7話 幼馴染のライバルイベントをぶっ壊します
病は飯から食とは人が良くなると書く。
俺の好きな作品の名言の一つ
前世では若いうちにに死んでしまった今の俺にはかなり沁みるセリフだ。
実際その通りだと思う。
うまい料理は日々の楽しみになるし活力になる
侘しい食事では心までそうなってしまう
だから日々食すものは満足のいく物を
腹八分目くらいには堪能して過ごしたい。
なぜこんなことを語っているかというと
〜本日の夕食メニュー〜
トマト(だったもの)と海鮮のパスタ(のようなもの)
パイナップルとニンニクとナマズのゼリー寄せ
これはなんの拷問だ?
これがパスタ?魚の胃袋の中身ではなくパスタなのか?
ゼリー寄せ?どの食材が原因かわからない悪臭を撒き散らしているこれがか?
下水掃除していたら出てきたスライムの死骸ではなく?
そしてなぜ俺がこんな物を口にしなければならないんだ。
2時間前
椎名まゆみを勢いに任せてKOした後
寮の食堂で食事をとることにしたのだが
言い争う声が食堂から聞こえてきた
「カイトは私とご飯食べるの!」
「いーやカイトちゃんはあたしと食べるの!」
聞いたことがある内容だと思ったら
これは食堂初使用時に起きるイベントか
主人公が食事をしようと立ち寄ると
幼馴染である佐々木マイが一緒に食べようと誘ってくる
それに入試試験の時、主人公に目をつけていた
柊木マキがちょっかいをかけてくるというもの
もちろん二人とも攻略対象である。
だからなるべく関わりたくないんだが
まぁ二人に挟まれて鼻の下を伸ばしてデレデレしている主人公がいるなら椎名まゆみの時のように俺が絡まれることはないだろう。
俺の記憶が正しければこのまま料理対決に発展して
激まず料理を振る舞って食べた3人ともダウン
これがこのイベントのオチだったはず
巻き込まれないうちに食事を済ませて退散しよう。
そう考えていたんだが…
「氷動さん!どっちの方が美味しいか正直に応えてください!」
「主席の氷動くんならどっちの料理が優れてるかわかるよねぇ〜?」
試食をした主人公がぶっ倒れたことにより
次の審査員(生贄)を求めて食堂を練り歩いていたふたりに捕まってしまった
どうやら柊木のやつ主人公だけでなく
入学生代表になった俺のこともマークしていたらしく
顔を見られた瞬間拘束された。
さて…どうするのが正解か?
1.両方食べた上で不味いとはっきりいう
2.食べる価値もないと高速を解いて立ち去る
3.お世辞で誤魔化す
1が一番俺にとっては最適解だが
こんなものフリであったとしても口に入れたくない
2は悪くないがここで二人からの心象を悪くして近しい存在である主人公から敵対視されるのは避けたい
3こんな汚物に世辞すらもったいない
それに下手に褒めると好感度が上がりかねない
もう椎名まゆみみたいなやつが増えるのはごめんだ
さてどうするべきか…
そんな考えを頭の中で巡らせていると
バンッと食堂のドアが開かれた
「オーホッホッホ!!氷動レイド!!一度ならず2度も私を倒すなんて褒めて差し上げますわ!
ご褒美として私が贔屓にしている有名高級レストランで私とデーtディナーする権利を差し上げますわ!さぁ泣いて喜びなさい!」
高笑いする椎名まゆみが女神に見えた
地獄に一本の救いの糸を垂らす釈迦の如き
神々しさすら彼女から感じる
これに比べたら愛の女神はカスや
即拘束を自力で解き
二人が呆気に取られている間に椎名まゆみの手を取り食堂を去った
よっしゃよっしゃよっしゃよっしゃよっしゃ
二人の好感度を上げることなく
かつ敵対視されることも回避しつつこの場を乗り切ったぞ
椎名まゆみ最高かよマジで女神もう最高
大好き心の底から愛してるわ
あー興奮しすぎて今の心の声途中から漏れてたかも
まぁいいやどうせ誰も聞いてないだろ!
氷動レイドは高揚感のあまり
椎名まゆみの手を取って歩いていることを忘れていた。
そして後ろで茹ダコになっている椎名まゆみにも気づかなかったのだった。
『椎名まゆみの好感度が2997上昇しました』