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SILVER  作者: finale
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FLUTE FIRST SEXUAL INTERCOURSE

「じゃあ、一年生席に座って。あ、机の上にあるフルートはまだ触らないでね」

 若草先輩の指示で、私達は席に座る。勿論、触らないように気を付けて、だ。

「はい、そんじゃ二人につき一人位の感じで教えて回るから、音出ないとか分からないとかあったら声かけてねー」

 私が教えてもらったのは、若草先輩だった。若草先輩は爽やかに微笑んで、まず、頭部管からいってみようかと言い、フルートの吹き口がついてる管だけを私に手渡してくれた。

<吹部あるある★★★「じゃあ、まずは頭部管から(金管楽器はマウスピース)行ってみようか」>

 ――で、五分後。

 私はまだ頭部管から抜け出せていなかった。こ、こんなはずじゃあ……。

「違う、ここじゃなくて、ここ!! 楽器と唇平行にしないとちゃんと音でないよってば!!」

 若草先輩が私が吹いてる頭部管を横からぐいぐい位置を変えていく。ちょ、怖いんですけど……。

<吹部あるある★★☆音出ない時は、先輩にあちこちいじられる>

「あ、あの、若草さん、『新入部員獲得心得三ヶ条』忘れてない?」

「水無月うっさい、あたしが教えてるんだからちょっと黙ってて!!」

「ひ、酷い……」

 教室の隅っこに去っていく部長さんの背中から、哀愁が漂ってる。なんか可哀想。

「それで、角度をもうちょっと外側に向けんの。こう」

 若草先輩が、軽く頭部管の角度を外側に向けた。これ、かえって吹きづらい気が……。

 と、思ったら。

 と、思ったらあら不思議。ふぁあ~っ、って、なんか間抜けな音だけど、音が出た。

「やった、出たー! 若草先輩っ、音出ました!」

「出た、やったじゃん!! あ、あたしの事はみどり先輩って呼んでね!!」

 若草先輩、じゃないや、みどり先輩とハイタッチ。やった出たぁぁあっ! 半分諦めかけてたよ。

<吹部あるある★★★初めて音を出したときの高揚感>

「それじゃ、次全部付けてやってみよーか」

 みどり先輩が手際よくフルートを組み立てている後ろで、ふと気づいたら部長さんと衣笠先輩が何やら話し込んでいた。

「いいじゃん生成、フルート吹かせてよ」

「ダメだっつってんだろ!? 素人には持たせらんねーの!」

「じゃあ一年生はなんなんだよ」

「一年はいーんだよアホか!」

「何その理屈、僕も見てたらなんか吹きたくなっちゃったんだよ、いいじゃん吹かせてよ」

「だから、ダメだって」

「あーあ残念だなぁ、僕、フルートの良いところ見つけてみたかったんだけどなぁ~」

「……マジで?」

「うん、マジで」

「そっか、そこまで言うなら教えてやらないこともねぇけど。余ってるやつのリッププレート(唇を乗せるところ)拭いてくるから、ちょっと待ってろ」

 結局教えるんかい。衣笠先輩、なんか凄い騙されてる気がするけど……。

<吹部あるある★★★仮入部の引率をしているうちに、自分が他パートの楽器を演奏してみたくなる>

<吹部あるある★★★機会さえあれば自分の楽器の素晴らしさを是非皆に知って欲しい>


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