1/2
序章
暇つぶしになれば幸いです
その手紙がエンデルゼの元に届いたのは、長かった冬も終わり、春が顔を覗かせた頃だった。
「エンデルゼ様、お手紙が届いております」
メイドのミザリーが恭しく差し出したのは、目の眩むような真っ白な封筒。いたって普通の大きさで、特に目を引くところのない書体で『エンデルゼ・アザレア・ガードリオン様』と書かれている。また、どこぞの貴婦人のお茶会か、と無造作に受け取ったエンデルゼは、心の準備もなく封蝋に目を落とした。
そして、絶叫した。
「ヴィ、ヴィオトリア王国国王、ジェアラン・ヴィオトリアからだってぇえええ――――!? この手紙早く燃やすぞ!?」