39 Your Color
「私が歌を好きになったのは忘れもしない、小学2年生の春の頃。その時、他愛のないことでクラスの男子とけんかして・・・」
どうやらその時から志波は負けず嫌いの性格だったようだ。
「その時は結局負けてしまって、家に帰っても悔しくてワンワン泣いていたのね。
そうしたらお母さんもお姉ちゃんもあなたは女の子なのだからしょうがないみたいに言われて・・・
当時は男だからとか女だからとか関係ないと思っていたからとても悔しい思いをしたの」
どうしてそんな話をするのだろうと僕は思いつつも彼女の話に引き込まれていった。
「その後、しばらく1人部屋に閉じこもっていたんだけれど、じっとしていても何もすることが無くて退屈で・・・
ベッドの枕元にあったラジオを何気なくつけてみたの。
私がまだ3才ぐらいの時に亡くなった、いつも優しくて大好きだった祖母のお気に入りだったラジオ」
その時、ラジオから女性ボーカルの洋楽が聴こえてきた。その曲に志波はとても衝撃を受けたという。
「サビで何度も"Your Color"っていうのが聴こえてきて、もちろん当時英語の歌詞の意味なんて分からなかったけれど、何だかその曲にあなたのそのままでいいって言ってくれたように感じてとても救われた気持ちになったのをはっきりと憶えている」
この一件が志波を音楽の道へと導いたのだった。
「音楽が人に寄り添ってくれることを知ったきっかけでした。後にこの曲の和訳を調べたら
"あなたの色を探して、そしてあなたの道を進めばいいのよ"という意味で、私もこんな風に人を
励ましたり、感動させる歌を歌いたい、それから歌手になることを目標に今日まで生きてきました」
どんなに大きな規模のライブでも常に聴衆を魅了する圧巻のパフォーマンスをする志波。普段あまりプライベートのことを話さないのでこの回の放送で彼女のこれまで知ることのなかった内面を垣間見た気がした。
「緑の街に舞い降りてみたいさん、英語が好きなあなたならぜひ大会まで自分の納得がいくまでスピーチの練習をしてみてください。
階段を上るように一段一段ちょっとずつかもしれないけれどそのうち不安が自信に変わってゆくと思います。
そして大会当日、人前で自分の練習の成果を披露した後の達成感は何物にも代えがたいものだと思ってもらえたら最高です。
他の人と比較なんてしなくていい、失敗してしまったっていい、正しい答えなんて無いんだから。あなたが満足できたならそれがきっと正解なはずです。
私がそうだったから、そしてこれからもずっと歌い続けたい。あなたにとって今回の英語スピーチがそんな経験になってくれることを願っています。
あなたとそして同じような不安や悩みを抱えているリスナーさん達にこの曲を贈ります。
ランドフォア・ハイフィールドで"Your Color"」