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 暗闇の奥には、小さな部屋があった。

 ほぼ正方形の床。

 低い天井。

 元々は普通の部屋だったものを流用しているのではなく、最初から隠し部屋として造られたのだろう。書斎から続く通路と同様、内装にはほとんど手が加えられておらず、建材が剥き出しになっている。

 家具の類はない。窓も通気孔すらもなく、空気は澱み、重い。

 それは部屋というよりも、むしろ牢獄に近い空間。そしてそれを証明するかのように、闇に捕らわれた者の姿があった。

「……何よ、これ……」

 懐中電灯を片手に、ローザは呟き、ごくりと音をたてて生唾を飲み込んだ。

 部屋の中央部に備えつけられ、全面に得体の知れない紋様が刻み込まれた円形の台座の上に一人の男が横たわっている。黒いコートの上から拘束具で台座に縛りつけられ、更に呪符らしき札を全身に張りつけられて。死者の如く青ざめた肌の男が……かつてローザと死闘を演じた吸血鬼が、身動き一つせずに、眠っている。

「吸血鬼……ってのは、棺桶の中で眠るもんだと思ってたけど……」

 長い髪を掻き上げて呻くローザ。と、

「……儀式魔術……」

 震える声で呟いて、優乃が円形台座の紋様に触れた。

「わかるの、ユーノ? この妙な模様とか、お札とかの意味が」

「はい……この台座に刻まれているのは、対象の自我を破壊する魔法陣……そしてこの札は術者の思念を長期間残留させ、対象に送り込むためのものです」

 美しく整った顔を嫌悪に歪めながら、努めて冷静に説明する。

「それって、もしかして……」

 ひどく不吉な、しかしそうとしか考えられない事件の真相に、ローザの思考が行き着いたとき。

 シャリィィィィ……ン……。

 唐突に、辺りに澄んだ金属音が響き渡った。

 優乃が弾かれたように顔を上げた。振り返ったローザの正面から、強烈な光が照射される。思わず懐中電灯を取り落とし、眼前に腕をかかげて光の直射を遮りながら、ローザは目を凝らした。

 部屋の入口の辺りに、眩い光を背に受けて数人の男たちが立っている。その姿はシルエットになっており、顔がよく見えない。

「そこまで知っているとは恐れ入る……確かにその吸血鬼に自我はない」

 中心にいた男が一歩前に進み出た。

「今では我々の意のままに動く、操り人形に過ぎん」

「そう……やっぱりアンタが裏にいたのね」

 聞き覚えのある声に、ローザは眼前の腕を退け、眩しさに目を細めながらもニィッと唇の端を上げた。

「《光と闇の礎》大神官、自警団第一部隊長のワイアードさん?」

「ほぉ、私の名を知っているのですか」

 ワイアードは一瞬意外そうな表情を見せたが、ローザの顔をまじまじと見つめると、

「成程、貴女はあのときの探偵さんですね。確か、ローゼンシルさん……でしたかな。名前を覚えておいて戴けたとは光栄ですよ」

 余裕の笑みを浮かべて大袈裟に挨拶の礼をした。

「それにしても、二日足らずでここまで辿り着くとはね。賞賛に値しますよ、まったくたいしたものだ……それに」

 ワイアードの視線が、ローザから優乃へと移動する。

「そちらのお嬢さんにも見覚えがありますな。貴女は確か、今まで幾度となく我々の邪魔をしてくれたお嬢さんではありませんでしたかな?」

「えっ……?」

「おや、ご存じではなかったのですかな?」

 ローザの反応が予想外だったのか、ワイアードがやや驚いた様子で言う。

「そちらのお嬢さんは、ずっと吸血鬼を追っていたのですよ。事件の最初から、それこそ毎回のように現れては、奴と戦っていたのです。二日前の貴女のようにね。おかげで何度標的を仕留め損なったことか……もっとも、どういう事情があるのか、警察には連絡していないようですがね。貴女も憶えているでしょう? 奴と戦った夜……」

 吸血鬼と戦って、って……ユーノが? 一人で?

 得意げに話し続けるワイアードを無視して振り返り、ローザは見た。月の魅力満ちあふれる華奢な肢体をゆったりと構え、大勢の男たちを相手に怯むこともなく毅然と立つ、優乃の妖しくも美しい姿を。

 彼女は静かな、落ち着いた目をしていた。栗色の瞳に照明の光が反射して、二つの月の如く輝いている。

「まったく、何処にあんな力が隠されているのやら想像もつきませんが……」

「ワイアードさん……と仰いましたね」

 突然、無視されているとも知らず延々と喋り続けていたワイアードの言葉を遮って、優乃が尋ねた。

「何故……このようなことを? 魔性の者を操り、敬虔な信者を欺いてまで。善良な人々を殺めることに、何の意義があるというのです?」

「善良? それは誰のことですかな」

 ワイアードは憤慨したように言った。

「貴女たちは何もわかっていない。いいですか? 人とは無力な存在だ。だからこそ間違いを犯し、罪を重ねる。しかし神は偉大で全能だ。人は神にその身を委ねることで正しい道を歩むことができる。だが、口で言っただけではそれがわからない者もいる……いや、余りにも多過ぎる。神の御子たる誇りを失い、神を敬う心すらも忘れ果てた愚か者共……あまつさえ神を否定し、身のほど知らずにも己の自由や権利とやらを主張するような族がね! だから我々は、より具体的に、よりわかり易い形で! 人間が如何に無力な存在であるかということを、彼等に教えてやらねばならない!」

 高らかな叫びと共に、ワイアードは錫杖を振り上げ、勢いよく床に打ちつけた。

 シャリィィィィ……ン……。

 金属の環の擦れ合う音が、闇に吸い込まれるようにして消える。

「……そう……」

 ゆらりと顔を上げ、ワイアードは再び薄笑いを浮かべた。

「そこの醜い化け物でも、神の教えを広めることができるということですよ……おっと、妙な真似はしないほうがいい」

 何かに怯えたように、ワイアードが慌てて身体を翻す。それを合図に、彼の部下と思しき他の男たちが一斉に銃を構えた。

「如何に貴女とて、この数の銃の前ではどうにもなりませんよ。第三級とは言え、そこの吸血鬼を捕獲したのは我々教団なのですからね……さて、ローゼンシル嬢。おとなしく銃を捨ててもらいましょうか」

 いつでも銃を抜けるように用意していたローザの右手が、びくりと動きを止める。ローザは横目を使って優乃を見、ハッと目を見開いた。

 静かな怒りが、そこにはあった。表情を激しく変えることもなく、罵りの言葉を紡ぐこともなく。照り返しに隠れていた少女の瞳のその奥に、ただ静かに燃える炎が。

 そっか……そういうことだったんだ。刹那の内に、ローザは悟った。それじゃあ、

「今ここで、あたし一人が勝手なことをするわけにはいかないよね……」

 呟き、ローザは身構えを解いた。熱く燃えていた身体の芯が、静かに冷めてゆくのがわかる。ゆっくりと深呼吸をして呼吸を整えること、二度、三度。最後の一つを大きく吐ききると、ローザは優乃に向かって薄く微笑み、太股の内側から銃を抜いて床に置いた。

 ごとり。

 金属の重く冷たい音が、暗闇の中に寂しく響く。

「ローザさん……」

 優乃の瞳の奥に燃えていた炎が、戸惑いの風に吹き消される。ワイアードは少し考え込む様子を見せると、ローザの銃を取りに動いた部下の一人を片手で制した。

「それではもう一つ……今度は本物の銃も、出してもらいましょうか」

「ちぇ……やっぱバレてたか」

 やれやれと肩をすくめ、ローザは背負っていたリュックを下ろした。部下たちがざわめく中、ワイアードが一人、勝ち誇る。

「計算高い貴女のことだ。諦めたような言動で油断させておいて、我々の誰かがそこの偽物に手をかけた瞬間、本物の銃を突きつけて人質にでもするつもりだったのでしょうが……咄嗟のこととは言え、前に一度見せてしまったのは失敗でしたね」

「確かに、同じ手は二度と通用しないみたいね」

 リュックの中に突っ込んでいた手を止めて、ローザは言った。

「でも、もしこれが同じ手じゃなかったら……どうなるのかしら?」

「何……?」

 含みのある物言いに、ワイアードが訝しげに眉をひそめる。と、

「動くなっ!」

 鋭い叫びに、男たちがビクリと硬直した。リュックの中から白く塗られた缶を取り出して、ローザがニッと笑う。

「失敗だったわね、ワイアード大神官さん。そこの銃は確かに偽物……つまり、前にアンタに見せたライターよ。でも、それは単なる囮。コレが何だかわかるかしら?」

 ローザは懐から本物の銃を抜き、銃口を白い缶に突きつけた。缶の上辺、ひょろりと伸びた黒い糸に目を止めて、ワイアードの顔がこわばる。

「導火線……!? ……ふっ、見え透いた嘘はおよしなさい、ローゼンシル嬢」

 どうにか表情を取り繕うと、ワイアードは諭すような口調で言った。

「貴女の周到な用意と機転の早さには感服しますが、この私とて、そう何度もだまされるものではありませんよ」

「そう? そう思うのなら撃ってもいいわよ」

 ローザは自信たっぷりに言い返した。

「でもそれだけの数の銃で撃たれたら、一発くらいはコレに当たっちゃうかもしれないわね。逆に一発くらい身体に食らったって、ただ引き金を引くだけだもの、全員巻き込んでやれるだけの自信があるわよ、あたしには」

「ローザさん!?」

「大丈夫よ、ユーノ」

 批難混じりの叫びに余裕の笑顔を返して、ローザは言った。

「ここはあたしに任せて。……さて、一体どうするのかしら? 大勢の部下の命を預かる身としては……ワイアード大神官様?」

「くっ……」

「往生際が悪いわね」

 今度はローザは勝ち誇る番だった。

「アンタたちは所詮シロウトよ。戦闘のプロじゃない。一発であたしを確実に殺すこともできないし、コレが本物かどうかを見抜くこともできない。当然、自分の命が犠牲になるかも知れない状況で引き金を引くこともね。たかが探偵ごときの一喝に驚いて、みすみす切り札を出させたのがいい証拠だわ。見つけてすぐにあたしたちを殺さなかった時点で、アンタたちは負けてたのよ……さぁ、道を開けなさい!」

 缶に銃口を突きつけたまま、一歩前に進み出る。

 しばしの間、誰もが無言だった。ワイアードは怒りと屈辱に全身を震わせ、銃を携えた男たちは、ローザと上司の動向を固唾を呑んで見守っている。やがて、

「……いいでしょう」

 しゃがれた声を喉の奥から絞り出し、ワイアードは部下たちを退かせると、憎々しげに言った。

「窮鼠猫を噛む、とはよく言ったものです」

「あら、あたしたちは鼠なワケ? 随分とまた可愛らしい鼠よねぇ」

「減らず口は結構。通るのならばさっさとお通りなさい……しかし、ここを出たところでどうするおつもりですかな? 満足な証拠もなく騒いだところで、事態が変わるとは思えませんが」

「そんなこと、やってみなけりゃわかんないわよ……行くよ、ユーノ」

 油断なく男たちを見据えながら、ローザは歩き出した。

「あっ、待って下さい、ローザさん」

 床のライターと懐中電灯を拾い、優乃がローザの後を慌てて追いかける。二人はゆっくりと歩みを進め、ワイアードの脇を通り過ぎ……立ち尽くす男たちの中程にさしかかったところで、

「そうそう、ワイアード大神官さん。一つ言い忘れてたことがあったわ」

「……何ですかな?」

「やーね、そんなに身構えないでよ」

 缶を手のひらの上で転がしながら、ローザは笑った。

「あたしはさぁ、別に神様を信じてないワケでも、身のほどをわきまえてないワケでもないわよ。ただね、アンタみたいに『自分が一番正しいんです』って顔してすましてる奴が、いーーーーっちばん嫌いなだけよ!」

 言い終わるか否かの狭間に、引き金にかけた指に力を込める。

「なっ……よ、よせっ!」

 突然のことに慌てふためき、ワイアードがローザの手から缶を奪い取ろうとした、その瞬間。

 ドンッ!

「うぉっ!? ぐ……ゴホッ、ゴホッ! な、何だ、これはっ!?」

 銃弾に撃ち抜かれ破裂した缶の中から、白煙が凄まじい勢いで吹き出した! 突然視界を遮られて転倒し、激しく咳き込むワイアード。煙は瞬く間に部屋いっぱいに広がり、照明の光を反射して、暗闇を白く塗り変えてゆく。

「けほけほ、こ、これは……きゃっ!?」

「ユーノ、行くよ!」

 ローザは優乃の手をつかむと、煙を振り切って一気に隠し部屋を飛び出した。通路に立っていた照明を振り向き様に撃ち壊す一方で、優乃が機転を利かせて書棚の仕掛けを作動させ、出入口を塞ぐ。

「見た!? あたしの秘密兵器!」

 書斎を抜け、廊下を全力疾走しながら、ローザは得意げに言った。

「あーゆうのって昔から得意なのよ! 女らしくないってよく言われたけどね!」

「そんなこと……けほっ、ないです! カッコイイですっ! さっきのかけ引きなんか、けほっ、見ててドキドキしちゃいました!」

 冷めやらぬ興奮に頬を紅潮させて優乃が叫ぶ。

「確かもう一つありましたよね、秘密兵器! 次は何が起こるのかワクワクします!」

 ローザは振り返り、悪戯っぽく笑った。

「余裕あるじゃない!」

「ふふっ、ローザさんこそ!」

「言ったでしょ? あたしには可愛げのない幸運の女神がついてるってさ!」

 例の可愛げのない身代わり人形を、ポケットから取り出して見せる。と、まじまじと人形を見つめる優乃の顔が、みるみる内にパァッと明るくなった。

「……かっ……」

「か?」

「かっわいい〜っ!」

「…………へっ?」

 呆気に取られるローザをよそに、優乃は瞳をキラキラと輝かせ、頬擦りしそうな勢いで身代わり人形を握り締めた。

「これ、何処に売ってたんですか!? まだありました!?」

「……いや、あの……まだあった……と思うけど」

 どこが可愛いの、それ。続く言葉を飲み込んで、ローザは、言った。

「ユーノ……欲しいんだったら、それあげよっか?」

「ホントですかっ!? 嬉しいです! 私、可愛いものを集めるのが大好きなんです! 家に帰ったら、すぐに部屋に飾りますね!」

「そ、そう……」

 どんな部屋なんだろ、一体……。

「後はですね、サングラスとか日傘とか、お洋服とかも集めてて、この間のはその一部なんですけど、その他にも……」

「そ、そう……あのさぁユーノ、嬉しいのはわかったから、今はとりあえずしまっといてくれない?」

 ユーノの家に行くときは、かなりの覚悟がいりそうね……。

 楽しげに喋り続ける優乃を苦笑混じりに見つめながら、しかしローザは、一刻も早くそんな平和な未来が訪れることを願った。

 実際、そう遠くない未来、ローザが優乃の屋敷を訪ねるときには相当な覚悟が必要になるのだが……それはまた、別の物語である。


「おのれ小娘が、ふざけた真似を……!」

 床に這いつくばりながら、ワイアードはギリギリと歯噛みした。

 騙された。一度ならず二度までも。あの探偵は我々ばかりか仲間さえも欺き、ありもしない爆弾を持っている振りをした。そうして、我々を散々脅迫して道を開けさせた揚げ句に、追撃さえ不可能な状況にまで追い込んで、まんまと逃げおおせてしまったのだ!

 文字通りの完全な敗北に。生涯最大の屈辱に。ワイアードのきつく握り締めた拳から血が流れ、床に赤黒い染み跡を残した。

「ワイアード様、ご無事ですか!?」

「……邪魔だ……」

「えっ?」

「邪魔だと言っている」

 差し出された部下の手を振り払い、ワイアードは錫杖を手がかりに立ち上がった。

「どうしましょう、奴等通路を塞いで……」

「このままでは逃げられてしまいます! それにもし、今ここに警察を呼ばれたら!」

「うろたえるな。切り札はこちらにある。お前たちは通路から離れているのだ」

 不気味なほどに冷静に、ざわめく部下たちに指示をする。ワイアードは出入口には向かわず、部屋の中央の台座に両手をついた。男を縛りつけている拘束具を外し、呪符を次々と剥ぎ取ってゆく。

「奴等は後悔するのだ、神の教えに背きし自らの罪深さを……さぁ」

 縛るものの何一つなくなった吸血鬼の胸に手を当てて、ワイアードは、強く念じた。

「目覚めるがいい」


 ドクンッ!

「…………っ!」

 血が逆流するような衝撃が、優乃の全身を駆け抜けた。

「何? どうしたの、ユーノ?」

 異変に気づき、隣を走りながら尋ねるローザ。優乃は服の上から心臓を鷲づかみにし、確信に満ちた声で呟いた。

「……来ます……」

「来ますって、何が……まさか」

 ハッと振り向いた瞬間、書斎の扉を突き破り、一人の男が廊下に飛び出してきた。黒いコートが翻り、青ざめた肌の痩せぎすな身体が覗く。

 ……吸血鬼!

 ローザの脳裏に、先日の死闘が甦った。

 背中をえぐった鋭い爪。

 喉に食らいついた牙。

 大きくはためく翼……翼?

 ローザは思わず目を擦った。幻覚ではない。一対の大きな翼が……コウモリのものに酷似した漆黒の翼が、男の背から突き出してきている! 数秒とたたずに完璧な姿形を得た翼は、男の尋常でない勢いを更に加速し、二人との差をグングンと縮めてくる。

 ローザは全身総毛立った。これ以上近づけてはいけない。無意識下の警告に衝き動かされた腕が銃を構え、男に向けて発砲する。ギャアッと悲鳴。鮮血が男の胸から迸る。当たった! 思わず浮かべた笑顔は、しかしそのまま凍りついた。男の勢いは止まらない。無論死んでもいない。何故なら相手は、不死身の怪物なのだ……!

 ガァァアアアァアァァァッ!

「ちぃっ、やっぱ一発じゃ無理か……!」

 覚悟を決めて立ち止まり、正確に狙いを定めて撃とうとした、そのとき。

「逃げて下さい、ローザさん!」

「ユーノ!? ……あ、危ない!」

 突然間に割って入った優乃を突き飛ばしたのと、ローザと男との距離が零になったのが同時だった。いっぱいに開かれたローザの翠の瞳に、男の殺気だった瞳が映り込む。

 次の瞬間、凄まじい勢いでつかみかかられたローザは、廊下の奥の礼拝堂への扉を突き破り、その先にあった回廊の柵をも吹っ飛ばして、男と共に何もない空間へと飛び出した。

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