第三話 狙われたボクの純潔
もう元に戻れないと聞かされて悲痛な声を上げるボクを見て、迷宮ジジィは呆れたようにため息をついた。
「アホたれ。命を助けてもらっただけでもありがたいと思え。」
その一言でボクは迷宮ジジィに命を救われたことを思い出した。
そうだった。迷宮ジジィはオーガの群れを蹴散らしてボクを救い出してくれた大恩人。取り乱しすぎてお礼も言ってなかった。
「あっ!! そ、そうでしたっ!!
どうもありがとうございましたっ! このご恩はどのようなことをしてお返しすればよいのかわかりませんが、まずはお礼申し上げます。」
ボクは大慌てで何度も頭を下げながら、迷宮ジジィに感謝の言葉を述べた。
ボクは誠心誠意、頭を下げてお礼を言った。
ボクには何もない。でも、せめて気持ちだけでも伝えられたら・・・・そう思った。
迷宮ジジィはこれまで何の報酬もなく人助けをしていた人だ。きっと、この誠意を受け止めてくれる・・・・と期待した。
しかし、迷宮ジジィは、そんなボクの誠意ある態度を見ても鼻であざけるように笑う。
「ふんっ。口では何とでも言えるし、礼の言葉で腹が膨れるものか。」
「えっ・・・。」
思っていたのとはずいぶん違う反応をされてボクは固まってしまう。しかし、迷宮ジジィはそんなボクの動揺など気に留める様子もなく、そのまま問い詰めて来た。
「それに恩返しの仕方がわからんだと?
そもそもお前に何ができる? 金も力もない冒険者の荷物持ち風情のお前に出来ることがあるのか?」
そう問い詰められたら、ボクは困ってしまう。でも、困った頭で考えたところで彼の言う通り、ボクには何にもないんだから、恩義を返すために出来ることは一つしかなかった。
「・・・・わかりました。このご恩は労働でお返ししたいと思います。
ボクに出来る事ならなんなりとお申し付けください。」
ボクは跪き、迷宮ジジィに頭を下げて、そう宣言した。それは奴隷契約も同然の宣誓だった・・・・。
しかし、その言葉に迷宮ジジィは気を良くしたようで「フフンっ」と嬉しそうに笑った。
「ああ、そうだろ。そうだろう?
金も力もないお前に出来る事なんか何にもない。
と、くりゃあ。体で返してもらうしかないわな。」
迷宮ジジィはそう言いながら懐から出した扇子を出したかと思うと、両足をバッと広げて踏み出し扇子を掲げて高らかにボクに命令する。
「お前には、今から当家のメイドとなって長年にわたって奉仕してもらうぞっ!
その命は俺が与えたもの。文句は言わさんっ!
食事洗濯掃除に夜伽をと・・・精だし励むことをお前には申し付けるっ!!」
・・・・・・
・・・・・
・・・えっ? い、今・・・・なんか不穏なこと言わなかった? このジジィ
いや・・・・まさかなぁ。そんなはずないよね。ありえない。うん、聞き間違い。聞き間違い。
ここはちゃんと改めてお話を確認しないとね。
ボクは震える声で迷宮ジジィに問いかける。
「・・・・はい? い、今なんと?
何やら食事、掃除、洗濯のお世話以外に何やら不穏なお仕事があったように聞こえたのですが・・・・聞き間違いでしょうか?」
迷宮ジジィは即答する。
「いや、だから。夜伽だよ、夜伽。」
「やっぱり言ってた~~~っ!?」
ボクはありえない要求に抗議する。
「よ、夜伽って何ですかっ!? 夜伽ってっ!!
ボク、男の子ですよっ!? そんなの出来るわけないでしょうがっ!!」
怒って反論するボクを見て迷宮ジジィは首をかしげる。
「いや。今のお前は女だし、もし仮に男だったとしても夜伽くらいはできるだろうが。
入れる穴があるんだからな。」
「ちょっ・・・!! 何言ってんですかっ!?
正気ですかっ! アナタっ!!」
なおも反論するボクを面倒くさくなったかのように頭をボリボリと掻く仕草をしてから、ボクの体を抱きかかえると、ベッドに向かって歩き出した。
それで彼が何をしようとしているのかわかったボクは必死に抵抗する。
「ちょっ!! 待ってっ!! 待ってってばぁっ!!
ボ、ボク・・・・・そんな・・・・男の子同士なんかやだぁっ!!」
迷宮ジジイの懐の中でジタバタしても鍛え上げられた迷宮ジジイの体は微動だにしない。
最後の抵抗としてポカポカ彼を殴っても、迷宮ジジィは「はははっ!! 愛い奴めっ!」なんて喜ぶことはあっても痛がる素振りも見せない。それどころか、鉄の鎧のように固い迷宮ジジィの体を叩いて逆に自分の手が痛くなるのが関の山。この人、本当に老人なのっ!?
あっという間にベッドにたどり着いてしまった。
迷宮ジジィはベッドの前にたどり着くとボクの体をポイッと投げ捨てるように解き放つ。
「な、なにをするんですかぁっ!!」
乱暴にベッドに投げ出されたボクは、体を起こしながら抗議する。ベッドの上だからダメージはないけど、怖かったんだ。
でも、迷宮ジジィはボクに容赦などしなかった。
抗議するボクの胸襟を「むんずっ」と、掴むとボクが着ているメイド服を紙を裂くようにアッサリと破り捨てた。
窮屈そうに収まっていた両乳房は押さえていた衣服が突然破れたので弾けるように飛び出して露になる。
その状況にボクは男の子なのに何故だか、急に恥ずかしくなって、悲鳴を上げる。
「きゃああああ~~~~~っ!!!」
慌てて両腕で乳房を隠そうとしたけど、ボクの両腕は迷宮ジジィの両手に掴んで止められてしまった。
「・・・・美しい。
一点の曇りのない薄いピンク・・・・ああ。お前はやはり美しい。」
迷宮ジジィはそう言ってからボクの唇を塞ぎながら愉快そうに笑った。
「いや、違ったな。お前はもうアイツではない。
ふふふ。中々に新鮮な反応だな。その体の持ち主は生前、どれほど汚されようが悲鳴などあげなかったからな。
今日はゆっくりと楽しませてもらうぞ・・・・」
「い、いやああああぁぁぁぁ~~~~っ!!」
ボクは悲鳴を上げて抵抗するけど、その悲鳴は迷宮ジジィを昂らせてしまうだけだった。
このままじゃいけない。ボクは、今の状況を脱するために苦し紛れに叫んだ!!
「こ、交渉しましょう!! 迷宮ジジィっ!!」