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店内探索

 ヤンキー二人を倒した俺は休憩室から出て、店内に向かう。足音を忍ばせて、気づかれないように店内に入っていった。


 店内は荒れていた。ゾンビパニックにより買い物客や店員達が逃げ出したせいだろう。自家発電があるのか肉や魚などはまだ腐った匂いは漂っていない。

 店内に入りすぐに声が聞こえた。


 「おい、殺されたくなかったらいう通りにしろ」

 

 「そうだ、自分の銃で殺されたくなかったら、早く脱げよ。へへへ、たまんねぇな。美人婦警の裸体なんて」


 「あなた達、いい加減にしなさいよ。こんな事していいと思っているの」


 「やめて。お願い」


 あの女子大生が言っていたとおり、男と女二人の声が聞こえる。良かった、話の感じからまだ酷いことはされていないようだ。でも早くしないと最悪、拳銃で殺されてしまうかもしれない。女性二人にケガが無いように気を付けないとな。


 俺は忍び足で声が聞こえた方向に向かった。


 「ほら。お前が脱がないとこっちの女から先にするぞ。いいのか一般市民を助けなくてよ」


 「いや、来ないで。やめえてよ」


 物陰から見ると、モヒカンのデブが拳銃を握りながら女性に迫っている。もう一人のひょろ長のスーツを着たサラリーマンらしき男もニヤニヤしながら立っている。

 女性は婦警とスーツを着た若い女性だ。あの二人が劣情を抱くのが分かるくらい美人だった。


 「嫌がっている女に無理やりだなんて何考えているの」


 「うるせぇんだよ。もういいわ。おりゃあ」


 服が破ける音が響く。デブが婦警を服を破いたのが見える。


 「きゃあ、や、やめて」


 「ぐへへ、さっきまでの強がりはどうしたよ。へへへ、いい胸してるじゃねぇか。自分の銃で撃たれたいのか、え」


 デブがこれ見よがしに拳銃を見せる。


 あの野郎、ふざけたことしやがって。俺はムカつきを抑えることが出来なくなってきた。俺は魔法を構築しデブを狙う。ちょうど女性が地面にしゃがんだので当たる心配はない。


 「ファイヤーバレット」


 おれが放つ炎の弾丸が拳銃を握っているデブの腕を貫き、衝撃で拳銃を握ったまま腕が吹き飛ぶ。

 何が起きたか分からなかったようで一瞬の静寂が辺りを包むが、すぐに絶叫が切り裂く。


 「ギャー、い、イテェよ。オデの腕が、腕が、どこいっだ」


 「こ、小西さん、な、なにが」


 どうやら腕を吹き飛ばされたデブが小西で、あのヒョロ長が田辺のようだ。俺は狼狽え出した隙に一気に田辺に近寄り、思いっきりぶん殴った。

 ひょろ長リーマン田辺を一瞬にして気を失う。俺は間髪入れず、痛さで呻いているデブの小西の頭を蹴りつけた。小西も気を失う。


 俺は他に危険がないか確認し、拳銃を回収する。


 「大丈夫ですか。俺は梶木といいます。ケガとかないですか」


 女性達に声を掛けるが何が起きたかまだ理解できていないのか放心状態だ。


 「あ、あの、もう危険はないから早く服を……その」


 俺は婦警にもう一度声を掛ける。服を破かれた彼女のあられも無い姿は、彼女無し年齢の三十歳には目の毒だ。い、いや幸福か。


 「え、きゃあ、スケベ」


 バチーンと俺の耳にいい音が聞こえる。頬がヒリヒリする。


 「ご、ごめんなさい」


 婦警が謝っってきた。


 「ありがとうございます。助かりました。あのう婦警さんそれじゃあれなんで、これを羽織ってください」


 もう一人のビジネスウーマンが俺に感謝の言葉を掛け、自分のジャケットを婦警に差し出す。


 婦警は差し出されたジャケットを羽織る。


 「改めて危ないところをありがとうございました。私は神山 明美といいます。ほかにもこいつらの仲間が居るので手伝ってもらえませんか」


 婦警が俺に声を掛ける。


 「事務所のヤンキー二人はすでに気を失っています。俺は縛られていた人を助けたあとこっちに来たので向こうは大丈夫です。」


 「そうですか。よかった。こいつらはどうしましょう。この私の服を破いた、こいつはこのままだと死ぬかもしれません」


 「ケガのほうは俺が処置するんで、何か縛るものを持ってきてもらえませんか。あと、これはお返ししますね」


 女性二人に頼み、拳銃を婦警に返す。


 「分かりました」


 女性二人が事務所の方へ向かっていく。


 さてとこのデブはどうするか。本当、このままだと出血死するな。ポーションでいいかな。勿体ないがしょうがないな。

 俺はリュックからポーションを取り出し、小西に振りかけた。すると、傷がどんどん治っていく。ただ、失った部分までは復活しなかった。まぁいいか。世界がこんな状況で自分の欲望のため、女性を襲うような奴ならな。


 傷の手当てを終え、俺は縄を待つ。


 「お待たせしました。縄持ってきました」


 声に振り替えると、婦警ではなく、助けた女子大生と小学生だった。


 「あれぇ、君たちが持ってきてくれたんだ。ありがとう、助かるよ」


 「私、三沢里香といいます、こっちは妹の香奈です。さっきは助けていただきありがとうございました」


 ペコリと頭を下げる。


 「おじちゃん、お姉ちゃんを助けてくれてありがとう」


 姉に倣って妹も頭を下げる。おじちゃんか……まあ、仕方ないか。


 俺が少し残念な顔をしたのに気が付いたのか里香が申訳なさそうな顔をしている。


 「ケガとかなくてよかったよ。こっちは俺がやっとくから部屋に戻ってて大丈夫だよ」


 俺は二人にそう言う。


 「いえ、お手伝いとかしたいんです」


 「ありがとう。じゃあ、店内から飲み物を人数分持ってきてよ。みんな喉乾いてるだろうし。あと、何か食べ物とかあってもいいかもね」


 「わかりました。持ってきます。行こう、香奈」


 「うん、わかった。お姉ちゃん」


 姉妹が去ったので、俺は二人に縄を掛ける。あの二人が手伝っているときに、こいつらが目を覚まして人質にでもなったら大変だからな。荷造り用のビニールひもを何重にもかける。これでちょっとやそっとじゃ抜け出せないだろう。


 二人の縄を縛り終えたと同時に姉妹が戻って来た。


 「お待たせしました。食料とか持ってきました」


 「持ってきたよ。お兄ちゃん」


 二人が籠一杯に食料や水を入れて重そうに歩いてきた。妹の香奈にお兄ちゃんと呼ばれた。里香が妹に言ったようだ。事案発生にならなければいいけど……


 「ありがとう。重そうだね、俺が持つよ」


 俺は二人から籠を受けとる。体力がアップした今の俺には軽いもんだぜ。


 「この人たちはどうしますか」


 「このままでいいんじゃないかな。しっかり縛ったから外れないだろうしね。取りあえず皆の所に戻るか」


 二人を促し、事務所へ向かうことにする。


(続く)

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