第十回 『トリュフォーの思春期』 ー ストーリーだけが映画じゃない ー
今回は、こないだ観てきたばかりの映画。
『トリュフォーの思春期』
1976年 フランス カラー
フランソワ・トリュフォー監督作品
お久しぶりです。
あ、そうでもない……?
こないだ観てきたばかりの映画について書きます。
フランソワ・トリュフォー監督といえば、ジャン・リュック・ゴダールと並ぶヌーベルバーグの映画監督です。
『突然炎のごとく』や『ピアニストを撃て』、『大人は判ってくれない』など、おもしろい作品を撮っています。
ゴダールが時に難解だと言われるのに対し、トリュフォーはそこまでじゃないかな、と個人的には思います。
さてと、この映画は、群像劇です。
そして、日常の劇です。
わんぱくな子供たちの日常風景、そんな映画。
だから、小ネタの連続です。映画全体が、小ネタを集めたモンタージュみたいなもの。
もちろん、それぞれの子にそれぞれの物語はあるのですが、凝った話ではないです。だからこそ、共感したりほっこりしたりできる。どういう結末に落ち着くかよりも、そういう状況というのがおもしろい。
基本的には学校に通うくらいの子供たちの話なのですが、個人的には(いや、これはたぶん普遍的な感覚だと思う)、二歳のグレゴリーのエピソードが好き。また、彼のあどけなさが可愛らしくて、おかしくて……^^
母親としては大変なのでしょうけど、あれはね、もう、「ツボ」です。
彼が落っこちるところと直後の言葉。そして、よその部屋でのいたずらと、表情。あれが日本のテレビCMなんかで流れでもしたら、「あのかわいこちゃんは誰?」と大騒ぎですよ^^
小説でも映画でも、筋というものを気にする人が多いですが、必ずしもいい筋がないとおもしろくないというわけではない。大した筋がなくともおもしろいものはできる。ーー 私はそう信じています。まあ、私の小説を読んでもらえればわかるかな。
私は常々、「絵画では印象派が好き」と言っていますが、そういうところも影響しているのかな。
緻密な絵を見て「すげえ、アートだ」と感じる人は、あるいは凝ったストーリーの映画のほうが好きなのかも、とも思ったり。
少し脱線しました。
ええと、もう一つ挙げておこうかな。
八歳のシルヴィーという少女のエピソードもおもしろいです。
あれだけおもしろいいたずら(仕返し)を描いておいて、それで終わりという監督のスタンス? も素敵。どういう結末に落ち着くかよりも、そういう状況というのがおもしろい。まさに、それです。
極力ネタバレはしたくないので、あまり突っ込んだことは書きませんでしたが、こういった小ネタ満載の、雰囲気たっぷり映画です。ストーリーばかり追ってしまうという人は、あえてこういった種類の映画を観てみるのもいいかもしれませんね。
では、また。次回もお楽しみに。




