25 転換点
25 転換点
タルト領に戻ると、宴会の準備である。
女たちは料理に、男たちはその手伝いだが、新郎新婦はそれぞれの母親に連れられ、森に行ってしまった。
『森に行く』というのは、新郎新婦にとっては『初夜』に当たる。
母親立ち会いというのは知らなかった。
どこかの国の武家のようなことをするんだ。
フスマ越しに確認するとかいうやつである。
父ジャケは家畜の世話と炭の準備。
タルトは俺とタキとレンと一緒に、収穫報告書作りである。
薄い木の板に、今年収穫した作物の石高を書いていく。
小麦、4石。
大豆、6石。
サツマイモ、15石。
ジャガイモ、5石。
タマネギ、2石。
ニンジン、2石。
キャベツ、4石。
小豆、3石。
スイカ、1石。
合計42石である。一部はこれからの収穫予測だが。
「サツマイモに拘ったから、初年度から偉い収穫だな。小麦だったら精々20石って所だ」
「いや、サツマイモを3期で暮らして行こうと思った俺が甘かったよ。小麦が二期作出来ればなあ」(タルト)
「小麦は7から8ヶ月かかりますので2期作は今は無理です。春小麦と冬小麦にわけ2毛作が一番効率が良いと思います」(タキ)
実際には2期作は可能なのだが、苗をハウスで育てることになるので、今はまだできない。
実験なので現地種にも拘ったからだ。
主食の大半をサツマイモで凌ごうと考えたタルトだが、19人の領民は小麦を好んだ。
「税の対象は、小麦、米、大豆、ジャガイモでございます。今年は合計で15石ですから、税は、1石と5斗でございますね」(レン)
「すべての10のうち1じゃあ無いのか。それは掟に反するのじゃないのか」(タルト)
「キャベツとかキュウリとか納められても腐ってしまうだけだろ。税は主食になって保存がきかないと駄目なんだ。その代わりに、鶏や猪には税がかかるぞ」
「猪は8頭産まれたが、どう税を払うんだ」(タルト)
「十頭目が成獣したらもらうのさ。成長に2年かかるから、今年は無しだな。鶏は今年は40羽が4ヶ月以上経ってるから、4羽納めてくれ」
「雄雌とか、でかい小さいはどうなんだ」
「健康なら何でもいいさ」
「随分と気前が良い女神様なんだな」
「そんなことはございません。きちんと掟どおり計算してございますよ」(レン)
「それより小作料だが、コラノと父ジャケの取り分は4割だぞ」
「それは構わないんだが、あいつらも小麦が欲しいだろう。だが芋ばかりでどうにもならん」
「そこで取引だ。サツマイモ5石を小麦5石と交換する。税も今年だけ特別に芋で払ってくれ、1石5斗」
「それは助かるが、そんなに沢山の芋をどうするんだ」
「タキ。どうする」
「まずは、お酒ですか。ビンや樽に詰めると何十年も保存できると言います」
「レンは、わかるか」
「デンプンでございますね。水飴、アルコール、ソーセージでございましょう」
タルトは頭を抱えた。さっぱりわからないのだ。
「ナナとリリも半分ぐらいは当てられると思います。リリが父が芋ばかり作ってと、嘆いているときに女神様が教えてくれました」
「タキ様、本当ですか」
タルトは涙目だ。
娘たちに嘆かれたことか、女神様にチクられたことかはわからないが。
まあ、半年も勉強していれば食品加工の原理は知らなくても、知識はできる。
特にタキとレンは、俺と八さんのランビキ騒動を知っているのだから、アルコールや芋焼酎のことはよく知っている。
俺が加工食品が欲しいのではなく、保存方法で苦労していることを皆知っているので、知識や工夫を授業でも考える。
いつか、鮭ビンを食べたレンが、イチゴビンを作ったと自慢したことがあり、仕上がりを試してみるとイチゴジャムの出来の悪いやつ、という落ちが付いたこともあった。
「小麦が9石あれば、4石渡しても俺の所は何とかなるが、コラノ家は人数が多いから、2石じゃあ来年まできついだろう。シャケはまあ何とかなるかも知れんが」
「まあ、今年は19人で小麦10石使ったからな」
「そんなになったのか、芋でだいぶ凌いだと思ったんだが。その分はどうなるんだ。来年返すのか」
「開拓の費用として税で補うのさ。そのための税だ」
「だが、税はそんなに入って来ないだろ。芋を1石5斗じゃあ」
「来年、タルトが小麦を20石、コラノが同じく20石作ると、税はどれだけだ」
「両方で4石だが」
「その次は」
「シャケが入れば6石。そうか凄いな」
「だろ、2年で税は10石。直ぐに取り返せる」
「領主というのは、そんな先のことまで考えてるのか。スルト族なんか明日の狩りぐらいしか考えなかったが、いやあ凄いもんだ」
「このくらい、もうナナでもできるんだぞ。リリだって直ぐに追いつく。来年の作付けを二人に相談してみろ」
「いや、勘弁してくれ。少しは父親の威厳を持っていたい」
結婚披露宴は、新郎たちが上手くできたという夫人たちの報告から始まった。
本当に、こんな習慣があったの?
領主が『乾杯』をすると小麦酒、ブドウジュースなどで宴が始まる。
いつもは一番に食べる子ジャケも今回ばかりは食事どころではないようだ。
花婿たちは赤くなって恥ずかしがり、花嫁たちは自信を持って輝いているかのように見える。
本当は、女の方が強いのでは?
子供を産み育てるのは定住の方が良いはずだ。
狩猟民族が定住しないのは、狩り尽くすと獲物がいなくなって飢えるから、仕方が無く移動するのであって定住したくないからではない。
女だけ定住し男が狩りに出かけるという形もあるが、この世界では他の部族に攫われてしまう。
防衛戦力を残せば、狩りの能力が落ちる。
川で鮭が一年中捕れれば定住してるだろう。
定住すれば風雨や寒さを凌ぐ為に小屋みたいなものから作られていくはずだ。
放牧民はちゃんとテントに住んでいるではないか。
ん、となると、北の部族はテントを持っている可能性がある。
カリモシを北の部族と呼んだのは、スルトに比べて北と言うだけだ。
もっと北の雪が降り積もるぐらいの地方の部族なら違うかも知れない。
だが、部族同士は結構遭遇しているらしい。
そんなに頻繁に接触するのならカリモシもスルトもテントを持っていることだろう。
ならば、接触できないほど北ならどうだろう。
3つの川の北、更に北の山脈を越えた先はどうか(東北地方と呼ぶか)。
冬に雪が降り積もる地域なら。
まあ、駄目だろうな。
革で出来たテントに入ると、裸で暮らしているとかの落ちが見えそうだ。
確かアメリカ先住民のテント(名前何だっけなあ、2Bだか3Pだか、そんなわけ無いな)などは、テント内で焚き火が出来たような記憶がある。
でなければ、冬越し村ぐらい持っているだろう。
とりあえず、領主の仕事を済ませておこうか。
男どもが酔っぱらってからじゃあ困るからな。
タキとレン、ラーマを連れて皆の前に出る。
「納税の儀を行う」
レンが呼びかけると、全員が畏まった。
ちょっと照れるな。
「タルト、前に」
タルトは一礼し、納税の目録を差し出した。
「タルト、よく頑張ったな。女神様から贈り物がある」
俺はタキから銅製の鍬を受け取ると、タルトに渡した。
柄には『タルト』とカタカナで彫り込みがある。
怪訝な顔をして受け取ったタルトだが、鍬だとわかると嬉しそうだ。
今年は竹製のシャベルと鍬を幾つも駄目にしたほどだからな。
根っからの農民みたいな顔をしている。
「コラノ、前に」
コラノが来て一礼する。
「よくタルトを助けて働いたな。コラノにも女神様から贈り物がある」
コラノにも銅製の鍬を渡す。
青銅ではなく真鍮なのだが、資材船に青銅がなかったのだ。
「子ジャケ、前に」
ビックリして飛んできた。慌てて一礼する。
「子ジャケ、みんなを助けてよく頑張った。これは女神様から結婚祝いだ」
子ジャケにも鍬を渡す。
『こ・シャケ』と彫ってある。
子孫は、『何とか・コ・シャケ』と名乗るようになるかも知れない。
「トリノ、前に」
顔が赤いと少年のままだな。
俺より先に卒業しやがって。
いいなあ、ナナとだもんなあ。
「トリノ、女神様からの結婚祝いだ。父を見習って頑張るように」
「はい。ありがとうございます」
誇らしげに新妻を見るところが憎いねえ。
「父シャケ、前に」
坊主頭にして、更に頑固親父っぽくなっている。
「父ジャケ、お前には新たな仕事が沢山ある。引き受けて欲しい」
カゴに入った大工道具を渡す。
八さんが『こいつは譲れねえや』と拘って作り上げた真鍮製大工道具一式である。
父ジャケは驚いたように俺を見る。
「お前は、ここでタルトの家を焼いたことを後悔しているのだろう。だから自分で家造りをしたな」
父ジャケは何も言わずに涙を流した。
「女神様がお前に大工仕事を覚えて欲しいと言っている。材料は用意するから、子ジャケとトリノの家を造ってくれ」
父ジャケは、カゴを抱えて一礼する。
関取みたいだった。
それから、レンは夫人たちを一人ずつ呼び、俺は包丁を手渡していった。
夫人たちが『ラーマ包丁』と呼ぶやつだ。
柄にはちゃんと名前が彫ってある。
しかし、叔母ジャケ以外全員が妊婦だが、叔母ジャケが一番太っている。
ナナ、サラサ、叔母ジャケにも渡す。
大人扱いだからだ。
まあ、これでラーマは、指導が楽になるだろう。
ラーマが言うには『いつも包丁を貸し出して』教えているのだそうだ。
後は、道具の自慢会になったり、タルトとコラノの土掘り競争になったり、暗くなるまで『お前ら小学生か』と言いたくなるような騒ぎが続いた。
翌日、峠の茶屋にタルトとコラノを呼びつけた。
今日の話を、この二人が理解してくれないと、領地開発は一から練り直しになる。
非常に重要なポイントなのだ。
ラーマが全員にお茶とクッキーを出してくれる。
1年前には奇跡のような光景が、今は当たり前になっている。
「来年も土地の開墾は3区出来そうか」
「やる気はある。コラノの為にも頑張るつもりだ」
「だが、開発した3区はコラノ、子ジャケ、トリノに1区ずつ配分してくれ」
「子ジャケは来年で良いだろう。コラノの所は人数が多い。1区では足りないだろう」
「いや、ユウキ様には何か考えがあるのだろう。俺は小作だが、ずっと食わせてもらった。疑うことはない」
「理由は単純だ。小作が小作を雇うことは出来ない。開墾は、収穫のうちから4つを小作に渡すが、4つの更に4つでは小作のなり手がいない。だが、3人が自分の畑を1区でも持っていれば4つで小作を雇える」
タキが気付いたようだ。
「だが、コラノはどうするんだ。1区でやっとの生活になるぞ」
「今年、タルトに渡した小麦はどれくらいだった」
「10石と聞いたばかりだぞ」
「ならば、コラノと子ジャケとトリノにも10石ずつ小麦を渡そう。開発費用としてな。それで4人家族を雇えば2区ずつの開発も可能かも知れない」
タキが呆れている。
そんな手があったのか、という顔だ。
タルトは、わけがわからないようだ。
それでどうなるのか未来の図面が描けていない。
「つまり、カリモシやスルトから引き抜きしろ、とユウキ様は仰りたいのです」
タキに、良くできましたとウインクしてやる。
「それが成功すれば、今度はその4人家族を独立させて、別の4人家族を雇う。2組な」
「何だって!」
タルトは人と畑が広がっていく様でも想像しているのだろう。
そんな馬鹿な、とでも考えているのか。
コラノは慎重に考えている。
「だが、息子は若く、力もない」
「コラノが真面目に働くやつを選んでやれば良いだろ」
コラノも長考に入ってしまった。
タキは、川までいっぱいの畑を考えているのだろうか。
ラーマがお茶を追加してくれる。
ゆっくりと飲んで待つ。
わいわい女の子たちがやって来た。
ナナ、リリ、カズネ、タバサ、それにアンとルルネである。
子ジャケめ!
「おはようございます、ユウキ様」
「おはよう。今日はレン先生もここにいるから、みんなもここで勉強しようか」
レンが今の問題をざっと説明する。
真っ先にナナが言う。
「小作より自作の方が良いです。今年の父みたいに芋ばかり作られると小作は困ります」
次はカズネだった。
「私はユウキ様の妻で良いのですが、リリやタバサにも夫が必要です。ドンドン自作農を増やして新しい家を作って欲しいです」
「私も同じく妻で……」と、アン。
「だが、中には真面目に働かない奴も出てくるかも知れないぞ」
一部の不穏当な発言は無視する。
「そんな人はずっと小作をやらせれば良いんです。ユウキ様もそんな奴に開発費用は出さないでしょ?」
当然である。
「あの、コラノお父様、うちにパルタを雇っていただきたいのですが」
早速内助の功を発揮するナナ。
コラノはタルトに目を向けて振る。
「パルタは来てくれたらありがたいが、問題はスルトが付いていることだ」(以下、タキ訳)
「スルト族長はもう部族に付いて行くのもやっとと聞きました。隠居して、うちで暮らして頂いた方がいいと思います。私も出来るだけお世話したいと思います。子供の頃優しくしてもらいましたから」
「いや、スルトが来たなら俺が面倒を見る。ナナは自分の家を第一に考えろ。それより、ユウキ様。トリノはコラノ家の跡取りだぞ。トリノ家を作るのは拙くないか」
「コラノは来年3人子供が出来る」
「3人女かも知れないぞ」
「3人男だったらどうするんだ」
「それこそ畑が3つあれば、わけられるだろう」
「いいや、ドンドン独立させる。兄弟でわけたり、弟を小作にはしない。タルト村は自作農でいっぱいにする」
「何だって、タルト村?」
「ああ、そうだ。来年はタルト試験開発区ではなく、タルト試験村にする。お前は村長になるんだ」
「その村長って何をするんだ」
「この村を豊かにして、畑を増やして、家を増やすのさ」
「それは領主がいれば良いんじゃないのか」
「俺はあんまり表に出ない方がいいのさ」
「しかし、…… 家を増やすってどれくらいなんだ」
「まずは100家だな」
「100家だって! 400人ぐらいか。そんな人数はカリモシとスルトを足しても届かないぞ」
「鮭が川に現れなくても誰も死なないなら、直ぐにそれくらいになるよ」
タキが笑う。
タキは1万人が暮らすのを考えたことがある。
考えたことは頑張れば実現するのだ。
「だが、引き抜きが上手くできるとは限らないぞ」
「良い戦士は引き抜くなよ。良い戦士ほど畑仕事は真面目にやらないからな」
コラノを見ると彼が苦笑する。
芋ばかり食べさせられた頃、密かに狩りに出かけたりしたのだ。
ラーマに鶏とシャケビンを届けさせると行かなくなったが。
「まあ、あまり時間はないが良く考えてくれ。実はもう一つやってもらいたいことがある。いいか、みんなも一緒に考えるんだぞ」
俺は新型の10キロ入りの小麦壺をドンとテーブルにおいた。
「リリ、1石はこの壺何個になる」
リリはレンと同じぐらいの年だが、レンの方がずっとお姉さんに見える。
「20個」
「よし、正解だ。よく勉強したな」
リリが嬉しそうだ。
「ではタルト、俺が猪を1頭持ってきてタルトの小麦と交換したいと言う。お前は小麦を幾つ出す?」
「10個ぐらいだな」
「カズネはどうだ」
「猪は1石ぐらいの大きさなんですか。それなら20個でしょう」
「タバサはわかるか?」
「あの、猪はお芋でいい。小麦は食べないから」
「大豆も食べるよ」(リリ)
「そうだ、二人とも良くわかるな。猪は芋や大豆、キャベツやレタス、草やドングリなども食べる。小麦も食べるが誰も小麦を食べさせたりしない」
「小麦のが大事だから」(タバサ)
「そうだな、タバサ。ではタルト、俺が芋を持ってきて小麦1石と交換したいと言ったら、芋を何石出せば、小麦1石と交換してくれる」
「そうか、それなら2石かな」
「いや、小麦一回の間に芋なら3回は捕れるだろう」(コラノ)
「それじゃあ3石か。悪いような気がするが」
「逆ならどうだ。小麦を1石持って行けば芋3石と交換してくれるか」
「いや、やっぱり2石だな」
「1石に2石だな。じゃあ、猪はどうなんだ。さっきは壺10個、つまり5斗で1頭だったが。俺が小麦1石出せば2頭くれるのか」
「逆だと無理だな。1石で1頭ぐらいか」
「さっきカズネが言った通りだな。じゃあ、小麦1石で交換した猪を父ジャケに持って行って小麦と交換してくれと言えばどうなると思う?」
「小麦1石になるだけだろう」
「みんなはどうだ。わかるか」
全員、何かおかしなことになっているのは理解しているようだ。
領地内のことだから、ある程度はわかるのだ。
タルトは芋、コラノは麦、父ジャケは猪と拘りが違うからだろう。
「ラーマ」
「はい、父ジャケは小麦2石出すと思います」
「そうだな。俺もそう思う。じゃあ整理するぞ。俺は1石の小麦を持ってタルトの所に行き猪1頭と交換する。次に父ジャケの所に行き、猪を小麦2石と交換する。そしてコラノの所に行くと小麦2石が芋6石になる。最後にタルトの所に行って芋6石を小麦にすると3石になる。だが誰も不思議に思わない」
女の子たちが『へー』と声を上げる。
「仮にこれを続けられるとすれば、タルト家は芋でいっぱい。コラノ家は小麦でいっぱいに。父ジャケは猪でいっぱいになる。さて女性の方々、どこの家にお嫁に行きたいかな」
「コラノ家」
「コラノ家ー」
「コラノ家でしょう」
「コラノー」
「……ユウキ、さま……」
最後のは小声だったので聞かなかったことにする。
あなたは既にコラノ家の嫁だからね。
「タキ、説明してやってくれ」
暫く、少女たちに紅茶を飲ませたりクッキーを配ったりしてから、レンに少女たちを勉強に連れて行かせた。
入れ替わるように夫人たちがぞろぞろ出てきたので、ラーマに連れて行くよう指示する。
料理だけではなく小麦粉作りや保存なども教えなければならない。
石臼を回したり麦わらを編んだり、女性陣も楽ではない。
朝風呂後に食堂がサロン化しているような気もするが、明け方から仕事をして来ているので好きにさせている。
しかし、親父二人は裸の女がお尻を振りながら歩いて行くのに、まったく気にならないのか。
男子高校生パワーなのか。
一度ラーマに部屋のニオイで気づかれたみたいで、最近洗濯の時に確認されているみたいな気がするんだよね。
そう言えばタキのおっぱいもふくらんできて、
「ユウキ様」
「はい、すみません」
「人妻のお尻を眺めているのは感心しません」
「いや、タキの…… タキが大きくなったなあと思ってさ」
タキは自分の胸を見てから赤くなった。
「それが、あまり大きくならなくて…… 申し訳ありません。せめてアンぐらいにはと思っているのですが」
「アンって、子供がいるからでしょ」
「アンはラーマの従姉妹の子供だそうです」
「ええっ、じゃあカリモシに親戚がいるの?」
「いえ、もう誰も残ってないそうです。一人になったのをコラノと第1夫人に面倒見てもらったそうです」
そうか、残念だな。
親戚がいれば違ってくるのになあ。
「でも、アンは人見知りで何もわからないまま母親になったせいか、コラノの妻という自覚がないみたいなんです。育ての親と言うのですか。何だかユウキ様の儀式で目が覚めたみたいです。ルルネをユウキ様に授かったなんて言い出して。うちの親族はみんな変なんでしょうか」
「タキは正常だよね」
「私は最初からユウキ様の妻でしたから。ずっと妻でいてくれって仰ったじゃないですか」
ずっと、そばにいてくれって言ったんだよな。
段々変わってきてない。
「心配しなくても、ずっと妻ですから。お尻見せましょうか?」
ぴら。
ああ、スカートは、めくらないで良いから。
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