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夢の処女惑星  作者: 菊茶
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46 サルベージ

 46 サルベージ




 俺は毎晩、妻たちに溺れていた。


 ラーマは少女のように恥じらいながらも、積極的で官能的だった。

 知れば知るほど、奥があるように感じて、本人も驚いたり恥じらったりを繰り返していた。


 タキは明るく健康的で、いつも俺を気遣ってくれている。

 俺が満足することを優先しすぎているのではないかと心配したが、抱きついて『幸せすぎるのではないでしょうか』と聞いてくるので、十分満足してくれているようだった。

 

 レンは花開くように日々美しくなり、子供っぽさが消えていっている。

 冷たい目が妖しく光り、涼やかな声が痺れるような感覚を刺激し、俺をリードしていく。

 昼間の小姑のような小言娘とのギャップがもの凄く魅力的だった。


 お陰で昼間の農作業がはかどる、なんてことは無く、いつものキン、ギン、ドウの3人と作業していても、妻たちを思い出しては、叱られていた。


「そんなにラーマ様が良いのですか」

「たまにはタキ様の事を忘れて下さい」

「レン様ではなく、私も見て」


 キンのおっぱいを揉んでみる。


「ラーマの方が軟らかいぞ」


 ギンのおっぱいを揉んでみる。


「タキの方が弾力がある」


 ドウのおっぱいを揉んでみる。


「レンの方がとんがっているなあ」


「ひどいです、領主様」

「最低です、領主様」

「腐っています」


「いや、お前たちには素晴らしいお尻があるじゃないか」

「それ、褒めてませんよね」

「それ、のろけてるだけですよね」

「それ、無理がある」


 まあ、所謂『新婚さん状態』なのだから、勘弁してもらおう。


「わかってた事だけど、ひどい状態ね」

「リーナさん!」


 引きこもっている状態が当たり前になってきてるので、ちょっと驚いた。

 夜中には散歩したりしているみたいだが、日中の畑になんて珍しい。


「ユウキ。あなた、小麦200石で妻を3人娶ったのだから、400石になるまでは、次の3人は禁止するわよ」

「次の3人? どういう事でしょうか」

「だから、ちゃんと仕事して400石にするまで、ヨリ、ミサコ、ミヤビとのいちゃいちゃを禁止するって言ってるの」

「そ、そんな」

「当然でしょ、甲斐性無しなんだから」

「ひどいよ、横暴だよ」

「3人の妻を取り上げるわけじゃないんだから、別にひどくはないでしょ」

「でも、ちゃんと石高は上がってるじゃない。野菜と米を合わせれば、350近くあるはずだよ」

「それは去年の数字。今年の春に新たな田畑がないでしょ」

「米は2期作にするから、今年は倍になるよ」

「表高が上がってないから駄目よ。130人も扶養家族が増えたでしょ。手伝いも増えたんだから開拓もしないと間に合わないわ。2段目は800石までは余裕のはずよ」

「まだ、大丈夫じゃない。蓄えもあるし」

「甘いわ。タマウが100人近く、スルトが30人、サンヤも居着いたら150人が増えるのよ。凶作で50%の収獲なら、飢えか反乱が起きるわよ」


 確かに凶作は計算に入れてないし、サンヤが半数ぐらいタルト村の開発にまわりそうな雰囲気がある。

 妊婦が多いからだろう。

 今年の小麦が80石になる予定のタルト村だけでは養えない。

 タマウ族の女たちは、もう農民にしかついていかない。

 開発なら自分の農地になるから、カリモシ村でも泥炭村でも行くだろうが、部族に戻るぐらいなら、ここで小作を続けるだろう。

 鮭加工を覚えたから、芋と鮭だけでも暮らしていくかもしれない。


 カリモシ村が芋ばかりだが20石。

 今年は小麦を作っても10石が良いところだろう。

 メープルの輸出があっても、あと10人送り込めるぐらいか。


 タマウ族の戦士20人ぐらいが働かず、農業に興味も持たずに遊んで暮らしているのも痛い。

 妻たちが俺の領地で働いて得た食糧で暮らしているようなものだ。

 サンヤの少年兵たちの訓練を見てびびっているくせに、馬鹿にしている。

 時々、狩りに行く風に見せてるが、やる気はなさそうだ。

 大体、将棋などして遊んでいる。


 ヒモか!


 あれで、迎賓館の侍女を狙っているのだから笑える。


 ある程度使える人材のカマウは、あの後、カリモシの仕事を引き継いで、ニタ村への200キロ道路を整備中だ。


 確かに後100石は米か麦が欲しいところだ。

 芋ばかりで飢えをしのぐのは難しいだろう。


「良いこと思い付いた」

「何よ」

「ヨリとミヤビと、それからミサコかな、カオルコかな」

「正気なの? やり過ぎで壊れたの?」

「3人といちゃいちゃするんだ。それで解決」

「なっ、馬鹿なの。ちょっと、許さないわよ、ユウキー。私の子供の分はとっといてよー」


 俺は宿舎に走って行った。

 置いていったキン、ギン、ドウには後で怒られた。 



「私、と言いたいところだけど、ミサコの方が適任ね。実際にアンドロイドを作っているのだから」


 カオルコはそう言って、ため息をついた。

 セルターはメディカルになる前は、ミサコのハンドメイド品だったそうだ。

 特化するときに、プロが改造したらしい。

 それも、ミサコの父の会社である。


「しかし、我々は領地内から出られないのではなかったですか」(ヨリ)

「チカコじゃないけど、安全は確保できるの」(ミヤビ)

「足手纏いになりませんか」(ミサコ)


「俺とヨリが安全を確保する。小人数の方が守りやすいから大丈夫だ。カリモシ村があるから、前よりは安心できる。幸いにも、今日はメープルを運び終わったところだから、追加で食料も運んでもらえる」


 外出については、リーナさんは既に説得した。

 ナノプログラム結晶鋼のサンプルを持ち帰ることで渋々承知していたが、内心は丸わかりだった。

 技術マニアの知性体は説得しやすい。


「ミヤビには特にナノプログラム結晶鋼のサンプル抽出を任せたい。切り分けは俺にも出来るから、幾つか候補を選んで欲しい」

「トレインは電源がないので、再生してないでしょうね。切り取り可能でしょう」

「それに、金属板が大分積んであったらしい。ただの板とは思えないだろう?」

「確かに、色々な目的が書かれた結晶鋼の可能性が高いですね」

「俺はプラズマエンジンがあると思う」

「トレインの修理用ですか」

「そうだ。本体が故障したとき、補充材料よりも、結晶鋼の方が遥かに早く直せるだろう」

「ユウキさんは本当にアストロノーツですね。ナノプログラム結晶鋼の事を何も知らなかったのに、そんな予想が出来るなんて、感心しました」(カオルコ)


 理屈なんてわからなくても使えるものは使える。

 問題は何処で何を使うかだけだ。


「それをダシにして、女の子3人をペロリと食べるつもりなんですね」(カオルコ)

「ち、違うぞ」

「ペロリではなく、じっくりと食べたいと」

「違う、誤解だ。冤罪だ」

「犯人は、皆そう言うんですよ」

「別に犯罪は犯していない」

「そうですか」

「そうです」

「13歳とキスするのは犯罪ではないと」

「うっ」

「13歳と結婚するのも犯罪ではないと」

「いや、タキとレンは、一応成人なんだよ。族長が認めたから」

「ヨリは13ですが」

「結婚はしてないだろ」

「本人はキスして、妻だと言い張ってますが」

「それは、一種の婚約? みたいなもので」

「きゃー、私も婚約者ですよね」(ミヤビ)

「ミヤビ、ずるいわよ。なし崩しは駄目」(ミサコ)

「で、何でおっぱいの順ではないんです」(カオルコ)

「適材適所だ」

「ミサコと私なら、少しだけ私では?」

「ほ、殆ど変わらないわよ!」

「じゃあ、私でも」

「だめー」

「なら許可しない」

「ずるい!」

「何よ、そもそもミサコが私を任命したんでしょ」

「だからと言って」

「私だけ居残りでつまらない」


 駄目だ。話が進まなくなってる。

 タキがお茶のおかわりを持って来てくれる。


「タキさんは行きたくないのですか」(ミヤビ)

「私が行っても役に立ちません」

「でも、寂しいですよね」

「ええ、少しだけ」

「心配は?」

「何もありません」

「ヨリも一緒なんですが」

「頼もしく感じます」

「ユウキさん、エッチですよ」

「ご本人が決めることですわ」

「凄い、余裕ですねえ」

「ユウキは、ヨリ様が大好きですから仕方がありません」

「へえ、ユウキさん、愛されてますねえ」

「あんまりからかうなよ」

「それより、ミヤビ様も危険ですよ」

「ふえっ?」

「おい、タキ」

「あら、本当の事ですよね。大きなおっぱい大好きでしょう?」

「別におっぱいは関係ないだろ」

「全然、説得力を感じない発言だわ」


 ミヤビはヨリの胸を見ながら言う。


 ヨリは笑ってるだけで、殆ど黙って聞いてる。

 何と言うか人間のスケールがでかいのだ。

 ミッションの大事なところ、それも自分のパート以外あまり口を出さない。

 不安や迷いが少ない人間だけが持つことの出来る、特技というのか特典というのか、境地と言うべきか。


「じゃあ、おっぱいの順でサクラコと交代ね」

「ひどいわ」


 あっちは、まだあの話題だ。


「ヨリ様、ユウキのことよろしくお願いします」

「自分の出番はないと思います」

「ヨリ様がいるといないじゃ、安心感が違うと思います」

「わかりました。無茶しないように見張ってます」


 決行は3日後になった。

 メンバーは当初の予定どおり、俺とヨリ、ミヤビとミサコである。

 イケメンとヒミコ、長男と次男も参加である。


 カオルコの許可は、みんなに内緒の風呂でのキスという取引だった。

 カオルコは、第1夫人の可能性を捨てたくないとか言い張っていたが、その割には真っ赤で可愛かった。

 今まで、随分と熱心に朝風呂を覗いていたみたいだ。

 夜遅くに誰も見られないように頑張ったが、きっとヨリには知られているという確信があった。


 俺とヨリとイケメンを見て、駄々をこねたのはチカコである。

 勿論、俺はイケメンより価値が下である。

 留守を警備するカナとリン、それにキン、ギン、ドウがチカコの面倒を見てくれるというので、預けてきた。

 ハインナも暫くいじけモードだろう。

 出発前にキスしておく。


 その日は、隅田川以外には障害がなく、たった一日で馬車はカリモシ村に着いてしまった。

 休憩を除けば、平均時速30キロ弱である。

 舗装道路の威力があるとは言え、イケメンとヒミコの馬力が息子たちより上で、ペース配分が優れているからだろう。


 夕方だったが、カリモシ村長は喜んで出迎えてくれ、メープルを使った甘い料理を振る舞ってくれた。

 元侍女たちが、少女たちの世話をしてくれた。

 父ジャケの弟子は長屋を造っていて、出来栄えがよいので俺が感心すると、素直に喜んだ。

 初めての大作だったからだろう。自信が持てたようだ。


 イケメンたちは何故か豪華な飼料よりも、この辺りの草を食べる方が良いみたいだった。

 領内の草と味が違うのだろうか。


その夜は長屋の一室で4人が寝ることになった。

 俺とヨリの間に、ミヤビとミサコをはさんで安全対策をを取る。

 非常事態には俺が前衛で、ヨリは二人を守る形になるだろう。

 ミヤビとミサコには俺にしがみついたりせず、ヨリに守られるようレクチャーしてから眠りについた。


 夜中にトイレに起きるとヨリが起きてきて、二人は外で久しぶりの深いキスをした。

 領地では、軽いキスだけで済ませるようにしていたからだ。

 ヨリの恥じ入る少女の顔を見れて、俺はとても安心できた。

 領地では、いつも大人の落ち着いた顔しか見れないからだ。


「25まで、自分の方が待てなくなりそうです」

「俺もヨリの可愛い顔を見ていたい」


 俺が『ユウキさん』と呼ばれるのは嫌だというと、二人きりの時は『あなた』と呼びたいと言ってくれた。


「ヨリ」

「あなた」

「ヨリ」

「あなた」


 夜中に二人して何を馬鹿なことをと思うだろうが、何とでも言ってくれ。


 残念な事に、俺の自制心が切れる前に2度目のおやすみの挨拶をしてきちんと眠りについた。

 翌朝は寝ぼけているのをミヤビに叩かれた。

 何かしたのだろうか。


 事故現場は、草に少し覆われているぐらいで、殆どがそのままに見えた。


 3人は感慨深げに見て回り、


「良く助かったものね」


 と、同じ感想を述べた。


 ヨリが周囲を警戒して、ミヤビには念のため客車を確認してもらった。

 俺とミサコは目的のアンドロイドの調査を始めた。

 3両目の貨物が、アンドロイドがあるとセルターが報告した場所である。

 暗い車両の中にアンドロイドが眠っているのは気味悪いのだろう。

 ミサコはしがみついたまま歩いている。

 お陰で、ランタンが二重になり明るいくらいだ。


 最初に見つけた2台はかなり破損していた。

 目的は稼働出来るものであるから先に進む。

 パッケージされているものは、殆ど無事だった。

 となれば、破損しているのは稼働状態にあったと言うことだろう。

 馬力のある奴だったかも知れない。

 しかし、パッケージ品の大半は農作業用とわかるものばかりだった。

 これは宝の山みたいなものである。


「ユウキさん、大当たりです」


 俺たちは抱き合って喜び、せっせと搬出を開始した。

 予備パーツやバッテリーをミサコに運んでもらう。

 もうそれぐらいは平気なほどミサコは回復している。

 俺は本体を運び出した。

 イケメン馬車に傷つかないようパッキンをかませて乗せていく。

 勿論、イケメンたちは自由にして草を食べている。

 この分だと、帰りはかなり重たくなるだろう。

 舗装道路でも、大変かも知れない。


 俺たちは更に電動カートを見つけた。

 農作業用だけでなく、あぜ道の補修などにも使える軽土木車両もあった。

 ソーラーバッテリーとアルコール触媒反応型エンジン併用車であり、アルコールの予備タンクが幾つか新品で置いてあった。勿論、満タンである。

 穀物燃料であるから、ランビキでアルコールは補充できるだろう。

 荷物搬入用ハッチを苦労して開け放つと、電動カートを外に出し充電を開始した。

 連結用カーゴを5個見つけて、電動カートに3個、土木車両に2個繋げて、宝の山の運搬用にする。


 ミヤビは、船内用のフードトレイ、カップ&ソーサー、スープ皿、木綿のランチョンマット、テーブルクロス、フードプロセッサーと、コーヒー豆20キロ缶10個、紅茶20キロ缶30個、ココア20キロ缶5個を見つけて驚喜していた。

 合成ミルクもあったようだ。


 お昼頃に、カリモシと第1夫人が通訳の元侍女を連れて、弁当を持って来てくれた。

 驚いたことに、赤米と小豆を使ったおはぎだった。

 塩鮭の焼いたのがついてきたのはご愛敬か。


「メープルで、妻が元気になった」


 カリモシはそう言った。

 タルト村では寝込んだりしていたが、ここで、メープルを採るようになると、寝込まなくなったそうだ。

 少女たちと片言で話をする第1夫人は、顔色も見違えるように良くなっていた。


「いつか、この村を一番大きな村にしたい」


 ここは関東平野のど真ん中で、大きな草原が地平線まで広がっている。

 日本のように水田が広がれば、大穀倉地帯になるに違いない。

 メープルが採れて、モモの産地でもある。

 赤城山の北側には荒川が流れていて、鮭も捕れるのだ。


「すぐに、カリモシ村は1000人か2000人の村になるだろう」


 俺がそう答えると、カリモシは嬉しそうに笑った。

 その顔はコラノに似て、農民らしい顔だった。


 午後一番に開いたパッケージは、農業用ではなく、家事用アンドロイドだった。

 メイドタイプだが、料理などは得意だろう。

 これが全部で3台あった。

 これで戦場のような宿舎の調理場が、少し楽になるかも知れない。

 後はパーツが見つかるぐらいだろうと思い、ミサコに任せて、ミヤビと4両目に入った。

 そこは鉄板のような金属材料が並べられていた。

 だが、電源が死んでいるので、内容はわからなかった。


「こちら側は厳重なので、結晶鋼かな」

「あちらは補充用の材料か」

「ナノマシンは、必要な元素を取り込んでいくので、純度100%の金属塊でしょうねえ。その方が使い勝手が良いんですよ」


 やがて、ミヤビは球状の皿のようなものを見つけてきた。


「これは、絶対にプラズマエンジンの補修材ですよ。湾曲がエンジンの燃焼室にそっくりだわ」

「すると、こっちの竹を割ったようなのは噴射機の補充用かな」

「そうなりますね」

「部品に部品を食わせるようなもんか」

「工学が生命体に近づくのは、正しい道ですよ」

「しかし、勝手に他の部品を食ったりしないのか」

「初期にはあったそうです。金庫の中の金塊を食べて成長し、逃げ出すロボットのプログラムを作った人は、刑務所の中で著作権料が増えていくのを眺めていたというオチがついていて有名ですよ」

「そりゃあ傑作だな。泥棒としては正しい道のような気がするぞ」

「でも、金塊よりもナノマシンの方がコストが高いのです。だから、増殖ではなく再生までにしか使われません」

「増殖したら赤字か」

「ええ、間違いなくそうなります。1万円札を作るのにコストが2万円かかるようなまねは誰もしません」

「ナノマシンのコピーが高すぎるのか」

「量産にはかないませんね」

「しかし、今回はコストと言ってられないな」

「まあ、2台分で1台作っても文句は来ないでしょうね」


 結局、結晶鋼を中心に運び出した。

 電力があれば何の部品かはわかるらしい。

 ミヤビは当分の間、リーナさんの補佐だな。


 その夜は野宿になった。

 焚き火を囲んで食事をし、楽しい話で盛り上げようとしたのだが、一人ずつ黙り込んでしまった。

 疲れているのだろうと思い、最後に軽くホットワインを飲ませて暖かくなったところで眠ることにした。

 二人用シュラフを真ん中にして、ひとり用シュラフではさんだ。

 一瞬少女3人の目線が交錯したが、昨夜と同じフォーメーションになった。

 三方を馬車やカーゴで囲んでいるので、出口の方に俺が寝て、一番奥にヨリ、真ん中にミヤビとミサコが二人用で寝た。

 また、ヨリとの一時があるのではと考えながら眠ってしまった。

 気付くと、ヨリは大胆にも、俺のシュラフに潜り込んできた。

 一人用だから、上に乗っかるようにしか入れない。

 軽くキスをすると、俺はヨリの軟らかい背中を堪能した。裸だった。

 しかし、その感触はヨリではなかった。

 サイズがタキに近いのだ。

 首筋にキスが続く中、俺は両手を下げて、お尻を掴んだ。

 んんーん、と鼻声が聞こえて、ミサコだとわかった。


「おい、ミサコ。酔っぱらってるのか」

「私、置いて行かれるのいやです」

「誰も置いてったりしないぞ」

「ヨリと差がつくのがいやなのです」

「だからと言って、はしたないぞ」

「子供の身体ではいやですか?」

「いや、十分大人っぽいよ」

「それなら、いいじゃあないですか」

「焦ることは、ないっ……」


 ミサコが口を塞いできた。

 精一杯背伸びしたディープキスである。

 余裕で応えられるようになった自分が少し恥ずかしかった。

 ミサコは、はあはあと苦しそうに息しながら、俺の上で眠ってしまった。

 直ぐにシュラフがまくり上げられ、ヨリが覗き込んできた。

 寝ているミサコを抱き上げて戻してから、俺の脇に来てしがみついてきた。


「ミサコはとても苦しんでいたのです」

「リハビリでか」

「それもありましたが、初日にあなたに恋してしまったからですね」

「初日って、事故の時?」

「ええ、あなたに抱き上げられたときに」

「ひどい状態で混乱していたんじゃないかな」

「責任を果たせないのと、あなたと離れるのと、どちらがつらいか自分にはわかります」

「脚の治療は一刻を争う事態だったんだよ」

「でも、ミサコが元気だったら、あなたの隣にいたのはミサコでしょう?」

「指揮権で言うなら、ミサコがいれば楽だったな」

「ミサコは誰よりも先に恋して、誰よりも先に離れることになったと思っています。だから残れていたらと考えてしまうんです。現実は私やカオルコやミヤビに奪われてしまいましたから。お陰でリハビリに気が入らず、ふて腐れていました」

「それで俺の所に連れて来たの」

「ええ、一からやり直しですね。自分も後ろ暗かったですから」

「何のこと?」

「ミサコがいないチャンスをものにしてしまったことです」


 ヨリはキスしてきた。

 ジャージの前を開き、巨乳を晒す。

 俺の手を導いていく。


「でも、先に恋したのは自分です。あの時、あなたのキスで目覚めたのですから、あなたがヨリの王子様に決まっているのです」


 それから俺が眠るまで言葉はなく、ヨリの唇と舌とおっぱいがあるだけだった。 



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