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書籍1巻 発売記念 SS

いつもありがとうございます!


書籍1巻が4/28日に発売しました!ぜひそちらも応援していただけると嬉しいです٩(๑´3`๑)۶

 

「凄い……」


 とある日の午後、調合の合間に辺境伯邸内の訓練場を訪れたメロリーは、そうポツリと呟いた。


(ロイド様が部下の方たちに稽古をつけてる姿、初めて見た)


 剣の素人のメロリーであっても、辺境伯家に仕える部下たちの剣術が鋭いことは見て分かった。

 しかしながら、ロイドの前では赤子扱い同然といったところになっている。ロイドが強いことはもちろん知っていたが、まさかここまでとは思わなかった。


(ロイド様、格好良い……)


 これまで見れていなかったことが悔やまれるほどだ。

 強い姿はもちろん、部下たちに熱く手ほどきをする姿、成長をさらりと褒める姿など、ついついロイドに見惚れてしまう。


「メロリー?」


 婚約者をじっと見つめていると、彼の青い瞳がこちらを射抜いた。

 稽古を邪魔してしまったかもしれないとメロリーが頭をペコリと下げると、ロイドは目にも留まらぬ速さで目の前まで来ていた。


「見に来てくれたのか?」

「は、はい。部下の方たちにご指導するお姿、とても格好良かったです」

「グッ……!」

「ぐ? ひゃあっ」


 ロイドの奇声をオウム返した瞬間だった。

 気づいた時にはロイドの力強い腕の中に引き込まれていた。


「ロ、ロイド様?」

「突然すまない……! メロリーに格好良いと言われると、あまりの嬉しさに体が言うことを効かなく──あ」

「え?」


 一体どうしたのだろう。

 いきなり話すのをやめたロイドの異変が気になったメロリーは、様子を窺うべく顔を上げた。


「すまない……今私は……汗臭いかもしれない」

「汗? 稽古してましたものね」


 確かによく見れば、ロイドの額はキラキラと光っているし、体はいつもより熱い。

 複数の部下に一気に稽古をつけているのだから、そりゃあそうだろう。


「ああ。それなのにメロリーを思い切り抱き締めてしまった。いや、すぐに腕を解けば良いんだが、愛おしい君をもう少しだけ抱き締めていたい……」

「それならこのまま──」

「私はどうすれば良いんだ……! いや、離せば良いんだが……! 無理だ……! ああでも、私のメロリーが私のせいで不快な思いをするのだけは避けねば──」

「ロイド様!」


 混乱しているロイドの名前を、メロリーは大きな声で呼ぶ。

 ハッとして申し訳なさそうに見つめてきたロイドに、メロリーは陽だまりのような柔らかな笑みを浮かべた。


「ロイド様の汗の匂いでしたら、私大歓迎です」

「……!?」

「だってほら、好きな人の汗ですよ? ロイド様は私が汗をかいてたら、嫌ですか……?」


 その瞬間、ロイドはスゥゥゥゥ……と深く息を吸い込んでから、より一層力強くメロリーを抱き締めた。


「そんなわけないだろう! メロリーの汗はむしろご褒美だ!」

「ご褒美……はあれですけど、それなら良かったです!」


 その後、長時間抱擁し合うメロリーとロイドに部下たちは声をかけられず、アクシスがその場に呼ばれることとなった。

「あ、これはしばらく無理そう」と迅速に判断したアクシスが、部下たちに体を冷やさないように気を付けて撤収してねという下した判断は、おそらく英断だろう。

お読みいただきありがとうございました!

↓に表紙や公式様のリンクが貼ってありますので、書籍版もよろしくお願い致します!

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美しい表紙と挿絵を担当してくださったのは麻先みち先生٩(♡ε♡ )۶
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作者の活動報告やX(公式様や櫻田りん)で詳細はご覧くださいませ! 何卒よろしくお願いいたします〜(*^^*)♡ 魔女 ♦聖女の妹の尻拭いを仰せつかった、ただの侍女でございます~謝罪先の獣人国で何故か黒狼陛下に求愛されました!?~②♦
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