第一話 壊し続ける理由
私の両親は6歳の時に傀儡に殺された。
傀儡とは己の魂を人形に移し老いない体を手にれたもののことである。
肉体とは魂の入れ物である。その魂を別の入れ物に移し替えることができたら・・・?
その実験の末、生み出されたのが傀儡人形に魂を移し替えるというものである。その体は老いることなく体が壊れるまで死ぬことはない。
この実験が成功した時は世界が叫喚した。病で死にかけた人間は救われ、体が不自由な人間は動ける体を手にできる。生まれながらにしてのハンデをなくせる。どんな人間でも幸福を手にできる時代が来る。誰もがそう思っていた。
しかし神がそれを許さなかった。当たり前だ。肉体を乗り換えるなどという倫理に反していることが許されるはずがない。
拒否反応。最初の一体目は12歳の少女だった。彼女は心臓に思い病を抱えており、長くは生きられないとされていた。そんな彼女に親は同情した。普通なら治療に尽力を尽くし、天命を待つしか道はない。
しかしここでもう一つの道があった。
傀儡へ魂の乗り換え
医学としてではなく異端な科学として成立していた傀儡化手術が少女に開始された。
両親は娘に長きをして幸せな人生を歩んで欲しかったに違いない。しかし術後に待っていたのは愛すべき娘ではなく血まみれの傀儡であった。その目に光はなく、優しかった姉の姿はなかった。あるのは剥き出しの殺意。
私が6歳の時であった。この少女とは私の姉のことである。
両親が鋭い爪で引き裂かれた直後、傀儡の動きが硬直した。私は近くにあった果物ナイフで姉を突き刺した。
何度も。何度も。何度も。