第二回 『光』(河瀬直美監督作品) ー 引き寄せられる、人と人 ー
『光』
2017年 日本 カラー
河瀬直美監督作品
(監督名における「瀬」の字の正しい表記は、「頁」部分が「刀」の下に「貝」)
どうやら 2017年製作の日本映画で『光』というタイトルのものは二作品あるらしい。
なろうで検索したら、いくつ出てくるでしょうか(笑)
それはさておき、ここでは河瀬直美監督作品について紹介します。
簡単に内容を説明すると、
視覚障がい者が映画を楽しめるようにつける音声ガイドの制作に携わる女性・美佐子と、視覚障がい(弱視)を持ったカメラマン・中森との心の交流を描いたヒューマンドラマ。
音声ガイド制作において、中森は美佐子の試作した音声ガイドを聴いてアドバイスする立場にあったが、自分たちの立場を理解できていない美佐子のやり方に厳しくダメ出しをする。美佐子は、中森のその態度に反発してしまうのだが……。
仕事がなかなかうまくいかず、心細い美佐子。
周りの人間の先入観による対応に、孤独を感じている中森。
人が人を知ろうとして、自然と愛が生まれてくる。そんな、人と人とのラブストーリー。
私はこの映画を観て、相手のことを知ろうとする行為の尊さを学びました。
私はどちらかというと、他人の考えやら何やらに深入りすることはせず、
「みんなそれぞれなんだから、むしろ、理解できると思うほうがおこがましい。わからないことがあったってやっていけるのが人間じゃないか」
と考えてしまうタイプなので。
もちろん、他人のことを完全に理解するなんてことはできない。お芝居でもよく、「役になりきれるなんてのは嘘だ。それは役に対する高慢でしかない」というようなことが言われるけれど、それは生身の人間にしても同じこと。「私はあなたのすべてをわかってるから」なんて、そんなことはありえない。わかった気になって、知ったかぶりをしているだけだ。
ただ、わからない他人だからこそ、「わかろうとする」ことに意味がある。そうやって他人に興味をもって、つながっていく。愛が生まれる。
その人のことはたぶん、いつまでたってもわからない。完全には。
でも、だからってわかろうとすることを放棄するのは、違う。
「わかる」ことが大事なんじゃなくて、「わかろうとする」ことが大事なんだ。
あなたにはわかりますか? なんとなく、私の感じたこと。
オレンジ色の光の中で、衝動的に抱き合う二人。本当に突然、何かが切れたように。
でもそれは、ずっと心に積み重なっていたもの。人に対して求めていたもの。
また、タイトル通り、光の美しい映像に癒されます。
水崎綾女氏の演じる美佐子の顔が、オレンジ色に照らされるのが美しいです。
映画には、そういった画を観る楽しさもあるのです。