62 商店街でデート
62 商店街でデート
「いかがでしょうか、領主様」
クラは、鼻にかかるような可愛いしゃべり方をする。
『さま』が『さぁまぁん』みたいに聞こえる。
媚を売ってるわけではなく、真剣に尋ねているのだが、天然で可愛いタイプだから仕方がない。
つい、俺もデレッとしてしまうのだ。
「ん、今日のは特に美味いぞ」
「本当ですか。嬉しいです」
毎食一品は任されているらしく、慣れるまでは給仕も仕事だから、俺の側にいて「つい」自分の作ったものの感想を聞いてしまうのだろう。
しかし、時々ススが爆発する。
「何ですか、この紅茶は! 渋みが出過ぎで台無しじゃないですか。とても領主様にお出しできるような代物ではありません。淹れ直してきなさい」
「はぁい。スス様」
侍女が見習いを指導するのに、文句は言えない。
みんな見習い時代に叱られて上達するのだから、これも仕方がない。
確かに、ススの言う通りなのだ。
勿論、クラはススに対しても従順である。
少し涙目になって紅茶を淹れ直している。
先輩たちの意見も聞いたりして、一生懸命にやっているじゃないか。
だが、最初から全部上手く出来るわけもないので、必ずススのケチがつく。
俺は紅茶など飲めればいいくらいの知識だから、ススの方が詳しいので意見など言えない。
サラスが黙って微笑んでいるから、俺も黙っているが、毎日これではススの方が保たないだろう。
案の定、夜風呂に入っているとき、ススが変だった。
俺の下半身を擦りながら、止まり、擦りながら、止まりを繰り返している。
「おい、スス」
「あっ、すみません」
ススが更に擦り始めた。
「ち、違うんだスス。そこはもう十分洗ったから!」
「そうですか」
そう言いながら、また、ススは掴んで止まってしまう。
少しすると、ゆっくりと再開し始める。
俺が童貞なら3回は、ってそうじゃない。
「おい、スス、どうしたんだ」
「私、嫌な女ですよね。嫌みなことばかり言って」
ススが掴んだまま泣き出した。
できれば、放してから話してください。
ナミとナリは、侍女試験の追い込みで、勉強している。
今年は『そろばん』が入ったせいで、侍女試験を延期したのだ。
侍女見習いは既に通知してあったので、変更できずに先に行った。
お陰で補充数がわからないから、多めに見習いを採用することになった。
「クラが気に入らないのか」
「変なんです。クラが領主様のお側にいるだけで感情が抑えきれません」
「でも、クラは良い子だぞ」
「知ってます。でも、だからこそ気に入らないのです」
「おかしいだろ、それは」
「そうなんですよね。わかってはいるのですが顔を見ると気持ちが抑えられないんです」
ススは俯いて、俺の下半身で遊びだした。
意識しての行動ではないようだ。
その瞳には何も映っていない。
俺はパイを30桁ぐらい計算してから、ススに言った。
「俺の国にはライバルと言って、お互いに競い合いながら成長する相手が見付かることがある。お互いが苦手な相手だが、より頑張ろうという気にさせてくれる貴重な存在でもある。そのライバルのお陰で、自分も相手も更に強くなったり、上手くなったりするんだ」
「でも、クラは後輩なのです。ナミやナリにするように、クラを導いてあげるのが本当なのに、意地悪してしまいます」
「心に余裕が無いんだな。しかし、お前は侍女としては先輩たちより格上になってるそうだぞ。誰も追いつけないくらいにさ」
「それは領主様のお側にいるからです。ススの手柄ではありません。ススなんかよりクラの方がずっと領主様の気に入るに決まってるのです。美人ですし、可愛いですし、あの黒髪も、あのツヤツヤの肌も、お、おっぱいだって……」
いや、それこそ侍女の能力ではないからね。
だが、ススは女として負けてると思っているのか。
男でもそうだよな。
あいつにはかなわない、と思わせる奴はいるもんだ。
お前も悪くはない、などと言われても慰めにならなかったりする。
確かに、クラは可愛いよな。
だが、俺は今ススで出しそうなんだよ。
もう、十分に洗っただろ。
いい加減に戻ってきてくれ。
「うおおー」
久々に気合いを入れて立ち上がり、ススを抱っこして湯船に入る。
「あ、あ、あの、領主様」
「うるさい! 黙って聞け!」
「は、はい!」
「ススは美人だ!」
「!」
「村長推薦が何だ。お前だってサンヤが選び抜いて俺に寄越したんじゃないか」
「で、でも、私なんかじゃ」
「この黒髪だって、俺が何度も手入れしてやったろう」
「はい。ありがとうございます」
「肌だって、弾力があってすべすべじゃないか」
「あっ、あっ」
「おっぱいだって、お前の方が大きいし」
「あー、領主様、そこは」
「腰やお尻なんか、我慢できないほど成長してるんだぞ」
「ああ、私、私、なんかが領主さ、まにお気にいられることなど、なっ、あっ、あああー」
「お前は俺の侍女だ。全部俺のもんだ」
「りょ、領主様ぁ」
俺は初めてのキスなのに、経験者ですらたじろぐ程、強引でむちゃくちゃにして、ススのおっぱいを揉みまくり、お尻も太股も全部触りまくった。
やがて、ススはとろんとして身体の力が全部抜けてしまったので、抱き上げて部屋に戻り、サブルームのイリスに目で謝ると、ススをベッドに寝かせて冷たい緑茶を飲ませた。
「あ、あの、私、どうなってしまったのでしょう」
「お前は女になったんだ」
「それは、少し前にキン様に……」
「身体じゃなくて、心も女になったんだよ」
「良くわかりません。でも、領主様が少し怖いのに嬉しいのです。何ででしょう」
「お前が自分を、役に立たない子供だと思い込んでいるんだよ。自分よりクラの方が気に入るだって? お前が領主じゃないだろう。どうしてそんなことがわかるんだよ」
「だって、だって、クラは可愛いで、うっ」
俺は一晩中ススのすべてにキスして、嬌声を上げさせ続けた。
朝には、ススは分類上処女ではあるが、その一点を除けば、経験者になっていた。
この星の既婚者と正反対の立場である。
処女ではない未経験者がこの世界には多いのだ。
ナナとサラサがことあるごとに誘ってくるのは、経験してみたいからだ。
ラーマが全然別のものとか教えるからだ。
朝っぱらからススを風呂で丸洗いし、髪を整え、スカートとサンダルとチョーカーを着けてやり、抱っこして食堂に行き隣に座らせた。
先に、紅茶を一杯頼むと、クラがおっかなビックリ運んできた。
ススの赤くなった唇やおっぱいに、クラは気付かなかった。
この世界では既婚者でもそんなことにはならないから、未経験のクラにわかるわけはない。
「美味しいですよ、クラ。今日はとても上手に淹れられましたね」
「ありがとうございます。スス様」
クラはいつもと同じように喜んでいるが、ススの方は先輩侍女として申し分ない態度だった。
その後、ススは俺以上にクラを可愛がり、夜にはナミ、ナリと一緒にそろばんの勉強をさせて、たった1ヶ月で3人を侍女試験に合格させてしまった。
合格発表の翌日、俺はキンの了解を取ってから、侍女全員を迎賓館に集めた。
侍女で妻であるサラス以外は全員である。
「今日は領主様から、ご褒美がある。名前を呼ばれたものは前に」
キンが一人ずつ呼ぶと、ドウがバラの焼き印が入ったベルトを渡し装着させ、次にギンが同じ焼き印が入った円形の肩掛け式ポシェットを渡す。
ポシェットには、50リナ貨幣9枚に、10リナ貨幣が10枚入っている。
見習いはベルトはないが、ポシェットは配る。
全員に配り終えると、キンとギンとドウには俺から渡した。
「今日は一日お休みにする。みんな、領主様とデートだ」
全員、デートの意味を知らないのでポカンとしている。
「みんな、ポシェットの中を見ろ」
確認すると、歓声が上がり始めた。
「全員で、商店街に行き、好きなだけ買い物しろ。飲んで食べて盛り上げろ」
「うわあー」
俺は、全員引き連れて商店街に向かった。
実は、キンから商店街の敷居が高くて、人は集まってるが客が少ないという相談を持ちかけられていた。
みんな見学に来ているのだが、金を使って買い物するのは必要最低限で済ませて、遠慮しがちであるらしい。
領主のところで無駄遣いすると、叱られるとか思っているらしい。
そんな思い込みを払拭して、活気を出したいのがキンの意見だった。
今日は侍女試験やその後の人事を気にして、各村長や村の幹部が来ている。
ついでに商店街の店の視察も予定しているくせに、スパイみたいな行為とでも思っているのか、腰が引けているのだ。
そこで、俺が侍女たちと豪遊すれば、少しは呼び水になるのではないかと言うのがキンたちの意見だった。
客がちゃんと入るようになれば、村営から独立する個人の店も生まれる可能性がある。
俺たちが商店街の前に現れると、旅行客や見物人が仰天していた。
ポシェットやベルトは見たこと無いだろうし、美女の大群と言うこともあるからだろう。
俺は直ぐに仰天しているカリモシを見つけた。
鰻丼屋の前で悩んでいたみたいだ。
「カリモシ」
「ユウキ様」
「あいさつはいい。スス、お前鰻丼を食べてみたいって言ってたよな。これでカリモシ村長に鰻丼をおごってこい」
俺が50リナ渡すと、スス、ナミ、ナリ、クラの四人はカリモシを引き摺ってラシの鰻丼屋に入っていった。
孫のようなススたちに、流石のカリモシも逆らえなかったようだ。
その後、俺は次々に知り合いを見つけると侍女に命じて飲み食いさせるように引っ張って行かせた。
ニタにはギンとドウを行かせ、サンヤにはキンを行かせた。
イタモシとパルタを見つけたので、若い侍女見習いを沢山派遣した。
俺はナルメを見つけて、強引にギルポン茶を飲みに連れて行った。
ナナとサラサが、いつの間にか現れてついてきた。
人妻だが美しいナナとサラサを目の前にして、ナルメは冷や汗をかいている。
丁度、店にはギルポン本人がいたので、売上はどうだと聞くと、さっぱりですと言っていた。
俺はナナに、外にいる子ジャケやコラノと一緒にいる連中を引っ張って来てくれと頼むと、喫茶ギルポン店内はすぐにタルト村の男女で一杯になった。
流石に裕福なタルト村村民でも、紅茶は飲んだことはない。
コラノぐらいだろう。
ナナとサラサが優雅に飲んでいるのを見て、村人たちはまねしていた。
「ユウキ様が時々来て下さると、我々も助かるのですが」
などと、ナルメが言う。
確かにナルメもギルポンと一緒にお茶作りをしているから、ギルポンが成功しないと困るだろう。
「もっといい手があるぞ」
俺はオペレッタを通じて、領地からサクラコとアキを呼び寄せた。
ハインナと熊さんが護衛だが、熊さんには筵に巻いた氷を担いできてもらった。
すぐに街道全体から、どよめきが起こった。
冬服の、白い毛皮のブラチョッキとスカート姿のサクラコとアキが歩いてくるのだ。
前代未聞と言えるだろう。
俺なんかより効果があるに決まっている。
ちなみに、白い毛皮は200枚に1枚ぐらいしかなく、なかなか手に入らない。
あれは、小さなウサギ皮を縫い合わせて作ったメイドロイドたちの傑作である。
ナナとサラサが研究開発中だ。
サクラコとアキに手早く説明すると、彼女たちはすぐに厨房に入り、ホットとアイスの紅茶や豆乳を作り始めた。
ギルポンのウエイトレスや厨房担当の夫人たちは、一生に一度の勉強の機会を逃すまいと必死である。
大成功で熱気を増してきた喫茶店を出ると、ミヤビが怒って待っていた。
「なんで、私は呼ばないのよ」
「悪い、喫茶店の客入りが悪いからさあ、新メニューの開発を頼んだ」
「じゃあ、私は鰻丼でいいわ」
「何でそうなるんだよ」
「あら、侍女には奢って妻には奢れないの?」
「わかったよ。だけど、護衛なしで勝手に出てくるなよ」
「護衛なら、もうすぐ強力なのが来るわよ」
ミヤビが言い終わらないうちに、どよめきが起こり、道にいる人たちが平伏し始める。
ヨリが現れたのだろう。
しかし、現れたのはカオルコとリンだった。
カオルコはタマウにしか見られてないはずだが、伝説では女神筆頭とか噂されている。
秘中の女神様だ。
リンに至っては、噂すら良くわからない。
こうなると侍女どころではないが、効果も侍女どころではないはずである。
察しの良いキンがすぐに駆けて来る。
「すまない、話のわかる奴を集めて、銀行を開いてくれ。このままじゃあ、金に交換できない奴が困り始める」
「わかりました。これ以上ない活性化でしょうから」
「休暇は次に」
「はい。付き合ってもらいますからね」
「わかったよ」
「約束しましたよ」
ミヤビが待たされて、お冠である。
「何よ、堂々とデートの約束して」
「ミヤビは鰻丼で良いんだろ」
「ふん!」
「カオルコは何だ」
「何だはないでしょ。でも、折角出てきたんだから、タルト夫人のうどんが食べてみたいな」
「リンはそれで良いか」
「私、両方」
「……」
警備班は身体が資本だ、きっと両方食べられるのだろう。
しかし、またどよめきが起こり、人々がまた平伏していく。
ヨリとミサコだった。
「あら、第2と第3夫人まで来ちゃったわね」
周辺でざわめきが起こる。
「ヨリ様が第2夫人なのか」
「そんなわけないだろ」
「でも、今ミヤビ様が」
「馬鹿だな。サクラコ様が第1に決まってるだろ」
「いや、カオルコ様だろう」
「じゃ、アキ様はどうなるんだ」
「チカコ様という噂を聞いたぞ」
やかましいぞ、村人たち。
「ヨリ、威嚇するな。今日はオフだ」
「しかし」
「大丈夫だ。なあタルト村長」
タルトも、この騒ぎに仰天して駆けつけてきたのだ。
「ははあ、ヨリ様。このタルトが騒ぎは起こさせません」
「そうですか、わかりました」
ヨリは持っていた八角棒をタルトに渡すと、
「行きましょう、あなた」
俺の腕を取って、鰻丼屋に入っていった。
タルトは目がハートで、きっと八角棒は国宝にすることだろう。
「こら、ヨリ。あんた後から来て、ひどいわよ」
ミヤビたちが怒りながらもついてきた。
鰻丼屋でカリモシは仰天して這いつくばった。
カカを一撃で粉砕したヨリは、俺より怖いのだ。
しかも後から4人も女神様が現れる。
店員だったラシ村の侍女や、夫人たちも仰天している。
「大げさにするな。俺たちもただの客だぞ」
カリモシと一緒だったススと、何故かクラも涙目だが、流石に女神たちに取り囲まれている俺には寄って来れないようだ。
ギクシャクとした感じで、笹の葉茶が出され、ミヤビが鰻丼5つと注文する。
「ラシはいないのか?」
「村長は、急いでウナギを捕りに行ってます」
そうか、急に流行るとは思ってないものな。
まあ、隅田川ならすぐ捕れるだろう。
やがて、鰻丼が来る頃には店内は満員で、外も大勢の人が群がっていた。
「このピリ辛は、あなたの味ですね」
「結構美味しいわね」
「ウナギなんか、領内では出てこないもの」
「おかわりしたいです」
「ゆっくり味わいましょうよ」
厳密にはサクラコの味だが、まあ言わないでおこう。
吸い物と野菜の塩漬けがついて50リナは高い気がするが、高級品にしておきたいのだろう。
今後どうなるかだな。
外に出ると、群衆が多くなっていた。
女たちが増えてきたのだ。
女神様と侍女たちが遊びに来ていると聞けば、見に来るだろう。
カマウ村のリヤカーも次々に到着しているようだ。
人も乗せてきている。
最近は革の屋根付きなども見かけるようになった。
箱馬車は重いから、工夫しているのだろう。
「さて、どうするか」
「ミヤビ様。お願いがございます」
珍しく、コラノが来て平伏している。
何だろう。
「何かな?」
「どうか私と一手。お願いします」
ああ、囲碁だな。
「食休みに良いんじゃないか」
「じゃあ、カオルコに勝てたらやってあげる」
「おい、無茶だよ」
「私は将棋にするわ」
「良いのかカオルコ」
「まあ、たまにはサービスしないと、夫人たちには世話になってるでしょ」
確かに外の物事はタルトかコラノの夫人たちに相談することも多い。
化粧品の材料とか、何だか女だけに必要なものもあるらしい。
双方が利用し合っているから、問題ないが。
囲碁道場は、喫茶ギルポンの向かい側にあった。
北森街道の西側は、厳密にはタルト村である。
だが、道路をはさんでいるだけで、認可はキンの管轄であり、村内でも商売するのは認可があれば問題はない。
何か、剣道場みたいなのを作っているなとは思っていたが、囲碁、将棋道場だった。
それなら認可はすぐにでる。
金儲けではないからだ。
やがて、群衆はギルポンのサクラコ、アキと、道場のミヤビ、カオルコとどちらを見れば良いのか揺れ始めた。
道場は、床と屋根しか完成していないが、四方から見る事ができるから、今は良かったのだろう。
柱や梁も太く、父ジャケの作りだろう。
その本人も、ミヤビの向かいに座っていた。
囲碁はコラノと父ジャケの2面打ちである。
将棋は、タルトとどこから現れたのかタマウの遊び人、2人との3面打ちになっている。
将棋は3面打ちとは言わないのかな。
まあいい。
ニタが来ているから、遊び人たちは付き添いだったのだろう。
運が良いのか悪いのか。
あっという間に男たちは汗をかき始めた。
この世界には、定石や棋譜がないのだ。
途中、サクラコがアイスティーを出前してくれたのに、男たちは気付かないほど集中している。
一方、ミヤビもカオルコも余裕だった。
俺とヨリとミサコがクレープを食べてると、買ってこいとか言ってくる。
リンが、全種類食べると言ってたから任せてしまった。
きっと最強のメンバーなのだろうが、あっという間にひねられている。
タルトなど、一度待ったをかけて、カオルコに許してもらうハンデがついても負けている。
「サクラコ様にお茶を運ばせるんだ。カオルコ様が第1夫人だろう」
「それだとミサコ様が第3夫人てのがおかしくなるぞ」
「いや、サクラコ様だから第1夫人としてお茶を振る舞われたのだろう」
「でも、ヨリ様が一番親しげにされていたぞ」
うるせえ。
「どうして、私が第1夫人だとは誰も思わないのよ」
童顔だからだろ。
俺は思っても言わないでいた。
その後、靴屋で草履を買って(ヨリに合うサイズがなく店主が這いつくばって謝っていた)、タルト夫人のうどん屋へ行き(良く食えるよなこいつら)、ナナ&サラサでスカートを買い(またもヨリは特注、後日お届け)、銀行をひやかしてから無事帰還した。
だが翌日、サクラコとアキが手伝いをしただけで何も食べてないと主張して、月に一度の病から復活したルミコと、お留守番だったカナを連れて再び商店街に繰り出すことになった。
前日以上の賑わいの中、サクラコとアキが進むと人の海が割れ、人の山が動いた。
だが、何処の店でもすぐに席が空き、上機嫌か畏怖かどちらかの対応を、店員たちはしてくれた。
4人に何とか満足してもらって帰ると、次の日は休日返上したキン、ギン、ドウに付き合わされて、3日間続けてのデートになった。
どの店も大盛況で、冬の相撲フェスタ前に盛り上がってしまっていた。
サクラコのアイデアでお茶のお土産を販売し始めた喫茶ギルポンは、サクラコ効果で連日満員になり、更にサクラコみたいに美しくなれると噂が広まって、女性客が押し寄せるようになった。
体力増強や健康にウナギが身体に良いと言ったミヤビのせいで、高級店にもかかわらず、鰻丼屋は仕入れが間に合わない。
靴屋は、カオルコ様が買ったものと同じ草履を、こっちはミサコ様のをと大騒ぎで、中にはヨリ様と同じものを、という男もいて大変なことになっていた。
うどん屋も小間物屋も同様の事態だった、
勿論、ナナ&サラサも例外でなく、
「女神様、お断りにしようかしら」
などとぼやく二人がいた。
俺は炭を作れるようになったナルメに樹脂石灰茶器を伝授して、簡易な陶磁器を産物にさせると、やがてギルポンの隣に陶磁器店が開くようになった。
お礼は、真っ赤な顔したクラのファーストキスだったが、とても可愛かったので、お礼にセカンドキスを贈った。
勿論、ススには内緒にした。
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