リベンジ
はぁはぁと肩で息をしながら、男は目前を見据える。
剣を握り、ボロボロの青いマントを着た男は、石畳で覆われた広い空間に立っていた。
男の眼前には、玉座に座った金の目の男がいる。
「また懲りずにやってきたのか、勇者。」
金の目の男は鼻で笑うように、少しずつ息を整えつつある男…勇者に話しかけた。
「これで、7回目だぞ。だが、今回は少し時間がかかったのではないか?」
「お前が毎回ここから一番遠いところに飛ばすからだろうが、魔王!」
ここまで来るのにどれだけの交通費がかかってると、、、とすさまじい金額のツケを思い出したのか思わず声が引きつる。
「それは貴様が弱いからだろう?」
勇者の言葉を躱し、魔王はニヤリと口を歪ませた。
言い返せない勇者は剣を握りしめ、ぐっと黙り込んだ。
「だが、貴様の何度敗れても1人で我に挑む心構えは、なかなか気に入ってはいる。」
だからこそ、殺したりはしない。勇者の心を認めているのは確かだ。
同時に、玉座からゆっくり立ち上がる魔王。それを見た勇者は、自分の息が整うのを待っていた魔王に小さく笑いながら、剣を握り直し構える。
「行くぜ!」
勇者が走り出した瞬間、戦いの火蓋は下ろされた。
fin.