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剣術を学びたいダンマス

名前をつけた瞬間、このダンジョンが異世界にて生まれた。と言ってもドラゴンや悪魔とかが出てくるような凶悪なものではなくスライムと亡霊騎士、鬼人かいるだけのしょぼいダンジョンだ。


一階層は特に目立ったものはなく二階層にスライム変異種、三階層に俺とリーチが居座っている感じだ。


名前をつけてから数時間、何故か一向に冒険者が来ない。そりゃあもし今自分のダンジョンが秘境とか海底にあったら、そもそも見つけてすらもらえない。


いつまでも変わらないダンジョン内の映像を見ても面白くないのでリーチと話をする。


「なあ、そういえばリーチって元聖騎士長って言ってたよなぁ。」


「確かに言っていたな。それがどうしたんだ?別に聖騎士長の頃なんて家族や先輩達からいびられた記憶しかないが。」


「お、おう。もし剣とか強いんだったら教えて欲しいなぁって。俺剣術とか全くわからないし。」


俺がこういう剣関連の物に触れたのは中学生の時にした部活の体験入部にて剣道部の竹刀を少し振ったくらいだ。


結局剣道部には入らなかったし、その時の記憶とか曖昧すぎてあまり覚えていない。


「本当に俺なんかでいいのか?これは別に自慢できるようなことではないが新人聖騎士の教育係をした時に2日で教育係交代願いを出されたぞ。」


「いや本当に自慢できることじゃないな!?まあけどリーチ以外教えてもらう相手いないし。多分リーチが教育係のときだって上層部か家族が新人に圧をかけてたかも知れんぞ。」


「そんなふうに俺のことフォローしてくれたの初めてだ。よしまかせろ!!俺がダンジョンマスター殿のことを大陸最強の剣士にしてみせよう。」


俺はつい数時間前に封印しようと思って放置した呪刀を拾ってリーチの近くまで持ってくる。


そしてその刀の鞘を抜いた瞬間、とてつもない量の記憶と知識、憎悪が俺の頭に流れ込んできた。


何度も斬られて斬られて斬られて斬られて、必死に抗うも叶うことなく無残にバラされてしまった黒い龍、せめてもの反抗でその心臓と骨、牙を使った一振りの刀を作った。いつか何処かの者があの憎き勇者たちを殺そうとする時に使ってもらうため。


そして何故かその刀が俺の元にガチャできてしまったと。

なんかこれ俺が本当に使っていいのかわからない。刀は全身真っ黒だが持ち手の部分に赤い血管のようなものがある。

俺が握るとその血管ぽいものが俺の手に巻きついてとてつもない力が燃え滾ってくる。


「じゃあ早速指導してもらっていい?」


「おうよ、いつでもくるがいい。」


俺は言われるがままリーチの目の前まで一気に近寄ってから盾を切り裂く。


黒龍が人化して身につけた剣術がまるで自分が身につけたかのように思い出す。


盾を切り捨てて本人に向かって斬りかかろうとしたときにはもうリーチの姿は無かった。


「え!?何っ、!?めっちゃ速すぎて盾斬られてるじゃん。お前絶対初心者とか嘘だろ。動きが熟練の戦士のそれだぞ。」


速すぎるとか言ってるけど気づいた時には背後に回り込んでる奴に言われてもお世辞か嫌味にしか聞こえない。


「たまたまこの剣の元の持ち主の記憶を感じたんだ。」


「それにしても速いな、それじゃあ俺も多少本気でするしかないな。聖騎士長になる事を反対していた家族や上層部の連中を黙らせた圧倒的な力。『我手元に集まり力を貸したまえ、神器招来』」


リーチの手にはものすごい光と共に黄金に輝く剣を持っていた。俺の今持っている呪刀とは真逆の神々しい気配がこの空間を満たす。


「行くぞぉ!!」


俺は叫んで突っ込んで思い切り袈裟斬りをするが軽々と受け止められる。

そのまま手首を切り飛ばそうと切り上げるが簡単に避けられる。

それどころか首めがけて一直線に剣を振ってカウンターをしてくる。なんとか防いで見せるがそこからがやばかった。

リーチの本気の猛攻で防ぐのが精一杯で攻撃する暇さえ与えない。

一瞬でも気を抜いたり攻撃のモーションに入ろうとした瞬間すぐさま切り捨てられるだろう。


いくら元の身体能力を高くしてもらっても体力には限界がある。だんだんと処理するスピードが落ちてきて腕や体にだんだんと傷が増えてくる。


一番最初に神様にお願いした通り不老不死なので傷もすぐに回復していく。

斬り合いが始まって早一時間、とうとう俺の刀がリーチの剣に弾き飛ばされてしまった。


「これでチェックメイトだな。それにしてもダンジョンマスター殿は本当に強いな。あの猛攻をあの時間防いで見せたのは今まで居なかった。」


「ダンジョンマスター殿っていうのも長いからダンマスって呼んでくれ。それよりも強すぎておかげで手も足も出ない。

一体どこでそんな技術身につけたんだよ。」


「昔剣神の加護を持っていたんだ。今はないがかつてはその加護のおかげで人間の出せる最大の剣術を感覚でできていたんだ。その感覚をいまだに覚えているからこうやってあの剣術を繰り出すことができるんだ。と言っても剣術以外はからっきしだがな。」


俺もいつかはあんな風になれるのだろうか?まあまだ生まれ変わったばかりだし気楽にやっていけばいいんだ。


そう思った時ふと違和感を感じた。急いで迷宮の映像を覗き込むと違和感の正体に気付いた。


「冒険者の侵入を確認。」







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