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SILVER  作者: finale
3/9

WIND ORCHESTRA CLUB ADVISER

 夕日ヶ丘中学校は、埼玉県南部の平地に位置する、使い古された表現だけど、いわゆる「ごくごく普通」な中学校だ。

 夕日ヶ丘中学校吹奏楽部は今年で創部十年目で、これまでコンクール出場が八回、そのうち三回、県大会に出場して銅賞を獲得しているらしい。

そんなことは今どうでもよくて、私は今、音楽室の扉の前に立っている。仮入部をするためだ。見渡す限りでは、辺りに人は見当たらない。

 ……日にち、間違えた……とか?

 いやいやいや、そんなはずないって! ポスターにも毎日仮入部やるって書いてあったし! 大丈夫!

 ……な、ハズなんだけどなぁ、誰も居ない。

 自然と溜め息が出る。はぁ。仕方ない、一旦教室戻ろっかな……。

 通学鞄の取っ手を握りなおして、教室へ戻ろうと回れ右する。で、

「い、痛ぁッ!?」

「わぁぁあ!?」

 ……で。なんかにぶつかった。しかも多分人。更にしかも、ドサって音がしたから多分人な人多分倒れてる。自分で言ってて意味分かんない。ナニコレ。

 薄ーく目を開けるとそこにいたのはなんとまぁビックリ、男の人。ってか誰。ってかなんで私にぶつかったのに向こうが倒れてんの。

 と、取りあえず、こういう時はとにかく謝らなくっちゃだよね。喉元までせり上がりつつある「あんた誰だ」をスッと飲み込んで、私は満面のごめんなさい感を貼っつけて話しかけた。

「あ……えと、すみません大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だよ。ありがとう。確か……赤城さんだっけ? 吹部に仮入部来てくれたの? 嬉しいなぁ、毎年部員が来てほしい定数集まらなくてさ」

「なるほど……って、え、ちょっと待って、今私の名前、なんで……?」

 すると男の人はあっけにとられたような顔をして、それから声を必死に抑えながらくすくすと笑い出した。

「本当にわからない?」

「いえ、分かりません」

 これには自信がある。私絶対この人に会ったことないよ。

「……はぁ、君とは少なくとも二つは関わりがあるんだけどなぁ、まあいいや、教えてあげるよ。僕は君と同じ学年の担任だから、学年集会とかで顔くらい見たことあるはず、これ一つめね。更にもう一つ。僕はこの学校の音楽教師なわけ。――吹奏楽部顧問も兼任してるんだけどね――確か、一年生は各クラスにつきもう二回は授業してるはずだから

二回はまともに顔合わせてるし、――君は僕の授業の初回に居眠りしてた勇気ある生徒さんだからね、よく覚えてるよ」

 以上、と言って男の人、じゃない、音楽の先生は微笑んだ。うわ、笑うとイケメン。

「あ、あのすいませんごめんなさいごめんなさい! そっ、その、私顔覚えが悪くて!」

「ああ、確かにね、顔覚え悪そうな顔してるよ」

「どんな顔ですかそれ!」

 まあいいや、と伸びをした音楽の先生は、「そういえば、僕の名前……って、その調子じゃ覚えてるわけないね、春風はるかぜ桃輝とうきっていいます、宜しくね、顔覚えの悪い赤城さん」と自己紹介にさらっと悪口を混ぜて音楽室の鍵を取りに階段を駆け下りていった。

 なんなんだ、あの先生。見た目健全そうだけど、すっごい変な人オーラがでてたよ。

 ともかく、吹奏楽部に入るならあの人と三年間毎日顔合わせるわけでしょ、

 ――顔覚えよくしようかな……。

<吹部あるある★★★顧問は大体変人>

私の中学時代お世話になった顧問の先生もわりとへっ……いやなんでもないです、ハイ。

夕日ヶ丘中学校の顧問は顔に嫌みを貼っつけてそこら歩いているようなイケメンですが、イケメン過ぎると合奏時最前列で見てられないんで、顧問はほどほどがいいですね。というわけで顧問にそれは望みたくありませんが、高校でやるに当たって、なんかの間違いで超絶イケメンな(そして初心者(ここ大事))フルート男子がある日突然入部してきてくれることを切に望みます。

叶うわけないですね。

そういうことで、やたら人数の多いこの吹部で、作者も頑張って取z……ゲフンゲフン、活動を続けていこうかと。


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