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ハニージンジャーエール

私の見ているものとあなたが見ているものはどれ位違うのでしょうか。

寄り添う距離が狭まれば、私にもあなたが見る世界が少しは見える気がするのです。 

あらら不思議ねハニージンジャーエール

とろりと甘くて最後はからい

それはまるで飴と鞭

人生のようだねジンジャー

甘い夢をハニー


はじけてジンジャー

ハニーはとろけるよ

ハニージンジャーエールは夢の味


***


「なぁに?それ」


「ハニージンジャーエールの歌」


妖精が歌うんだって、

それから一緒に歌おうって強請るんだって。

だから、チハ君はめんどくさそうな仏頂面して歌う。

もっと楽しそうに歌えばいいのに。

 

「ふふ。面白いのね」


カラリとストローを回す。グラスの底でジンジャーエールの泡がプチプチはじけた。

 

「面白いのは、きなこさんだよ」


チハ君はじっと私の様子を眺めて言う。

首を傾げるその仕草が年相応の子供に見えて私はまた、ふふっと笑った。


「私が面白いの?妖精さんに勝てるかしら」


「きなこさんは、大人なのに妖精を信じるの?」


疑心暗鬼なチハ君。

どうでもいいって顔の後ろに、まだ消えない希望がちらちらしてる。

ねぇ、何度も失望させられたのに、そう聞かずには居られないのよね。


「さぁ。分からないけど」


チハ君は、とたんに顔を歪める。

悲しいような怒ってるような、失望した顔。

チハ君。ねぇ最後まで聞いて。


「目に見えないものは分からないけど、チハ君の言うことは信じるし、正しいと思う」


チハ君。

私の恋人だった人と姉さんの忘れ形見。

ねえ、姉さん

私、何度も失望した。

だって貴女、私に何の言い訳もせずじまいだもの。

何が本当で嘘なのか、狂いそうで仕方なかった。

だけど、小さな小さなチハ君が言うの。

 

妖精しか話し相手が居なくなちゃったって。


ねえ。どうしてかな。チハ君は姉さんたちの裏切りの証なのに、

私、抱きしめずには居られなかった。

 

「私は、チハ君を通して妖精さんを見るわ」 


だから、一緒に暮らそう。私に妖精さんを見せてよチハ君。

チハ君が、溢れそうなくらい目を真ん丸に見開いてる。

 

 

「きなこさんの方が、やっぱり面白い」



泣かないでチハ君。

ねえ。今度は一緒に歌おうよ。ハニージンジャーエールの歌。

 


 


あらら不思議ねハニージンジャーエール

とろりと甘くて最後はからい

それはまるで飴と鞭

人生のようだねジンジャー

甘い夢をハニー


はじけてジンジャー

ハニーはとろけるよ

ハニージンジャーエールは夢の味




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