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2 オートキャンプ場

2 オートキャンプ場


KP「さて、君たちは県営太子村オートキャンプ場に到着した。車で入れる施設だね。管理人棟で証明書を出すと、水場炊事場の近い場所を使うように言われる。あと、BBQの用具も用意してくれるね。それからシャワーの使用に関する話も聞く事になった」

ダン「ふむ?」

KP「シャワーに関しては夜の七時までとなっている。こちらはコイン式で百円で十分だ」

ヒカリ「今時そう言うのってあるのかなあ」

氷室「海の家とかだとあるんじゃないか?」

KP「指定されたのは四番の区域だ。オートキャンプ場には色々バリエーションがあるけど、ここでは指定の場所を借りると言う形式だね。車を駐車できるスペースは確保されている。他の利用者の迷惑にならないようにちゃんと駐車する事」

ヒカリ「あ、私たち以外に利用者って居る?」

KP「〈目星〉の必要も無く居ない事がわかるね」

ダン「居ないだろうなあ」

KP「それでは滞在準備だね。須賀は早速フィールドワークの準備に入っている。君たちの行動を決めて欲しい」

ダン「まずテントを準備するのと食事の支度だな」

氷室「あとは須賀さんのサポートだろう。一人で行動させるのは怖すぎる」

ヒカリ「そもそも須賀さんはどこに行こうとしてるんです?」

KP「須賀の目的地は幾つかあるが、今日は近い所を探索するようだ。別に一つで行動しようとこだわっているわけではないから、手伝いがいれば良いと思うよ。ちなみにBBQができる場所の他に、共同の炊事場がある。竈なんかもこっちにあるね。一応設備は整っているが、常識的に使って欲しい。下水に食べきれなかったカレーを流すとか止めてね」

ヒカリ「あははは」

氷室「テロだよそれは」

ダン「実際、下水に油を流し続けた中華料理屋の下水道が脂とヘドロで詰まるみたいな話があるそうだぞ」

氷室「……それにしても飯盒炊爨か。結構難しいんだよなあ」

KP「今回は〈料理〉か〈アウトドア〉〈サバイバル〉などの技能で判定できるね。BBQの方は普通にできるけど〈料理〉〈アウトドア〉で判定成功したら美味しく提供できたと言う感じ」

ヒカリ「うーん、立場的にはダンさんが須賀さんと同行して、私と氷室さんで準備ですかねえ」

ダン「設営はどうなんだ?」

氷室「判定なら〈機械修理〉を主張する」

KP「まあそれでも良いよ。もっとも、最近のは簡単に設営できるから、まあ何か判定に成功したら、より快適になる工夫をしたと言う感じになるね」

ヒカリ「それでは設営と食事の支度は私と氷室さん。ダンさんは須賀さんのサポートをお願いします」

ダン「わかった。後はどこに行くかだな」

KP「そっちは後にしよう。まずは設営と食事の準備だ。まずは設営」

氷室「よし成功。まあ普通だな」

KP「ここでクリティカル出されても寝心地が良いとかそんな感じにしかならないよ。次は料理で」

ヒカリ「うーん、〈料理〉は可もなく不可もなくなんですよねえ」

KP「では四倍成功でBBQ成功。等倍でご飯ができたと言う感じかな」

ヒカリ「ご飯無しはきつい!」

氷室「おっと、なぜかサバイバルグッズの中に陸自御用達の白飯レーションが!」

KP「なん……だと?」

氷室「こんな事もあろうかと購入しておいた。これは失敗せんぞ」

KP「レーションって結構お値段するんだけどなあ。米軍のは安いらしいけど」

ダン「陸自だと炊飯用特殊車両って言うのがあるらしいぞ?」

ヒカリ「キッチンカーみたいな奴ですか?」

ダン「いや、一気に二百人前の米が炊ける炊飯器みたいな感じだ。煮たり焼いたりする事もできるらしい」

KP「被災地なんかに投入されて炊き出しをしたりするね。まあそう言う物を準備していたのであれば問題無い」

ヒカリ「味はどうなんですかねえ」

氷室「白飯に拘らせたら世界一の国のレーションですよ?」

ダン「と言うか、自衛隊のレーションって結構デカいんだよな」

KP「ご飯はどうしても嵩張るからなあ。まあそこでこだわっても仕方ないしOK。じゃあBBQの方は?」

ヒカリ「はい、普通です」

ダン「まあタレの味でどうにでもなりそうだな」

KP「それじゃあ氷室とヒカリのコンビで設営と今夜のご飯は問題無しとなったね」

ヒカリ「もちろんテントは男女別で二つです」

KP「はいはい。と言う所で二人は〈聞き耳〉をしてもらおう」

氷室「……む、なんだ? 成功」

ヒカリ「……失敗です」

KP「失敗したヒカリは気付かなかった。成功した氷室は、微かにサイレンの様な音を聴いた」

氷室「うん? どっちからだ?」

KP「山の方だね」

氷室「……ダムなんかだと放水する前にサイレンを鳴らすらしいが」

KP「この近くにダムは無い。それに、何かを知らせるにはちょっと低い」

氷室「……山の方にある集落で何か鳴らしたのか?」

KP「ちなみに、昔は山間の集落なんかで時報代わりにサイレンを鳴らす事もあったらしいね」

ダン「ゲームの『SIREN』で使われるサイレンは、元々そう言う物だったらしいな」

ヒカリ「うるさくないんですかねえ」

KP「ではダンの方に行こうか」

ダン「そもそも須賀さんはこんな所に何を調べに来たんだ? 大学の研究員で調査に来たと言う事しか聞いてないが」

氷室「問題は大学だな。御津門大学とかアウトですよ」

ダン「御津門大学ってミスカトニック大学のコピーだから考古学とか人文系とか地質学にも対応するんだよな」

KP「そう。彼女の所属する大学は御津門大学だね」

ダン「……まあそうなるな」

KP「医薬系の飯綱大学だとさすがに地質調査とかはしないからなあ」

ヒカリ「御津門大学ってどこにあるんです?」

KP「赤牟市。で、赤牟市の位置関係は色々バリエーションがある。東京二十三区外。千葉県。神奈川県などなど。街の中はアーカムのコピーである事が多いね」

ダン「あんまりはっきり決めない方がTRPGに使いやすいって事だな」

KP「小説に使うべくして造られた夜刀浦とは異なるからね。今回はみなせゼミに倣って神奈川県にしているけど気にする必要は無いよ」

氷室「あとは付属高校が東京にあるな。名前は御津門学園だけど」

KP「るるいえシリーズで登場するね。まあ付属かどうか厳密にははっきりしていないような」

ヒカリ「あ、じゃあ私も御津門学園の生徒にしよう」

ダン「外部にも開かれているサークルなのかな。まだ内容も決まってないが」

KP「話を戻そう。須賀はキャンプ地帯から離れて、川のある方に向かっている」

ダン「川? 危なくないのか?」

KP「施設の一部として整備されているから、増水した状況でもない限り大丈夫」

ヒカリ「須賀さんってどう言う格好なんです?」

KP「フィールドワーク重視なので今は色気の欠片も無い作業服。しかも川に対応する為のゴム長」

ヒカリ「……二人っきりになりたいとかそう言うフラグで無いんですね」

KP「彼女は研究を第一にするタイプ。私生活で恋を楽しむと言う器用さは無い」

氷室「大学とかで研究者の楽しさを知って、そっち方面に気が回らなくなったとか、相手に引かれたとか、リケジョの悲劇とかあったりするのかな」

ダン「人気の無いオートキャンプ場にキメキメファッションする方がイタイと思うがな」

KP「さて、彼女は河岸段丘、つまり川の側の地層を眺めているね。と言っても本格的に調べているのではなくさっと見ている感じだ。そんな姿を見たダンは須賀の様子を見たり川の様子を見たり周囲を見たり自分も地層を見たりできる。行動は一回。どうする?」

ダン「……普通なら須賀に危険が無いように見ているべきだろうが」

氷室「川とか地層に異変が起きていたりするのか?」

ヒカリ「熊ですよ熊」

KP「熊が近くに居ると自治体は警告を出すからね。今回は出ていない。とは言え群馬県は山が多くツキノワグマの生息も千頭くらいいるらしい」

氷室「……下手な神話生物よりも怖い」

ダン「最近では人里どころか街中にも出るらしいぞ」

氷室「食屍鬼よりも上かもしれないなあ」

KP「で、どうするの?」

ダン「おっと。ふーむ、技能は全部〈目星〉か?」

KP「地層は〈地質学〉。川は〈サバイバル〉とか〈アウトドア〉でも良いよ?」

ダン「そんな物は無い」

氷室「自然知識が必要だなあ」

ダン「では川に〈目星〉をしてみよう。目星は高いからまあ……(コロコロ)よし。成功」

KP「では、君は川に目を向ける。午後の落ち着いた流れの緩い川辺だね。しかし、君は少し奇妙な事を感じる」

ダン「ん?」

KP「夏場だと言うのに川辺には動植物の気配が無い。魚影は当然、昆虫ですら存在しない。よく見ると、川辺の植物はまるでそこだけが冬かと思う程枯れてしまっている。水の中だと水草も無く石には苔も付いていない」

ダン「何だって?」

KP「長閑な光景に一点の黒い染みの様な不可解な事象。そんな光景に気付いてしまったダンは正気度ロールをしようか」

ダン「なん、だと?」

KP「成功は0。失敗の場合は1減少。さあどうぞ」

ダン「……ごふ! 嫌な想像で背中に冷たい汗が流れた。こんな事で正気度を減らすとは……」

KP「ダンは職業柄、ある程度の毒物効果にも知識がある。こう言う例は温泉などが流れる川だと起きたりするが、その場合は独特の臭いや温泉成分が石に付着する事もある。今回はその例ではないようだね」

ダン「……毒が流れていると言う事なのか? この川の側に居て大丈夫なのか?」

KP「健康被害は取り敢えず出ないよ。飲料水として一か月使うとかしない限りはね」

氷室「この川がこんな事になっていると、下流の方ではどうなってるんだ? 田んぼとかに使うと思うんだが」

KP「川としてはそれほど規模があるわけでは無いからね。薄められているわけだ」

ヒカリ「……異常なのは間違いないのね」

ダン「上流に何かあるのか?」

KP「そして須賀はどんどん上流に向かっているね」

ダン「なん……だと?」

KP「そしてここで〈聞き耳〉を二倍でどうぞ」

ヒカリ「あ、さっきこっちでもあった奴?」

ダン「……成功」

KP「ではダンは川の上流から微かにサイレンの音を聴いた」

ダン「放水かもしれない。急いで須賀さんを川から引き離す」

KP「須賀は突然の事に驚くね。どうやら彼女には聴こえなかったらしい」

ダン「〈説得〉は必要か?」

KP「二倍でどうぞ」

ダン「〈説得〉は苦手だが……よし、成功」

KP「(ちっ)成功したので須賀はダンの言う通り川から離れる。しかし、増水する様子はないね」

ダン「やっぱり違うのか」

KP「須賀はサイレンを聴いていないので複雑そうな表情を浮かべるも、一旦戻ると言うね」

氷室「……複雑?」

ヒカリ「男の人にグイッてされて守られたかも、とか考えたのでは?」

KP「空振りしたけどねえ。さて、夏と言えども山間の夕暮は早い。特に日の沈む方に山があるとね。と言うわけでシーンはBBQに移動しよう」








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