9.5話 女神の威厳 ぶっ壊します
「あ、愛の女神アトランシア様よ!」
「アトランシア様今日も可愛らしいわぁ」
「俺もお近づきになりてぇなぁ」
天界にて愛の女神アトランシアは天使たちに常にちやほやされ愛されていた
愛嬌があって優しくてドジなところもあるけど
それがまたいいと評判だった。
しかし最近は
「うーわアトランシアよ…」
「やだこっち来ないで欲しいわ…」
「なんかまた更に臭くなってないか?
愛の女神から便所の女神に鞍替えしろよ」
「どうしてこうなったぁぁぁぁぁぁ!!」
女神は頭を抱える。
原因は当然 氷動レイドである。
彼が毎朝のルーティンで毒沼に不法投棄している女神像はいわば女神の体の一部のような物
だからこそ触るだけで恩恵が得られ
普通の人では見ることすらできないのだが
そんなものが悪臭にまみれたヘドロに漬け込まれたら
当然本体にもその影響がでる
例えるならば
ヘドロを体に塗りたくって過ごしているようなものである。
本来であればレイドに神罰を与えて止めるか
信徒に信託を送り女神像を回収させれば良いのだが
契約反故のペナルティとモヒカンへの介入のせいでそれもできない。
彼女にできるのはただ強くなっていく自身の体から漂う悪臭と周りの目に耐えながら、担当する世界の行末を見届けることだけである。