表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/24

1話 腹いせにぶっ壊します

やってられない。

心の底からそう思った


俺はよくある恋愛ゲームの世界への転生を果たした

いわゆる転生者だ


転生時に会った女神曰く

愛の女神である自分の力を高めるためには

自分が担当する世界で多くの恋人たちが結ばれる必要があるらしく


特に女神の恩恵を受けているゲームの主人公やヒロインたちには一人でも多く結ばれてもらう必要があるらしい


その手伝いをしてもらうために俺を転生させたらしい。


このゲームは果てしなくやりこんだだけでなく

製作者インタビューも裏設定もなんなら没設定まであますことなく把握していた俺に白羽の矢がたったとのことだ


転生して女神の手伝いをする条件として

願いを一つ叶えてもらえるとのことなので

俺はあることをお願いした。


それは『高橋さつき』と恋人になりラブラブ生活することである。


高橋さつきはこのゲームにおいてはいわゆるモブキャラである


主人公やヒロインと同じ学園に通うが

クラスが違うためほとんど登場せず

他のモブとは比べものならないくらい美人なのに攻略対象ではないのである


何を隠そう俺は高橋さつきが大大大好きなのである。


モブである彼女の情報を得るためにあらゆる設定資料に目を通し

その結果このゲームに開発者の次に詳しくなったという経緯があるくらいだ


そんな彼女と結ばれるだなんて幸せすぎる


女神はそれを了承し


俺は高橋さつきの恋人として


そしてこの世界の主人公のライバルキャラとして転生した


はずだったのに…



「私と別れて欲しいの」


この世の何よりも大事で愛してる存在からそんなことを言われた。


そしてその横にはこの世界を知り尽くしている俺ですら見たことない青年が彼女の肩を抱いている


真っ白になった頭から必死に言葉を捻り出そうとしたが

は?

この一言しか絞り出せなかった


「私…本当に好きな人ができたの。あなたのことは嫌いじゃなかったけど…私は本当に好きな人と一緒になりたいの」


「彼女のことは僕が必ず幸せにします。だからどうか身を引いてください。それでは」


言うだけ言ってあいつらさっさと行きやがった…


本当に好きな人と一緒になりたい?


俺のことは本当に好きじゃなかったっていってるようなもんじゃねぇか…


転生してこの地で生を受けておそらく女神の計らいで彼女とは幼馴染として育った


幼い頃からずっと一緒で俺が彼女に告白した時涙を流しながら喜んでくれたのに


まさかこんなにもあっさり捨てられるだなんて思いもしなかった。


高橋さつきが好きだった。だから転生にも了承したし、彼女と結ばれることを条件に女神の手伝いも請け負った。


けれどゲーム本編が始まる前にこんな目に遭うとは


おぼつかない足取りでウチに帰宅し

布団の中で現実逃避を繰り返した


きっとこれは夢だ。

そうだそうに違いない

仮にもしもなにかも手違いで彼女が俺の元から離れてしまったとしても前世と同じように女神がなんとかしてくれる

そんな淡い期待を胸にして眠りについた


そうだそうに決まっている

朝になればいつものように彼女が俺を起こしにきてくれる。

そしたら二人で一緒にまたいろんなところに出かけるんだ

ゲーム本編が開始する入学式まで後少しなんだ

少しでも彼女のために時間を使ってあげたい



朝目が覚めた


普段と変わらない自室


彼女は


高橋さつきはいない。


昨日までは悔しさと悲しさでぐちゃぐちゃだった頭が一晩寝てスッキリした


そしてそういった感情を燃料にして怒りが燃え上がってきた。


俺はこれから先あらゆる登場キャラたちが良縁に結ばれるように行動しなければならない。


なぜ?


女神との約束だから


しかし約束は破られた


彼女とのラブラブ生活は奪われた


ならこっちも約束を守る必要はない


俺はこれからはやりたいように生きる


それで誰が不幸になろうが誰が死のうが知ったことじゃない


恋愛ゲーム?クソ喰らえだ


だが約束を違えたあの女神は許さん。


絶対に仕返ししてやる


この世界を知り尽くしている俺を敵に回したことを後悔させてやる。


あとこのゲームの主人公


ごめん。たぶん巻き添え食うわ


恨むならあのクソ女神を恨んでくれ


こうして俺の恋愛ゲーム破壊ライフが始まった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ