表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

猫は人の道を通らない

作者: 花成

 通学路を歩く途中で、ふと遠回りをしてみたくなった。

 ライトグリーンのフェンスで挟まれた横道に入る。

 細長く伸び切った雑草が膝をくすぐり、砂利道が足元を不安定にさせ、青々しい臭いで早々にも後悔が募る。

 けれど教室に漂う透明な不快感より、触覚に直接伝わる自然の不快感はどこか郷愁的でいい感触だ。

 ゾクゾクした道を抜けて、曲がり角に差し掛かり、視点を下に降ろし道の安全を確認すると、出会い頭に猫がいた。

 目が合いじーっと立ち止まる猫とぼく。

 黄茶色、かわいい、触りたい、狂犬病?、しっぽ上がってる・・・

 「・・・あっ・・・そうかここは君の道だったのか、ごめんね」

 飛び込んできた雑念をくぐり抜け、猫の前足が動くより早く振り返り、引き返す。

 そそくさとクシャクシャ鳴らして獣道を戻る。臭いには慣れてきた。

 猫のことを思う。

 伸びたしっぽはお散歩でご機嫌だったのだろうか。

 面と向かうとさしあたり『そこをどいて』と言わんばかりの困り顔は愛らしかった。

 舗装されていない道の感触も含めて、野性の世界は分かりやすい。

 ふと顔を振り向く。

 猫はまだ、遠くの方で、じーっとこちらを見ていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ