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1-1.プロローグ
夢を見ている。長い、長い、夢を。繰り返し見る夢。夢の中で繰り返される日常。
それは同じ繰り返しではなく確実に時を刻んでいた。
不思議な事に夢の中で成長している。小学生から中学生となり、そして……
夢を見ていたと言うより見せられていたと言うのが正しいのかもしれない。
とても曖昧な感覚しかなく言葉も発する事は出来ない何ひとつ自由にならない。
ただ流れ込んでくる様々な情報と感情や想い。
そして深い哀しみと闇。
夢はなんの前触れも無く。
あの日突然始まった。
目の前が真っ暗になり気付くとその世界に居た。
漆黒の世界、堕ちているのか浮いているのかさえ判らない。
判る事はそこが漆黒の世界だと言う事だけ、どこからか声がした。
「お前の望みは何だ?」
「のぞみって何?」
「お前が一番したい事は何だ?」
「……ちゃんに会いたい」
「それがお前の望みか?」
「うん」
「ゲームをしよう、お前の望みと人生を賭けたゲームを」