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おひとりさまで生きていきます!  作者: 鳥柄ささみ


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第十三話 これだけは譲れない

「さて、もう夜も遅いし寝ようか。ベッドはフェリシアが使って。俺はソファで寝るから」

「ちょっと待って、何を言ってるのよ。ここはレイスの部屋なのだから、私がソファで寝るわ」

「ダメだよ。それは譲れない。俺の紳士道に反しているからね」

「私だって譲れないわ。ベッドはレイスが使ってちょうだい」

「じゃあ、それなら……」


(どうしてこうなった……)


 先程のやりとりをしたあと、何を思ったかレイスの提案によって結局なぜか二人でベッドに寝ることに。


 ベッドはキングサイズで大きいながらも、レイス自体が人よりも大きいのでフェリシアが隣に寝るとどうしてもお互いが触れてしまう。

 そのせいで、フェリシアは寝るに寝られず。

 さらにレイスは既にここで何日か寝てるからか、ベッドからレイスの甘い香りがして、余計に落ち着かなかった。


(レイスが寝たらベッドから出てソファで寝よう)


 そう決めてレイスが寝るのをじっと待つ。


(そろそろいいかしら)


 フェリシアは静かになってから時間を置いたあと、そろーっとベッドから出て行こうとするとガッと手首を掴まれる。

 思わず驚いて「キャア!」と叫んで振り返るとそこには「どこに行くんだい?」と全然眠った様子のないレイスがこちらを見ていた。


「起きてたの!?」

「あぁ、ずっと起きてたよ。それで? 質問の答えは?」


 はぐらかそうとするも、追及されて「うぐっ」と言葉に詰まる。どうにか適当に言い訳をしようと逡巡するも、レイスに下手に嘘をついたところでどうせ見透かされるとフェリシアは観念して白状することにした。


「えっと、やっぱり緊張して眠れないから……ソファに移動しようかと……」

「なるほど? フェリシアも大概頑固だね。でも、さっきも言ったけどこれだけは譲れないよ。というわけで、確保」

「え!? ちょっ!」


 掴まれた手を引っ張られたかと思えば、そのままベッドの中に引き摺り込まれる。

 そして、背後から抱きしめるようにレイスの腕に包まれてしまった。


「レイス!」

「これぐらいしないとフェリシアは言うことを聞かないだろう?」

「だって……」


 こんなドキドキとした状態で寝られるわけがないと思うも、そんなこと本人の前で言えるはずもなくフェリシアは口籠る。

 そんなフェリシアの気持ちなどわからないレイスはさらにギュウッとフェリシアを強く抱きしめた。


「気遣ってくれるフェリシアの気持ちはありがたいけど、体が資本だ。だから、寝るのは何よりも大事だし、しっかりとした休眠には寝具などの環境を整えるのが大切だ。というわけで、今日フェリシアは特にトラブルで心身共に疲れているだろうし、ちゃんとベッドで寝ないとダメだよ。もし俺が邪魔だというのなら、俺が移動する」

「……わかったわよ。ここで寝るわ」


 そこまで言われてそれ以上駄々をこねるほどフェリシアも子供ではない。実際、睡眠が大切なこともその環境が大切なことも、フェリシア自身じゅうぶん理解していた。

 だから、渋々ながらも諦めて、大人しくベッドで寝ることにする。


「わかってくれたならよかった。じゃあ、改めておやすみ」

「えぇ、おやすみ。……って、離してくれないの?」


 なぜか未だに抱きしめられた状態。寝ると言ったら解放されるかと思っていたのに、ずっとレイスとくっついたままだ。


「ペナルティだよ。不正を働こうとしたフェリシアはこのまま大人しく寝てくれ」

「え、このまま?」

「あぁ、このままだ」


 どうやらレイスは譲る気はないらしい。

 これ以上進言したところでレイスは折れてくれないだろうと、フェリシアは大人しく受け入れることにした。

 一応身動ぎできないほどの拘束をされているわけではなく、あくまで包まれるように優しく抱きしめられているだけだ。

 ただ、体温と鼓動と感触さえ気にしなければいいだけ。


(それが一番気になるのだけど……! 私、この状態で寝られるのかしら……)


 寝るのが大事と言いつつ、この状況は本末転倒なのではないかと思いながらも、目を瞑るフェリシア。

 しかし、身体とは正直なもので、気づかないうちにストレスと疲労で心身共に負荷がかかっていたらしいフェリシアは、想像以上にあっさりと入眠してしまうのだった。

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