ふたり納め
代々木のCDを葉子さんから引き継いでもう4年。本番終わってバラシが始まったくらいでデザイナーのあたしは仕事納め。妙なマークをスモークガラスに貼りまくったヤン車の列を横目に、明治神宮まで歩いて行くと、レコード大賞のバラシが終わって一旦マンション帰っておせち仕込んできたあなたが待ってる。
「おつかれ〜」
「おつかれさまでした〜」
そのままいつもの玉砂利をしゃらりしゃらりと踏みしめて、幾千人の方々と共に参道を進んでく。放送委員会のみんなと歩いたのも、今は遠い昔(15年も前よ!)の話。今でも白山とは連絡つくけど、全然音信不通になっちゃった智子とか板橋とか、ドコで何してるかさっぱり。神崎先輩は夕方のニュースで相変わらずステキな声で喋ってるけど、やっぱり連絡はつかない。そういえば加瀬さんとはどうなったのかな? 加瀬さんはどうなったのかな?
「みんな、何してるんだろな?」
あなたもおんなじこと考えてたみたい。今にして思えば、あたしたちが一番長いこと一緒にいたのって、放送室だったりするのかも知れない。卒業してからはお互いの仕事や現場や学校のおかげで休みが合わなくて、一年間に数えるほどしか一緒にお天道さまの下を歩んでない気が……。
そんなこと考えてるうちにいつもの賽銭プール。5円玉をお供えして願掛け。今年はどんな即物的なヤツお願いしたかって? そんなの決まってるじゃないですか。
「無事に出てきてくれること、かな」
まぁ、何よりそれよね。二人だけの生活ももうおしまい。桜が舞う頃には新しい家族がいらっしゃる予定。まぁあなた電磁波浴びまくってるからきっと女子よね。
「オレに似なきゃいいけどな」
「手足長ければ汎用性高いわよ、きっと」
「……何にする気だよ、何に」
にしたって、葉子さんじゃないけど飲めないのってホントきついわよね。




