全ては平和に暮らせる為に。
今日もいい天気。
洗濯物を干しながら青空を見つめる。
そよ風がとっても気持ちいい。
ここは自然豊かで緑が多い。
大都より不便だが、自給自足で済んでしまうこの生活。
かなり気に入っている。
今日は何をしようか。
2㎞先のお隣さんの家に行って子供達と遊ぼうか。
それとも趣味で始めた刺繍の続きでもしようか。
時間があり過ぎて好きなことが出来る。
もう、なんて幸せで贅沢な生活なんでしょう。
一生ここで暮らしたい。
「あの。人の話聞いてます?」
いいえ。まったく聞いてません。
だって聞く必要がないから。
「もう。無視しないで下さい。」
今日も遥々大都から使者がやって来た。
毎回ご苦労さまです。
「あっそうだ。お茶飲みます?
昨日、美味しいお茶頂いたんです。」
「それはそれはありがとうございます。
そんな事よりリーナさん帰って来て下さい。」
嫌ですよ。
もう二度と帰るものですか。
「皆さんリーナさんの事心配してますよ。」
心配ですか?あの人達が?それ嘘ですね。
仮に本当でも心配したふりですよ。
特にあの二人。頭の中はお花畑ですし。
「あっそうだ。美味しいお菓子食べますか?」
「・・・リーナさん。」
何ですか?そんな残念なもの見る目は?
そういう目はあの人達に向けて下さい。
まったく失礼な人ですね。
そもそもですね、あの馬鹿王子がいけないんです。
よりによって皆さんの前で婚約破棄するなんて。
お相手はあの容姿端麗で国内一優秀な頭脳の持ち主である公爵令嬢ですよ。
もう、ビックリですよ。
馬鹿王子の取り巻きも一緒になってあの方を攻撃するなんて。
侯爵令嬢はこれ幸いとにやける顔を隠して身を引いてしまいました。
思い出しただけ馬鹿王子の行動に腹立ってきた。
「あの馬鹿が国王になったら、国は即崩壊だわ。」
「・・・ちょっとリーナさん。」
何ですか?本当の事でしょ。
だいたいあの男爵令嬢の何処が良いのやら。
教養もなく下品で、婚約者がいるにも関わらず、
ベタベタ人目も気にせず張り付いて。
馬鹿王子一人じゃ飽き足らず取り巻きまで色目を使う。
「ひょっとして貴方も彼女の魅力に取り憑かれた一人ですか?」
「まさか。勘弁して下さい。」
なんだ違うのね。
顔が良いからてっきり彼女に取り憑かれた一人かと思った。
「あのですね。リーナさん。
いえ、リーナ姫。姉上である貴女がここで籠もっている間にも、酷い有様になっている現状です。
リオール王子の暴走止められるのは貴女しかいません。
是非、我々の為にも戻って来て下さい。」
だから、嫌ですよ。
あんな馬鹿と同じ血を分けた兄弟って信じたくない。
国王も王妃もどうかしてる。
どんだけあの馬鹿を溺愛していいるのやら。
私一人で何とかなるハズもない。
「どうせだったら隣国に飲まれてしまえ。」
「リーナ姫・・・。」
あっそうだ。その手があった。
私が平和に、皆も平和に暮らせる。
あの国だったら国民の将来も安心だ。
「こうしてはいられないわ。
てか、貴方、私に姫とか付けないで。
あっでも、交渉が終わるまでは位は必要ね。」
これから忙しくなるわ。
全ては平和に暮らせる為に。