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放送委員会のススメ  作者: 飯田橋 ネコ
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女子力ひくいです、あたし

 そんなこんなで6月頭。すでにあたしの日常は放送委員会を中心に回り始めてた。毎日の昼休みと放課後は放送室に直行だ。“俺三年だしぃ、照明だからぁ、今回は無職ぅ〜”などと公言して、あまり放送室に姿を見せなくなった加瀬先輩以外は、体育祭に向けてフル稼働だ。忙しそうにしてる先輩たちは、それでも合間にいろいろ教えてくれる。白山は神崎先輩に滑舌とか発声方法とか正しいアクセントとか原稿の作り方とか予算のちょろまかし方とかいろいろ伝授されてる。あたしは早瀬先輩と音楽を切り貼りしたり(ほんとにハサミとテープでやるんだけど、これ結構面白い)、このまえ秋葉原で買ってきた意味不明な部品で、わけのわからないものを作ったり(半田ゴテって根性焼きみたいでウケる。やったことないけど)、神崎先輩と体育館で“フォロー”の練習したり。色んな機材の使い方はわかったけど、これでどうやったら4月の新歓ステージみたいなことができるんだろう。


「それは慣れだね〜。あとは妄想力」

神崎先輩が答えてくれる。

「もうそう、ですか」

「そ、加瀬先輩この間そこの隅でiPhone見てたでしょ。あれ何してたかわかる?」

「え?……ゲームとかですか?」

「あれね、外仕事の練習風景のYoutube見てたのよ」

「外仕事って……」

「あぁ、学校外の現場のコト。中島ももう少ししたら行ってもらうからね」

「え、どういうコトですか?」

「新歓ステージの時、いーっぱい団体いたの覚えてる?」

「はい」

「あの人達が公演とかライブとかやろうとしても、ウチの高校には体育館と多目的ホールしかないじゃない。しかも、体育館は運動部が使ってて、多目の方は巨大ゆるキャラ作製会場になっちゃってるから……」

「場所がないんですね……」

「そういうこと。だから芝居小屋とかライブハウスとか借りてやるの。あぁ、練習とか稽古はお金かかっちゃうからそのへんの公民館ね。で、その様子をiPhoneで撮ってYoutubeにUpしてもらってこっちで確認するってこと」

「なんか大変なんですね〜」

「照明プランなんて全部妄想からスタートだからね〜。現場入ってから考えたって遅いし。あ、そうそう、中島は夏休みとかどんな予定になってる?」

「え?……いや特にまだ何も無いですけど」

そんな一ヶ月以上先のことなんて正直わからないですよ……なんてことを思ってたら、先輩がカレンダーを見ながら云う。

「じゃあ、こことここと、あとこっからここまで。予定空けといてね」

「え? なにするんですか?」

「日直とか、合宿とかいろいろよ」

合宿? 放送委員会で合宿ってなんだろう? 気になる。

「気になる? じゃあお楽しみってことで……とりあえず水着は用意しといたほうがいいかもね〜」

……ってことは、スクールじゃないやつを買わなきゃいけないってことかしら。生まれてこのかた、そんなモノ買ったことないわよ。先輩から云われたスケジュールを裏紙(その辺におちてた何かのプリント)に極細マッキー(その辺におちてたけっこうかすれ気味のやつ)で書きながら唸る。

「……中島って、女子力低いのね」

「……えぇ、たぶん保護者のおかげです」

ちょっと思い出す。あの裏切り者のこと。今なにしてるんだろう?


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