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放送委員会のススメ  作者: 飯田橋 ネコ
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番外編 星降る夜

 観測がある日の夕方、羽田に降りる飛行機の明かりがビルの向こうに列をつくる頃にくるアイツ。屋上に8cm屈折赤道儀とか10cmニュートン式望遠鏡とか大方並べ終わったくらいにぬーっと姿を現すの。ファインダーの光軸合わせぐらいはやってくれるけど、こんな重たいモノ運ぶのなんて、本来は男の仕事(やること)よね。

 来月夏合宿があるから、一年生(したのこ)たちに機材の組み立て方とか操作の仕方を教えなきゃなんだけど、アイツは“俺には関係ねえし”的雰囲気で、たいてい一人で月とか木星とか眺めてる。“今オレの眼に入ってきてる光は、一度あそこの表面まで届いた光なんだぜ”とか言ってて、正直キモい。

 でも、望遠鏡を覗き込むときに眼鏡をはずすアイツは、ちょっとヤバイ。月なんかを見てる時、アイピースからこぼれてくる青白い明かりに照らされた横顔なんか、十分商品化できるレベル。わたし的には中の上くらいに入る隠れイケメン。でも、アイツってなんかいっつも眠そうなのよね。

 去年の文化祭の時は、“夜中しか動けねえからこれで勘弁”とか言って星野写真の展示物(まぁ出来は悪くなかったけど)置いてって、プラネタリウム手伝ってもくれなかったし、ふたご座の合宿の時なんか、たかが-20℃くらいで“寒いからムリ……”とか言ってテントこもってた。まぁ、山登るときにテントと鏡筒と赤道儀と食料担がせてたから、ちょっと疲れてたのかも知れないけど、他の部員みんな女の子なんだからしょうがないわよね。

 で、天文薄明になって、じゃぁ夜食でも食べようかって時に、下の街のコンビニで買った巨峰入りのパン指差して“その巨乳パン食べたい……”とかいうのアイツ。テントの中、みんなドン引きで、幸恵ちゃんなんか泣いてた。だいたい男子なんてそんなことで頭いっぱいなんだろうけど、さすがに部長命令でビバークさせたわよ!

 でね、この間の流星観測ん時に屋上で晴れ待ちしてて、結構かかりそうだから一年生(したのこ)たちは部室戻ってもらって、寝袋つないで上級生同士の会話(いちゃいちゃ)してたの(まぁテクは中の上くらいかなアイツ。でも一線超えないからムカつく系)。そしたら、天頂から北北西あたりにむかって−6等級くらいの火球飛んだの! 曇ってるのにそんな明るさなのよ!! もうね、今まで見た奴のなかでも一番スゴイのだったから、落ちたかと思ったわけ。で、ほんとなら出た場所の方位とか、飛んでった方向とか、色とか、増光何回とかJFN用にいろいろ書かなきゃいけないんだけど、思わずボーッとしちゃった。


 そしたらアイツ、ボソッて云うの。“スゲー音したな……”って。


 まぁ、そんなわけでアイツとわたしじゃ見てる世界が違うってことがよーくわかっちゃった。何日かして、別の彼氏(これも相当ポイント高い系、だって暁青(おぼっちゃま)よ!)と飲んだ後の寝床(ラブホ)探ししてたら、アイツもなんかちっさい子とフラフラしてるの見ちゃった。まぁお互いさまよね。で、速攻切りました。


 そう、それだけ。


 でね、今はこのヒト!! なんかもうどこ見てるかとかぜんっぜんわかんない系だけど、とにかくスゴイの。ね! 三浦クン!!


 “……新浦なんだけど、いつになったら覚えんだよ、ミホ!……せんぱい”


 ま、上出来よね。飛び級(ハーバード)だし。


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