると楽になるのだが、一応は背中を揺すってみる。

 おっぱいが揺れるのは不可抗力である。

 今まで意識したことがないおっぱいが揺れるのは少し緊張する。

 しかし、返事がない。

 正体不明のようだ。

 何だってみんなこんなになるまで飲むのかなあ。

 俺みたいに、2杯が限度なら2杯でやめるように心がけるべきなんだよーなー。


 妹のおっぱいなんか、何にも感じたりしないんだからねー。

 やらけー、とか、あったけー、とか、感じたりしないもんね。


 この、知らない良い匂いというのは、結構脚に来るもんだなあ。


 部屋が遠いぞう。


 うーんしょと、何とかたどり着いたか。

 それじゃお休みって、なんじゃこりゃ、ブラが上がってしまって丸出しだよ。

 いや、スカートもめくれ上がってるし、どうして戻らないんだ。

 取れちゃったぞ。

 面倒だから脱がしとけ。

 おお、これで良いな。

 うん、凄く良いぞ。

 頑張ったな、俺。

 さて、戻るか。

 いや、何処に戻るんだっけなあ。

 こーゆーとき、奥さんが一人の方が戻りやすいよなあ。

 いや、なんだっけ、誰か忘れてるような気がする。


 奥さんは3人だよな。

 なんかここでもう間違っているような気がするけど、3人いるんだから仕方がないよな。

 後は、妹じゃないけど、妹が一人。

 義理の妹みたいなものか。

 義理はギリギリOKなのか。

 ギリギリアウトか。

 えーと、それどころじゃなくてだな。


 侍女だよな。

 クラは侍女じゃなくて処女かも知れない。

 ええと、マナイは処女か。

 メナイは処女だったか。

 でも、処女かどうかどうやって確かめるんだ。

 確かめたら処女じゃあなくなるんだぞー。

 いいやあ、確かめなくてもキヌは処女だからさあ。

 そうだよなあ。


 いや、処女じゃなかったりして!


 やっぱ、確かめるか、キヌ、キヌちゃんどこー?

 食堂にはいない。

 キッチンにもいない。

 コンコン。

 うん、トイレにもいないぞ。

 後は、後は、風呂かー!


 ガラリ。


 そこには、大柄、金髪、全裸、開脚、処女がいた!

 真っ赤になって、フーフー言ってる。


 ズキリ。


 拙い、2杯ぐらいで酔ってる場合じゃないぞ。

 ロマは俺の大事な処女じゃないか。


 いや、見習いだな。

 処女見習いって何だよ?


 いや、本当にそれどころじゃないぞ。

 ロマを抱き上げる。

 ああ、酔って風呂に入ったのね。

 急性アルコール中毒か、湯あたりか区別がつかない。

 それとも両方なのか。


 とりあえず、部屋に連れて行く。

 いや、抱いていく。

 ベッドに寝かせる。

 なんて赤くて色っぽいんだ。

 いや、水を飲ませるのが先か。

 キッチンで柄杓に水を汲み、飲ませようとするが、こぼれてしまう。

 もう一度、水を汲んできて飲ませる。

 こぼれる。

 もう一度って、そうか、あれだな、口移しだな。

 よーし、やるぞ、やってやる。

 ごくごくゴクリ。

 これで良い、ロマ待ってろよ。

 今、楽にしてやる。


 パカン!


 翌朝、目覚めると、ひどい頭痛だった。

 頭痛の上にたんこぶまでできていて痛かった。

 食堂に行くと、テーブルには女性陣がずらりと並んで座って待っていた。


「おはよう。みんな早いね」


 みんな、顔色が悪く、頭痛がするようだった。

 二日酔いである。

 中でも、アキとロマは二人して俯いている。心なしか顔が赤いような気がする。


「何故なんですか?」


 ミサコが聞いてくる。


「何の話?」

「妻が3人も酔い潰れているのに、何故、裸にするのは別の女で、しかも二人なんですかー!」


 いやあ、ミサコの慰労会は大成功だった。

 日頃の鬱憤が吹っ飛ぶようなパンチが連続したからだ。

 きっと、ミサコはすっきりしたに違いない。



 ゲートの大接近の季節が来ても、カオルコ班の通信プロープは何故か失敗を続けていた。


 帰ってこないのだ。


 俺たちは毎日、トレインの操縦室に取り付けた大型画面でカオルコと話し合いながら、トレインの完成を目指した。

 何か方法はあるはずだ。


 やがて、思考は一周し、ゲートを見つけるときに使用したロープ状の通信機器を開発することにした。

 長さを3キロ、4キロ、5キロにして、吸い込まれる間に映像を送れるようにしてみることになった。

 それで駄目なら10キロだ。


 だが、怖いので、大接近はやり過ごす事になった。

 その間に、トレインは完成することだろう。



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