93 謎解き部
僕等は3Fにある謎解きができる教室に足を踏み入れることにした。
そこの運営主体は謎解き部が行っている。
謎解き部と聞いて最初に思い浮かべる人物は、あのGWのエウレカの握手会の時に僕のピンチを救ってくれた栗原 丈一郎こと栗原部長だ。
入り口の受付に謎解き部の部員として見覚えのある1年の女子生徒が座っていたので、僕等3人はその子に入場料の100円をそれぞれ払って教室の中へと入った。
中には既に10人ほどの生徒が黒板に書かれた謎解き問題とにらめっこしている。
規模的に東京にある本格的な謎解きのテーマパークに比べれば見劣りするのは仕方ない。それでも生徒達が謎を解くのに夢中になっている姿を見ると、なかなかの評判のようだ。
そして、他に教室内でやたら目につくものが、エウレカ3期生の雫井 詩帆の写真である。
雑誌の巻頭カラーやネットで検索した画像などを切り抜いたものだろう。
これでもかというくらい教室内の至る所に貼り付けられていて、説明するまでもなく雫井激推しの栗原部長の意向であることは明白だった。
「なんでこんなに雫井ばっか貼られているんだべ」
藍菜の他にも理由を知らない人達はまず最初にそう思うだろう。
一方の茜がじーっと見ている廊下側の壁方向に視線を合わせるとエウレカの3期メンバー全員がどこか南国の波打ち際で笑顔でくっつき合ってはしゃいでいる写真が貼り付けられていた。
それが今年の夏に話題になったエウレカ3期生の写真集の付録なのは、僕もその写真集を発売日当日に購入していたので知っていた。
国民的アイドルグループのメンバーの水着姿が拝める貴重な1枚の特大ポスターであった。
それを見て僕がひどいなと思ったのは、センターには雨音が立っていたはずなのに、一番端に追いやられていて代わりに雫井がセンター立っていた。
どうやらポスターを画像データに変換してPCの画像編集ソフトで自然な感じになるように加工したようだ。もちろん栗原部長の指示で。
勝手にポジションを端に変えられて雨音本人がこれを見たら流石に気を悪くするんじゃないかと思ったが、幸い雨音が今日明日に学校に来ることはなさそうなのでその心配は無用だ。
藍菜も茜もこの教室に入って色々不可解に感じているであろうことは十分承知できたが、面倒くさいと思った僕は特に彼女達に説明などはせず、本題である謎解きをやってみようと誘った。
謎解きの問題は教室の前後の黒板に書かれている。全部で3問だ。