近況報告
まぁ、どうせこんなことだろうと思ってた。早瀬が脚立登って慣れない手つきで校旗アテをシュートしてる。わたし自身はもう関係ないんだけど、一応“わたしたち”が主役のイベント、の前の日。
「あ、神崎だ、って、なんか随分雰囲気変わったね、久しぶり〜」
「……早瀬だって、なんか違うヒトみたいね」
この間ちらっと会ったのが文化祭の時に放送室差し入れに行った時だから、もう半年くらいも前の話だ。それだけあればいろいろと変わる。わたしはもうここの生徒じゃないし、厳密に言えば制服偽装の上、立派に不法侵入の類だ。
「そういえば、真希ちゃんとはうまくやってるの?」
「まぁ、仲良く暮らしてますよ。一緒に」
「……アンタって奥手なわりに展開早いわね」
「フェーダーワークと一緒で、最初すーっと入ってって、そっからずばーっと……」
「あんまりやり過ぎると暗転されるわよ、真希ちゃんに」
「そういう神崎はどうなの?」
「わたし? まぁお預けってトコかな、一年くらい」
「犬じゃないんだから……加瀬さん元気なの?」
「知らない。連絡もとってない」
「……相変わらず攻めてるよね、神崎って」
「まぁ、いろいろと、ね」
「明日は? 来るの? 卒業式」
「まぁ、来てもいいんだけど、ちょっとこの後寄るとこあんのよねぇ。そこ次第かな」
「ふーん。そう。じゃ、また明日〜」
「落っこちないでよ〜音響さん Bye」
久しぶりに下りる北階段。こんなに狭かったっけ? カバンの中でスマホが唸ってる。先輩からの一年ぶりのLINEだ。最後の現場の味気ない連絡の下に、“おい、一年たったぞ”って一言。もう二十分くらい待ってから返信しようかな。ここから早稲田まで、そのくらいかかるし、ね。




