真実の目次
朝起きると朝食を食べ、父ちゃんの写真に手を合わせた。
「行って来るよ。父ちゃん」
そう言うと俺はゼニス達との集合場所ではなく村長のファルマスさんの所へ行った。
「やっとついたか」
思っていた以上にファルマスさんの家は遠かったがゼニス達との約束に遅れるほどではなかった。
「こんにちは。ファルマスさんはいらっしゃいますか?」
扉を叩き大きな声で問いかけると中から茶髪の男の人が出てきた。
これがファルマスさんか?
俺は村長を見たことがなく、もっとおじいちゃんぽい人をイメージしていたが、30代くらいの人だった。
「父のファルマスなら今でかけていますがどうかしましたか?」
見た目に反して礼儀正しいこの人は村長ではなかった。
出かけているとは、想定外だった。
近場なら自分で行ったほうがいいか。
「どこへ行かれましたか?」
「カテラのアルモワール王国、王都シルメルという街へ行きました」
「アルモワール王国!?」
これは更に想定外だった。
アルモワール王国と言ったら俺らの村がある土地、シャラトから北へ1大陸移動したところじゃねぇか。
今すぐ会うなんてとても無理そうだな。
だが!不幸中の幸いだった。
アルモワール王国は俺らが今日行く冒険者試験の開催地だった。
「ありがとうございます。俺も丁度アルモワール王国のシハメルという所に行きます。そこでお会いします」
俺はそう言い立ち去った。
「ちょっと待って下さい!」
先程の男の人から止められた。歳もいかない俺がアルモワール王国に行くのは嘘だと思われたのか?
さっと後ろを振り返った。
「父、ファルマスが行ったのは王都シルメルです。あなたが行くのは下町のシハメルですよね?シルメルは王都なので許された方しか入れません。そうするとあなたと父は会えないのですが…」
何という不幸だ…。結局ファルマスさんとはここで会えないのか。
「分かりました。では俺はシハメルに向かうのでファルマスさんがこの村に帰ってきたら…」
カバンから手紙を取り出し
「これを渡してください」
しょうがない…。シハメルから帰ってきてからにするか。
「こ…これは!?」
手紙を渡すとわざとらしくこの人は驚いていた。
「取り乱してしまいすいません。私の名前はマクスと言います。あなたの名前をお聞きしても…?」
「アルマです」
俺が名前を言うとマクスさんは驚きが確信に変わったような表情をしていた。
「父に会わせるまでもありません。アルマさん。どうぞ家の中に入ってください」
俺は言われるがままにマクスさんの家の中に入った。
中は豪邸でリビングらしき部屋につくと椅子に座るように言われた。
「長い話になります。お茶を持ってきますね。」
そう言うとキッチンの方に姿を消した。
「まいったな~」
俺は今日ゼニス達とこの村を旅立つのに俺が時間に遅れたらゼニスに呆れられヒナに文句を言われるいつものパターンがもう読めてる。
キッチンから戻ってきたマクスさんはお茶を置くと椅子に座った。
「アルマさんは冒険者になるんですよね?そのためにシハメルに行き冒険者試験を受けるんですよね?」
「……え?」
なんでマクスさんは知ってるんだ?俺一回も言ってないよな!?
俺があたふたしてるとマクスさんは軽く笑い、話を続けた。
「アルマさんの父のゴルドさんとは僕が子供の頃に何度か会っていますから。」
マクスさんは俺のことを知っているようだった。
「アルマさんには話しておかなきゃいけないことがあります。そのためにここへきたんでしょう?」
そう問いかけてきたマクスさんに俺は続いた。
「はい」
短くそう答えるとマクスさんの表情が引き締まった。
「まずはゴルドさんとの関係からですかね?」
この言葉から父の話が始まった。