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[とある物書きの校了]
ーー西暦✕✕✕✕年 某日
幾つもの紙を揃える音がする。
現代にしてはアナログである原稿用紙の束。数十、いや数百のそれが書き手に、万年筆の代わりに持たれていた。
(おう、終わったのか)
立ち上がった「物書き」を見て、同じ空間を共有していたもう一方の人物が口を開く。そのふくよかな人物は、紫煙を吐きながら「書き手」へと手を伸ばした。
その手に「物書き」は原稿用紙たちを手渡す。
(ええ、元々書き終えられていたものですから。それは随分と昔ですが)
(そんで? こいつはどんな物語なんだ)
するとすぐには答えず、「物書き」は肩をすくめる。
(それが題名は思い出せていないんです)
(なら、少しこいつについて聴かせてもらおうか。話してりゃ、思い出すかもな)
そう言って「煙草吹き」は紙の束を「物書き」に手渡し戻す。そうしてもう一度、紫煙を昇らせる。
(そうですね、長くなるかもしれませんが…)
「物書き」は静かに眼を閉じ、語り始めた。
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