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SILVER  作者: finale
5/9

A FLUTE PART'S SENIORS

「えっと、まず最初は何処に行きたい?」

 部長さんが、私達に訊いた。皆、ちょっと迷ってる。

 よし、今のうちだ。

「あ、あたし、フルート行きたいですフルート!」

「ああ、フルート? そうだね、行ってみようか」

 部長さんが、勢い良く挙げた私の手に反応する。

「よっしゃー!」

「俺も、フルートで」

 女子力低い私のガッツポーズの横で、一人の男子が小さく呟いた。確か、三組の子だったような……。前へ倣えで一番前だったから覚えてる。名前は……なんだったっけ。いいや。

「よし、フルート行こうか。階段降りるよ」

 階段を降りている途中で、部長さんに話し掛けてみた。

「ちゃんと喋れたんですね」

 ああ、と返事をして、部長さんは頭を掻いた。

「流石にちゃんと喋れるよ。ただ、皆の前に立つと、どうしても上がっちゃって。楽器弾いたり叩いたりしてるときは大丈夫なんだけどなぁ……」

 変な話だよね、と部長さんはまた頭を掻いた。

「ここが普段フルートが練習してる教室ね」

 音楽室がある最上階の四階から降りてきたのは、二階の三年一組の教室だ。一階は職員室関係の階だから、自然と練習出来る場所はここから上になるのだそうだ。

若草(わかくさ)さん? 仮入部来「来たぁぁーー!! 生成(きなり)(さくら)ちゃん、仮入部来た!!」ちょ、若草さんやめて、肩揺すらないで乗り物酔いになるっ」

 び、びっくりした……。「来たぁぁー!!」って三年生の……若草先輩? の声で、一年生全員の肩がびくりと動いた。フルートって、清楚な人達しかいないもんだと思ってた……。

<吹部あるある★★★清楚だと思っていたフルートパート>

「うぅ、気持ち悪……えっと、この三人が、フルートパートの先輩達です」

「じゃあまずはあたしから。あたしはみどり。若草みどりっていうの。パートリーダーやってんだ、よろしくね。ほら次、あんた」

 私達に向かって爽やかな微笑みを披露した若草先輩が、隣に立っている三年生男子の脇腹を小突いた。小突いたっていうか、殴った。若干怖い。

「痛ぇよ!!」

「ほら、早く」

 三年生男子の先輩は、納得いかないような顔をしながら、自己紹介をはじめた。

「オレは衣笠(きぬがさ)生成(きなり)っていいます。隣のこいつに対抗出来る人種募集です痛い痛い痛い!! 腕捻るな!!」

 なんか、この人もオラオラ系だ。私のフルートパートに対するイメージって一体……。

<吹部あるある★★★「私のフルートパートに対するイメージって一体……」>

 次に挨拶したのは、丸眼鏡に三つ編みの、ほんわかした雰囲気を醸し出している人だった。

「一年生の皆様、こんにちは。わたし、ピッコロを担当させていただいてます、二年の大橋(おおはし)(さくら)と申します。皆様、宜しくお願い致します」

 優しそうな物腰で挨拶を終えた大橋先輩は、にこりと微笑んだ。ああ、やっと私のイメージ通りの先輩がいたよ。

<吹部あるある★☆☆逆に清楚な部員がいることが驚き>

「それじゃ、僕は横で待ってるから、楽器体験始めて」

 そう言うと、部長さんはなにやら小太鼓のバチを取り出して、パタパタと虚空で動かし始めた。何やってんのこの先輩。

<吹部あるある★★☆パーカッションの手首慣らしの動きは、知らない人が端から見たら正直意味不明>

 取りあえず、これからフルートが吹けるんだよね。私にもちゃんと吹けるのかな、大丈夫なんだろうか。やってみるしかないんだけど、さ。




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