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天神の彼方  作者: 夜桜海飛
1章 冒険準備編
2/6

仲間

「ところでさっきは何を言い争っていたんだ?」

その一言でクラスはお楽しみムードから一変一気に凍りついた。


「え?これは聞いちゃいけんやつだったか?」


戸惑うカクちゃんに助けを求めるような声でローラが

「聞いてよカクちゃん!アルマ君冒険者になるらしいんですよ!」

カクちゃんは険しい顔で話を聞いていた。


まずいな…角田先生には卒業したら言おうと思っていたからまだ言ってなかった。先生お堅いだろうからな〜。


どう取り繕うか迷っていると重々しい空気の中カクちゃんは席を立った。


「せ…先生ご報告するのか遅れた…?んですが俺冒険者になろうと思っていまして」

ぐちゃぐちゃな文を話しながらカクちゃんの顔色を伺うとカクちゃんは口を開いた


「かっけー!!」


『え?』クラスのみんなが驚いていた。

実際一番驚いてんの俺だし。


「みんなかっこいいと思わないの?特に男子!だって冒険者だよ?」


カクちゃんは本気でみんなに話していた。


「だよな!やっぱカクちゃんは話がわかる男だぜ」

クラスのお調子ガルがそう言い放つと男子共は大騒ぎに。


「カクちゃんもそっち側なの!?」

ローラはやや落胆したがみんなもうアルマが冒険者になるのを祝福しているムードなので認めることにした。


「危ねぇ…助かった」

ほんとに安堵した。

あんな顔をしていたカクちゃん見たことがなかった。


クラス中が大騒ぎの中一言の言葉が聞こえた。


「後で話がある」

重々しく冷静な一言が後ろから聞こえた。

ふり返るとカクちゃんは他のところに歩いて行って楽しそうに話をしていた。


「……終わった」

絶対に怒られる。そして止められることは目に見えている。

「どうしよう」お楽しみムードの中一人考えていた。



そのままクラスでのお別れ会が終わりみんな後片付けに入っていた。


俺はあの一言の後一度も楽しんだ記憶がない。

「迷惑かけたな…」

口ではそう言いながら一人うなだれていた。


「何が迷惑なの?」

目の前にはヒナがいた。悲しそうな目をしているから慌てて

「いや、なんでもないよ!」

明るく振る舞ったつもりだった。

「嘘つくなよ。俺らにも言えないのか?」

後ろにいたゼニスには筒抜けだった。ヒナも頷いていた。


嘘なんか見抜いたことないヒナにも見破られてたとは。

どんだけひどい顔してたんだ?俺は。


「アルマ大丈夫だった?すごいお別れ会のときつらそうだったよ?」

俺らの中で暗い雰囲気が流れる。


「まぁ言えねぇんだったらいいぜ、ヒナ俺らも話があるもんな?」

何?ゼニスとヒナから話?珍しいな。


そういえば最近俺抜きでいつも話してたからな…


まさか付き合ってんのか!?

そういうことなのか?だから俺に今行ってもう近づくなとか言われんのか?

流石に悲しいな。確かにゼニスはかっけぇしヒナも可愛いけど。


そんな妄想を裏にゼニスが口を開く。


「俺もアルマと同じく冒険者になろうと思ったんだ。」


「ちょっとまて」

俺の馬鹿な妄想の180°上に来た。

いや、そんなこと一度も行ってなかったじゃねぇかよ。どうしたんだよ。


「私もなるよ!冒険者」


「いや、待て待て待てお前ら本気か?」

考える前に口から言葉が出てきてしまった。

いつめん全員が冒険者とか意味わかんねぇよ。


「お前ら本気で言ってんのか?ゼニスはまだわかるとしてヒナには危険じゃねぇか?」

実際冒険者とは危険なのだ。未知の場所を冒険したり誰も見たことない生物と戦わないといけない。とても危なっかしくてヒナから離れられない。


「俺は二刀流の剣士がいいかなかっけぇし」

そんな俺の不安をよそにゼニスは続ける。


「私は回復魔法使ってみたいな!みんなの傷を癒やす担当がいい!」

ヒナまでもがもう乗り気だ。


「いや、意味わかんねぇよ。そもそもなんで俺に話してくれなかった!」

実際なぜ俺に話してくれないのかが分からなかった。

俺に話したって何も悪いことはないはずだ。


「ちょっとしたサプライズをね!」

ヒナは笑いながらそう言うと二人とも俺の前に立った。


「なんだよ?もう何言われても驚かねぇぞ」

今度何を言うつもりかわかんねえがこれ以上驚くことはないだろう。


『俺たちのことを仲間に入れてほしい』

今この一言が人生で一番驚いていた。

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