2章
SNSの中から見つけた君は、僕の知る君ではなかった。
いや、正確に言うと、その出来事を知ってはいたけれど、
それよりも、残酷な君がそこにはいた。
キーワードから、君のことだとわかってはいたけれど、
「そんなはずない」
無意識に、詳細を調べている僕がいた。
そんなはずない、はずもなく、
懇切丁寧に書かれた、君の残酷な姿。
知らなかった。
知ろうとしなかった。
当時はもちろん、その後も、現在に至るまで、ずっと。
知ることが怖くて、耳をふさいでいた。
君を思い出すことはあっても、
「出来事」は思い出さないようにしていた。
知ってしまったら、思い出してしまったら、
「残酷な僕」と向き合わなければいけないと、
無意識を装って意識的に避けていたんだ。
ごめんね。
20数年前の「出来事」の、「残酷な君」、
そこから遡って更に2年前の、「繊細な君」、
ずっと一人にしていて、ごめんね。
僕なんかの存在は関係ないかもしれなけれど
ひどい自意識過剰かもしれないけれど
20数年+2年前の君と僕が、もっと違った形であったなら
何も知らない関係もないヒトタチに
残酷な君の姿を描かれることはなかったんじゃないかと
今更ながらに思うんだ。