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Close to You  作者: Tohma
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62 夏休みの部活動

 学校が夏休みに入った。


この間、力を入れて取り組もうとしている事の1つが文化祭に向けたMEtoHANAのバンドセッションだ。


 夏休み初日。


何とか部室でドラム音を鳴らしたいと言う石森の望みを叶えるべく、僕と藍菜は石森の家に行き、3人で大きなドラムセットを部室まで運ぶことにした。


 仙宮高の最寄り駅から3人で電車に乗り、片道20分くらいかけて石森の家へとたどり着いた。ドラムセットは4畳半の彼の部屋には大き過ぎるので、庭にあるドラム練習用に改装された物置小屋の真ん中にまるで主のように置かれていた。


ドラム奏者がドラムを叩いている姿はTVやネットで観たことはあったが、ドラムセット1式がこんなに沢山の打楽器で構成されているのだとこの時初めて知った。基本の低音を出すバスドラムとスネアドラム、補助的な音を出すタムはフロアタム、ハイタム、ロータムの3つ、そして高音のシンバルもハイハット、クラッシュ、ライドと3つあり、合計8つもあるのだ。


両手と片足を常時動かし、これらを使いこなさないといけないのだから石森含めドラマーの人達には頭が下がる。


「近所迷惑にならないように壁の周りにはこうして段ボールや発泡スチロールで敷き詰めたりはしたけれど、何せこの部屋冷房が無いからさ。この時期すごく暑いんだよ」


確かにここでは防音はバッチリだが、夏は暑く、逆に冬は寒そうだ。石森に限らず誰も練習する気にならないだろう。


早速、3人で手分けしてこのドラムを運び出すことにした。


「女の子にこんな大きくて重たい物をおみーらは運ばせるだか」


僕も石森も藍菜の"女の子"という言葉に妙な違和感を感じつつも結局、ドラムやタムといった大きな荷物は僕等で運び、シンバルやドラムスティックのような軽い物は藍菜に運んでもらった。


一番大きなバスドラムに至っては石森と2人で持って運んだ。


 暑い中、大きな荷物を持って運ぶのはとても大変だった。


さらに仙宮高までの道のりである電車の中、通りでもケースに入れているとはいえ、大きな荷物とそれを持つ僕等に周囲の人達の視線が集まるのがなんだか居たたまれない気持ちになった。


日中の日差しに(さら)され汗をかきながらも、急ピッチで作業して2日でなんとか全てを運び終えた。


このドラムセットは何度も石森の家と高校の部室を行き来させるのはとても面倒なので文化祭が終わるまでの間、部室に置いておくことにした。



「いやっほー!」


部室でドラムが叩けるようになって余程嬉しいのだろう。奇声を発しながらドタドタドタドタジャーンと相棒を鳴らす石森。


「楽器はそろったし、早速セッションやろうよ」


「おう、やんべやんべ」


と石森に応じ、ベースストラップを肩にかけ、演奏の準備をする藍菜。


僕もアコギを抱えて、マイクスタンドの前に立った。


あっ、1、2、3と石森の掛け声により演奏が始まる。


曲は先日作った"Strong in the rain"。


まだお互いの演奏にたどたどしさは残るものの今まで各自パート練習を重ねて来ただけあって着実に曲になってきている。


なにより今までアコギ1本で弾いていたが、石森のドラムと藍菜のベースという彼等リズム隊の演奏が加わることで音に厚みが出る。


今後は何度もセッションを重ねて曲の完成度を上げるための調整を行っていくつもりだ。

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