ヘッジホッグ@ガール:05
初めてづくしのこの世界。それにしてもこの身体、何がどーなってるのか今も判りません。
とりあえず自己紹介は済ませました。
で、現在の同居人の皆様は……、
まずは同郷のライルさん。
歳上なのに若々しい感じの人。みんなからことある毎に童貞童貞と揶揄されてる変わった人。でもいい人。
次はゼルダさん。
見た目は完全に10代以下で私より幼く見えるのに大家さんだって……吸血鬼らしいけど、本当かなぁ?
そしてシャンさんにイクさん。
この大陸では多数派の山猫族と砂漠猫族らしくて(どっちがどっちかまだ判らないけど)、若くて綺麗な二人。でも、話によると満月になると別人みたいになるとか。本当なら狼女みたいだなぁ?
それとヴァルトラさん。
見た目はパワードスーツ、中身は声だけなら若い女性みたいだけど、どうなんだろ。強いらしいけど、話し出すとマシンガントーク炸裂で別の意味でビックリしちゃう。
そうそう、もう一人、ラージャさん!
今さっき紹介してもらったんだけど、すんごくスタイルよくて、美人!なんだけど、顔にピーッ、て傷があるの……でも、本人もみんなも気にしてない。そうなんだなぁ……って、思ったら、いいとこに、思えてきた。それにすごく優しくてお姉さんかお母さんみたいなヒト!……私には両方とも居ないけど……。
ちなみに今居ない男の人が二人居て、ラッシュさんとラウルスさんて言うみたい。どんな人なんだろ?
最後にラクシャさん?ライルさんの彼女みたいなんだけど、今は仕事で居ないみたい。そうそう、ゼルダさんが何かどうにかして連絡したらしいから、もうじき帰ってくるみたいだけど……、
「マリ、ちょっといい?」
ん?なーに、ラミ?
「この国、て言うかこの世界に、人工衛星も何もないのは判ってるよね?」
そりゃそーよ?だってGPSも何もなかったじゃん。
「そーよ?だから私達だけが近代兵器なのよね?」
……で?
「ここに向かってち」ギュオオオォーーーーーーーーーッ!!!!
えっ!!??何この音!?
「マリ~~ッ!!!!これ超音速ん時のソニックブームだよッ!!」
それってつまり!?
「超音速で何かが私達の上を通過ッ!したのッ!!」
ウソッ!?それって……!?
「ああたあたあただいまぁぁぁてかアツ!何これ!?急いで帰ったら身体中熱いんだけど!!?」
「喧しいぞ!ラクシャ、お客さん居るんだからとにかく……風呂にでも入ってこい!」
大騒ぎしながら若い女性が二階からの階段を駆け降りて……もしかしてこの娘さんが、ライルさんの彼女!?
歳や身長は私とほとんど同じみたいだけど、髪の長さとかは違うわ。あと……、
「あちっ!やばやば革鎧も熱いぃ!!あぁう初めましてラクシャですぅまたあとでごゅぅっくりぃ~!!…………」
……走っても揺れなかった、ね。
「……って、ねぇ!マリ!あの子がまさかソニックブーム出してたってこと!?」
そうなんじゃないの?ソニックブームソニックブーム……!?
「マリ!生身の人間が超音速出して無事で済む訳ないでしょ!?第一、空気抵抗凄いし大気との摩擦熱で死んじゃうよ!」
じゃ、あの人は?
「う……凄く、我慢強い、とか?」
んか訳あるかい!
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「はぁー、あー驚いた!あ、後で隣に鎧持っていって見てもらお!」
手早く革鎧と服を脱いで、風呂場に急ぐと、
「先に湯船に浸かるのはマナー違反……だよね?」
独り言言いながら、体を湯で流してから湯船に入る……
「はぁ~、やっぱこの風呂が一番かなぁ~!!」
ザブゥ~って湯が溢れるけど、別に気にしなくていいらしい。魔力溢れるゼルダさんの特製、お湯が溢れる有り難~いお風呂。
「温泉って便利だけど、たまに湯船を空にして、洗わないといけないのが面倒くさいのよね~。」
時々みんなで風呂掃除するからいいけど、あんまりサボると大変なことになるらしい。……でも何がどうなるんだろ?
「あと、今さらだけど、あの綺麗な人、ゼルダさんの新しい恋人候補かな?」
最近見かけないけど、たまーに鉢合わせしてもみんないい人だからなぁ。
気にしなくなってる自分が怖いかも……。
あ!そういや師匠居たか!聞かなきゃならんことが山積みだった!
「こーしちゃおれん!とぅっ!!」
ザバンと湯船から飛び出して、拭いて身支度済ませて服着て急いで居間に今到着!!
「はぁ……ラクシャおかえワブゥ!!」
「師匠師匠!!急いで帰ってきたら視界がキューッて狭くなってあと体が熱くなって後ろにバーッて煙出たけど私大丈夫だよね!?」
慌ててたからつい飛び掛かってしまいましたゴメンナサイ……
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「……超音速で飛んだらとか、普通は生身で出来る領域の話じゃないッての。あとお客さんの前で抱き付かない、判った?」
「はぁーい。判りました~。」
ラクシャさん、ライルさんの二人は師匠と弟子、だって。
でもどーみても、ラクシャさんはライルさんにベタぼれにしか見えないけど。
「改めてこちらはマリさん。途中で困ってたから連れてきちまった。で、この子がラクシャ、うちの弟子だな。」
「改めましてこんにちは!ラクシャって言います!よろしくです!」
うーん、スリムだけど綺麗な娘さんだなぁ。スリムだけど。
スリム、なのは、胸元だけだけど。
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師匠に久々に会ったけど、言いたいことや報告したいことが山程あるけれど、
このマリ、って人、……
「まぁいっか!師匠、あのね、荷物届けた先で……」
いつもみたいに仕事の最中に、遭遇したり起きたりしたことを報告してる間も、気になって気になって仕方がないんだけど……。
髪の毛の色以外、私に似てるよーな気がするんだけど?
あ、悔しいけど、お胸は、私の全敗…………ちくしょう、まただよ。
また、強敵現るだよ。
でも、へっへーん!私だって、ついに、ついに……
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「ホント!?おめでとう!」
「うん!ラージャさん!ありがと!」
「……お、おめでとう、か?赤飯なんてないし……しかし、父親の気分だなぁ……」
そろそろパラペラントボックスを整理しとかないと、いざという時に困りそう……。