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-prologue-
Ars brevis, vita longa.
"芸術は人生にしては短すぎる"
これは本来、訂正すべき誤文である。
だが時に、この言葉通りの真理ともなることがある。
それに、幾度もの技術革新を経た現代ならば、尚のこと、人は生き延びることに慣れすぎた。
もはや、惰性ともとれる。
生きるために。死の果てに。世代を越えて。
もう、その為に生きられるのは出来る者は一握りだけなのか。
そして、人はあまりに弱い。
人類文明のツールたる社会は、加速度的に複雑化してきた。
だというのに、人はその複雑性に対応し続けられるのか。
手遅れか、あるいは傲慢な絶望か。
人が人を騙し、人は人に裏切られ、人と人で信じられなくなる。
余裕があれど、不足の世界は想像の埓外にあり、余裕がなければ、充足の世界は理想と成り果てる。
他人の努力ほど、矮小に思えるものはなく、己の無頼さほど、認知できないものもない。
かくも終わりの視えた、終わりの訪れない世界で。
いざ問わん、アルスの在り処を。




