いまさら恋愛パート
いつもの飯田橋駅。いつもの牛込橋。いつもの先輩が自転車に腰掛けて本読んでる。
「おはようございます」
「お、おはよー」
二人でいつもの坂を登り始める。
高校生の恋愛なんて、基本見た目からスタートだ。あたしは気心知れた先輩の“古典的メガネ男子萌え”からのエントリーだし、先輩はあたしの“実は着痩せするタイプ”ってのがドツボなんだって。男の人ってなかなか謎よね。
まぁ、あたしたちの場合、お互い一人暮らしだったってのもあって、ブレーキかける人とか状況とかってのも皆無なんで、付き合い始めてからの展開は多分早い方なんだと思う。来週には練馬のアパート引き払って、あたしん家に引っ越してくる先輩。賃貸に無駄金突っ込むより、自己所有のマンションで一緒に暮らしてお金節約して将来に備えようって二人で決めた。なかなか堅実でしょ。
ちっちゃい頃から早くオトナになりたいって思ってたけど、いざそのスタートラインにつくと(ちょいと早過ぎる気もするけど……)、高校生なりに気も引き締まる。いろいろと考えなきゃいけないこと、やんなきゃいけないことがいっぱいだ。
「おはよーう!」
後から白山の弾んだ声が飛んで来る。こいつも最近ようやく自分のポテンシャルがわかった(やっとコンタクトにしてくれたよ…… by会長氏)らしく、堂々の同伴登校だ。
「真希たちって、まんま耳○まよね。朝っぱらから見せつけてくれちゃって、こっちが赤面だわ」
お前が云うな、お前が……。
まぁ、そんなわけで、17歳のあたしはそれなりに青春を謳歌してた。来週には18歳になる先輩。ハンコ押して頂きますからね。
“あいよー(笑)”
ということで、翌週。広尾三丁目の葉子さん家におしかけて見た。
「……真希さぁ、どこでとっ捕まえてきたのよ、このナイスガイ」
高校の、先輩です。
「初めまして。早瀬です……」
「えー? 高校生なの!? 最近の子供って進んでるわね〜」
どうです? あたしの選球眼。
「まぁ、合格ラインね……」
じゃ、ここに署名捺印おなしゃーす。
「……真希ねぇ、若気の至りってコトバ知ってる?」
……だって葉子さん、コレってオトコ見つけたら何はともあれハンコ押させなさいって云ってたじゃないですか?
「そりゃアラサーのハナシよ!!」
そんなこと云うアラフォーの葉子さん。おっきくなったお腹抱えて一応証人欄にさらさらぺったんしてくれた。
「いやー、高齢出産っていろいろ身構えてたけど、酒飲めないのは誤算だったわ〜」
アンタいいオトナなんだからそれぐらい計算しときなさいよ……。




