第七回 『華麗なる追跡』 ー 志穂美悦子氏と「エロ・グロ・ナンセンス」 ー
『華麗なる追跡』
1975年 日本 カラー
鈴木則文監督作品
さてと、今回はだいぶテイストの違う映画のご紹介です。
アクション映画で、いわゆる「エロ・グロ・ナンセンス」ってやつです。ヌードとか残酷なシーンとか出てくる映画なので(主役は脱ぎません、脇役です)、苦手な方はご注意ください。
みなさん、主演の志穂美悦子氏というアクション女優をご存知ですか?
日本のアクション映画全盛期の頃のスターです。
あの千葉真一氏に才を認められ、『女必殺拳』などに主演した、日本随一のアクション女優。
そう、日本にもいたのです、そんな女優さんが。(そして現在は、長渕剛氏の奥さま。)
アクション女優というと、エロチックなことを想像する方がいるかもしれませんが、彼女に関しては、そのような描写はありません。敵に捕まっても脱ぎません、本格的なアクションスターですから。ちなみに、そういう役は脇役の女優さんがやってくれます。
ええと、アクション映画で筋を説明してもしょうがないので、今回は筋の説明はなしで。
志穂美氏演じる忍という女性が、悪の組織と闘って父親の仇を討つ話。これで十分でしょう。
この手の映画はね、いわゆるテンプレートなんですね。
おもしろければ、そしてかっこよければ、筋とかリアリティとか、どうでもいいのです。
例えばですが、ヒロインが仲間を助け出そうとするシーン。
突然敵の飛び道具が飛んできて、せっかく助け出そうとしていた仲間を殺されてしまうのです。
ヒロインは嘆き悲しんで、オノレ〜といった感じで敵に立ち向かっていくのですが……
いやいや、それで結局ヒロインにやられちゃうんだからさ、
初めっから仲間じゃなくて、ヒロインを狙えばいいじゃん(笑)
あの状況なら確実に仕留められただろ(笑)
ということを、大真面目に言ってはいけないのです。この手の映画は、そこがおもしろいんですから。
おもしろいといえばね、志穂美氏の役が諜報員という設定になっており、様々な姿に変装するのですね。
あと、なぜか女子プロレスラーが出てきたり。ネタが満載です。
最後になりましたが、これだけは言わせてください。
悪の組織のアジトの部屋の壁に、本で観たことのある絵を見つけたのです。
私の大好きなルノワール。なんで彼の絵をチョイスしたのかわかりませんが、もしかしたら、彼の次男ジャン・ルノワール監督の撮った映画『華麗なる大泥棒』とタイトルが似ているから……?
ちなみに私は、『華麗なる大泥棒』はまだ観ていません。ルノワール映画は、一つご紹介したいと思っているものがありますが、それはまたいつか。
では、また。




